Nicotto Town


錆猫香箱日和


俺が死んだらツィゴィネルワイゼンを流せ


全く実感がわかない。
父が亡くなったのはこの目でちゃんと見ている。
22日の早朝に息をひきとり
遺体のままではなくきれいになったから帰りたいという父の命令で
遺体を葬儀センターに安置してもらい、
毎日通っているのだ。
一年半癌と戦った。
最初は肺がんで、一度はきれいに治ったのだが
今年の三月に肝臓に見つかってからはあっというまだった。
立派な最期だったと思う。
父は息をひきとる瞬間まで生きる希望を捨てることをせず
苦しいはずなのに痛みを和らげるような処置はいっさい拒否した。
それでいて遺体になってからのことや、どういう葬式にするか、
自分が死んだ後のことを全部指示して
酸素吸入器をもぎとり、歯磨きもしてから息をひきとった。
本当に強い人だった。
そんななので、父の亡骸の胸のあたりに手をかざすとなぜか温かい。
鼻梁の高い精悍な顔立ちはとうてい83歳の老人には見えず
死んだ自分の胸の辺りにあぐらでもかいていて
文句を言っているような気がしてならない。
というのも
父に生前
「いいか、俺が死んだら絶対密葬にしろよ。身内以外は葬儀に呼ぶのは3人。
値段は一番安い16万の葬儀にしろ。いいか、絶対だぞ」
と厳命されていたのだが
でもお父さん
去年まで仕事していたし・・・。
自分が弱った姿を見せたくないから病気のこともひた隠しにして
入院中も親類にさえ見舞いに来させなかったくらいなんだけど
たまたまお父さんが亡くなった日に
お父さんのことが大好きな「先生を囲む会」の方から電話があって
仕方ないのでお父さんが亡くなったことを話しました。
それからはひたすらジャンジャンかかってくる電話の対応に追われ
「先生を囲む会」だけで何十人もいるし
中学、高校のお友達もいまだにおつきあいしている人がたくさんいるし
格闘技のプロフェッサーであるお父さんの人脈は半端ではなく
警視庁に防衛庁。
お父さんが初代創立者である早稲田大学レスリング部。
総監督である防衛偉大。
密葬、無理。
結局、何百万もかけた大イベントになってしまいました。
許してください・・・。
お経の代わりにツィネルワイゼンを流す、というのだけはご希望に副えます。
お父さん
私はあなたのように自分の好きなことだけして生きた人を他に知りません。
仕事もそうなんだけど
隠し子まで2人もつくっちゃって
どこまでも自由な人
一人で旅行するのが大好きだったお父さん。
私はお父さんがいつものように
ちょっとブラリと旅行に出かけていっただけのような気がして仕方ないのです。
今日のお通夜はせっかく来てくださるみなさんと
お父さんの大好きなツィゴイネルワイゼンをかけて
涙の大宴会です。
最近お父さんのところから帰る時は必ず雷が鳴り、雨が降るので
お父さんがそうとう怒っているんだろうというのはわかっていますが
みんな最期にお父さんに会いたいのです。
お父さん
全然実感がわかないので困りますが
今日と明日でお別れなのです。
どこまでも自由な旅を・・・。

#日記広場:人生

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2010/07/27 06:23
はづきさんありがとうございます。
父は本当に病人のように扱われることをきらったし、家族以外の人間に自分が病気だということを知られるのを嫌がったので、通夜に出席なさったかたはみなさん非常に驚いていました。
見栄もそこまでくればたいしたもんです。
今日火葬なんですが、骨になれば実感は沸きますかねえ。
私はどうも式の間中父が近くにいて、腕を組んで苦笑いしているような気がしてならないのです。
猫衛門様ありがとうございます
葬儀は父の意思に副えず、すごく盛大で豪華になってしまいました。
仕方ないこととはいえ
密葬を望んでいたのにちょっと悪かったかな~と思いますが
でもツィゴイネルワイゼンはすごくドラマティックな曲なんで盛大な式のほうがあっていると思います。
今日も頑張ります
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2010/07/27 01:21
御冥福をお祈り申し上げます。

正直、驚いております。
サビさんのブログでしかお父様の様態を知ることはありませんでしたが、きっとまたお父様の言動のあれこれに家族が焦らされ、ケンカになり、どれだけ皆が心配しているかお父さん分かりますか?! という感じのブログが続くのだろうと勝手に思っていました。
お父様は最後の最後まで「人間らしく、俺らしく」ありたいと思ったのでしょうか。
死ぬまで生きるとは、まさにサビさんのお父様のような方のことを言うのでしょうね。
「歳だから」「病人だから」
そんな言い訳のような言葉はお父様の中には無かったでしょう。
「俺は死ぬまでピンピンしてたぜ」
そんな男らしくてカッコイイ姿を、サビさんの文章から想像することが出来ました。

私個人の場合なのですが、本当のお別れは火葬の時ではないかと思っております。
遺体が安置されている時点では、なかなか実感で湧かないような気がします。
火葬し、骨を拾う時、ああ、もう会えないのだな・・・と私は思います。
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2010/07/27 00:08
lapoさんありがとうございます。
私は遅く生まれたわけは、父が私の母ではない女性に生ませた兄が二人ばかりいたので・・・。
父は彫りが深くハンサムだったのでモテていたようです。
私の母ではない女性はもとミス長崎だったそうで、で、母は若い頃モデルの仕事などもしていたらしい。
贅沢すぎる人生です。
あくあさま、ありがとうございます。
今日は父のお弟子さんやら、父が破門した方まで納棺にきていただいて・・・。
その部下やらお弟子さんが言うには、すごく情のこもった指導で
心配りが細やかで、それでいて厳しくて・・・神様みたいな人だと
そんな話を聞いてビックリするやら・・・。
私達子供には
「何があっても強くなれ!泣くな!」
と言いつつ、自分は「フランダースの犬」とか「母をたずねて三千里」とか
ハウス子供劇場で号泣しておりました。
ミモザさま、ありがとうございます。
父は天国にいけるといいですけど・・・。
閻魔様を追い出して
自分が閻魔大王になっているのでは・・・とそれが心配です・・・。
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2010/07/26 23:41
お父さまのご冥福をお祈りいたします

格闘技だけでなく心も
とても強い方だったのですね

盛大な(と言っていいのか…)ご葬儀
サビさんも大変でしょうが
お体お気をつけて がんばってくださいね
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2010/07/26 23:23
お父様のご冥福を心よりお祈り致します

お父様かっこいい方ですね・・・
天国でまた会えます!!絶対!
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2010/07/26 22:53
ご冥福を心よりお祈りいたします。
お父様本当に最期まで立派な方だったのですね。
多くの人に慕われていて、これからも多くの人の思い出の中で生きていく事だと思います。
サビさんバタバタしていて自分の事を考える余裕はないとは思いますけど
体だけは壊さないようにしてくださいね。
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2010/07/26 19:21
お父様のご冥福を心よりお祈り致します。
合掌

万感胸に迫ります。
お父様が44歳くらいの時のお子様なのですね。
妹がそれくらいの時ですから、可愛がっておら
れたことでしょう。
lapoはもう47歳となっています。




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