アパートの２階の通路の一番奥まで追い詰めたのだ。
「フッフッフッ・・・さあ、いきどまりだね、まめちゃん・・・。
もう逃げられないのだよ・・・。さ、もうカンネンしてね・・・。
さんざん楽しんだからもう満足でしょ？
いい子でおうちに帰ろうねえ・・・」
とじりじりと言葉をかけながらジリジリとまめちゃんとの間合いを詰めていく・・・。
まめは必死の形相になり
「ンギャ～！ンギャア～オ！」
とまるで殺されるかのような凄まじい悲鳴をあげる。
あの、私は飼い主なんですけど・・・。
あなたを家に連れて帰りたいだけなんですけど・・・。
もう脱走３日目だし、もういいでしょ。
呆れていると
まめ姫のたまぎるような悲鳴を聞きつけミック王子登場。
駆けつけたミックはまめちゃんを庇うように私の前に立ちはだかる・・・。
ハア？
スイマセン、私、飼い主です。
お姫様をとって食おうとしている意地悪な魔法使いじゃないんですけど・・・。
私は急にこうしているのがアホらしくなってきた。
人が心配しているのに、私の気持ちはこの子達に全く通じていないのだ。
虚しい・・・
だが、何日も捜索に費やしたのが、今報われようとしているのだ。
とりあえず、いまはまめちゃん捕獲！まめ、覚悟！
立ちはだかるミックに
「ミック、どきなさい！」
と一括すると、ハイ、と素直に私の後ろにさがるミック。
ちょっと拍子抜けする。
こやつはさっきまで、まめちゃん確保という目的を忘れ、
まめちゃんと追いかけっこなどして楽しく遊んでいたのだ。
さあ、ミックという壁はもうないのよ！
私がまめに向かって大きく一歩踏み込むと、
まめも正面から、私に向かってまっすぐ突き進んでくる。
しめた！捕らえた！
と思った瞬間、まめは跳躍し、わたしの体をポーンと飛び越え、走り去った。
あいつ～！
何だかとっても頭にきてしまった。
こんなに心配して、毎日毎日苦労して捜しているのに
そんなに帰りたくないならもう知らないから！
お腹が減って誤ってくるまで、もう捜してあげないから！
こうなったら、まめがお腹すかして土下座してくるまで根競べしてやる。
気になるけど・・・
このままでは飼い主の面目まるつぶれですからね・・・。

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