Nicotto Town


錆猫香箱日和


実家猫太郎の日記 ~記憶 エピローグ~

  オトウサンニハ モウアエナイノヨ ・・・・・・・・・・



僕を抱きしめるお母さんの頬に

次から次へと涙がつたい落ちる

オトウサンニハ モウ アエナイ・・・

お父さんは、どこに行っちゃったの?

僕達を置いてどこに行っちゃったの?



お母さん、泣かないで。

僕はずっとお母さんと一緒にいるよ?

僕はどこへも行かないよ・・・・・・・。


僕は泣いているお母さんの頬を一生懸命舐めてあげた。

そんなに泣くとお父さんに嫌われちゃうよ。

僕ね、お父さんと約束したんだ。

僕もお父さんみたいに頑張って

お父さんが腰に巻いてたピカピカの大きいベルトを

僕もいつか神様からもらうんだ。

そうしたらきっとお父さんは

僕を抱きしめて

「太郎、頑張ったな」

って褒めてくれると思うんだ。

だから大丈夫。

またいつかみんなで一緒に暮らそう。

だからそんなに泣かないで

泣かないで

泣かないで





ナカナイデ ・・・・・・・・
















ザアーっという激しく叩きつけるような雨の音で僕は目を覚ました。

さっきまで小降りだった雨は豪雨に変わっていた。


夢だったのか・・・・・・

お父さんが天国に行った日もちょうどこんなふうに雨が降っていたので

雨が降ると僕はどうしてもお父さんのことを思い出さずにはいられない。

でも夢を見たおかげで僕は思い出したんだ。

お父さんと約束したんだっけ。

僕、頑張っていつか神様から

『栄光をたたえる』って書いた大きな金のトロフィーもらうんだ。

お父さん、僕 頑張る。

お台所に行って、心臓の病気のお薬の入ったご飯たべようっと。


のそのそと寝床をでて、台所に行く途中

ちょっとだけ開いてる障子の隙間から仏壇のあるお部屋を覗くと

誰かがお線香をあげたばかりらしく

仏壇から一筋、細いけむりがまっすぐに天にのぼっていた。









 


                                       ~fin~























実家の猫太郎はエキゾチック・ショートヘアの9歳になる雄猫です。

ある日知人の彼女に

「ウチの猫、ぬいぐるみみたいに可愛いんだけど、全然私に懐かないのよ。

どうしてだと思う?」

と相談され、よくよく話を聞いたら家具が傷つくのが嫌だから、ずっとケージに

閉じ込めっぱなしで飼ってるわ(私は『動物を飼う』という言葉が嫌いなので

本当は使いたくないのですが、この傲慢なバカ女にはあえて使わせていただきま

す)おまけにたまにケージから出して抱っこすると服がひっかかるというので

太郎(この時はなんか違うフランス風のこじゃれた名前でしたが)の爪を除去手術

するのを計画中だったので 「テメーに動物飼う資格なんかねえ!!」と一喝して

強奪してきました。最初は私の家に連れて行ったんですが、当時ウチにいた猫様

と折り合いが悪く・・・・というか太郎が猫づきあい全くできないコだったので

当時ちょうど動物が何もいなくて、「死ぬと悲しいからもう動物飼わない」と渋る

両親のとこに強引に連れて行ったら、もともと動物好きで、動物が家にいるのを

絶やしたことなかったので、ひとめでメロメロになってしまい、アッサリ家に落ち着

いたのです。特に父は太郎を愛していました。


それから蝶よ花よ殿様よと両親に溺愛された太郎。

去年父親が亡くなったときは本当に太郎は自分の汚物にまみれて気絶してまして

ずっと父親のこと待っていたのに、その日からパッタリ待つのをやめました。

多分本当に父親は太郎にお別れを言ったのだと思います。


太郎は父が亡くなってからほどなくして心臓を患い、

ただいま通院&投薬治療中です。


猫と言うのは、人よりも家に懐くだとか、犬より薄情だとか

打算的であるとか、すぐ前の飼い主のことを忘れるなどと

悪く言われることが多いように思いますが、

私は決して猫が薄情だとは思いません。

太郎を見ていると、特にそう思ってしまいます。

いまだに私に懐かないのはもしや父への義理立てなのかな、なんて・・・・。

太郎が家に来た頃はあまり栄養状態が良くなかったせいか目を患っていたので

父が存命な頃は、父は過剰かと思うほど太郎の健康を気にしていました。

なので、父は今頃天国で死ぬほど太郎の病気を気にして、気を揉んでいるとこと

でしょう。父のためにも太郎が一刻でもはやく元気になってほしいと思います。

#日記広場:ペット/動物





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