【夕空】別バージョン rainさん編 Ⅰ
- カテゴリ:小説/詩
- 2011/08/15 22:39:43
このお話は【夕空が晴れたなら Ⅱ】からの続きです。
rainさんはⅡまで共作していましたが体調を崩し休養してました。
病気で休養しながら続きを書いてくれました。
サビ猫が書いたものと別バージョンになります。
rainさん編 【夕空が晴れたならⅢ】です
何か柔らかいモノのが顔に触れている感触がある。
次の瞬間 『起きろ結衣!寝ている暇はない急ぐのだ!』
シンの言葉が頭に鳴り響いてきた。
結衣は起きてあたりを見回した、見覚えのある自分の街の風景である。
『何故気絶していたの?綺麗な光景を見ていたような記憶があるのに・・・
それにもとの場所にうまくどうして戻れたの?シンの力?』
『時間を超えるという膨大な力に、お前の体が自己防衛本能として
気絶という選択をしたのだろう。当然のことだ。
ここに戻れたことについては、赤羽邸に着けば自然と分かるだろう』
と言うと歩き始めた。
『自己防衛本能?それに置いていかないでよ』というと後を追いかけた。
『自己防衛本能というのは、体を守るために自然と働く力のことだ。
まだ結衣ぐらいじゃ習ってないか』笑いを含んだ思考が流れてきた。
『あーー!ひどい。でもこの世界でもシンが猫なのはいいね~』
『では赤羽邸に急ぐぞ』というと駆け始めた。
赤羽邸では玄関の前で舞いさんが待っていてくれた。
ふと気がつくとシンの姿が見えない、今まで一緒にいたはずなのに。
『大丈夫だった?ケガとかしてない?』優しい笑顔で舞いさんが尋ねてきた。
『ええ大丈夫、でも今まで一緒だったシンの姿が見えないの』
『シンは大丈夫よ。家で寝てるから。あの子の力が役にたったわね』
『家で寝てる?今一緒に帰ってきたんですよ???』
『シンは一歩もここから動いていないのよ。あなたを見守ってるときも
過去にあなたが行ったときもね。あの子は私の知り合いが自分のかわりに
私を守るために、預けていってくれたボディ・ガードなの』
『?一緒にいたんですよ?信じられない力も見たけど・・・』
『あの子は神獣とか霊獣とか言われる特別な力を宿した猫なの
私にもよく分からないけれど、頼りになるし優しい子よ。過去の私と話したのも
シンの力だし、ここに導いたのも本体があるシンの力だと思うわ。
でも本当に今回はあの子のおかげで助かったわ。結衣ちゃんの力が
まさか時を渡る力だとは思いもつかない事態だったから』
『私が一緒だったのはシンの霊魂とか幽霊?』
『それに近いかもしれないけど、シンの力の塊と考えたほうがいいのかもね。
中で3年前のことについてあなたに知ってもらいましょう』
舞さんに促されて、赤羽邸に足を踏み入れた。
話を要約すると次のようなことだった。
舞さんのお父さんは宇宙物理学の教授で、4年ほど前に
北極から見つかった隕石を分析していたところ中のひとつに
ブラック・オパールのように煌く美しい物質を見つけたそうで
測定したところ放射線にも何も引っかからない安全な物質だったので
2つ見つけたほうの一つを、誕生日の祝いとして舞さんにペンダントにして
プレゼントしてくれたのだそうです。
ところがしばらくすると、その石をもらった舞さんに不思議な現象がおき始めて
ある一定の距離ならば見えない位置にいようと周りのものを全て見ているように
認識したり人に喋らなくても意識を伝えることができるようになったのだそうです。
それは花火大会で迷子になっていた私が、土手の石段を踏み外して
転落したのを、近くにいた舞さんが感知してくれて、お父さんと一緒に
駆けつけてくれたのだそうです。
私は頭にすごい怪我をしていて、心臓も止まっていて
舞さんのお父さんが何とか蘇生させようとした時
舞さんのお父さんもその石のペンダントをしていて
その石がなぜかペンダントから離れて私の胸元に落ちると
淡い光を発し始めて、私の胸の中に吸い込まれていったのだそうです。
それと同時に私の怪我は瞬時に消え鼓動も蘇り
頬に赤みがさしかかったところで探し回っていたママが
その場所に現れたのだそうです。
それが3年前に起きた夏祭りの夜の出来事の真相でした。