Nicotto Town


錆猫香箱日和


雨のち晴れの日のこと

私はよく転ぶ。

全然段差がないところでもいきなりつんのめって転ぶし

自分のアパートの部屋のなかではいつもいきなり足元にいる王子のあんよを

踏みそうになり、王子をよけてバランスを崩し、部屋で転ぶ。

そしてこういう雨のが降って足元が滑りやすい日こそ

もっとも気をつけなければいけないのに

何故か朝、ヒールのある靴を選んで外出してしまったのです。

で、当然のようにコケた。

しかも駅の階段を降りてる途中に足を滑らせ、前のめりに派手に転落。

この拍子に奥歯にガリッと激痛。

右足をひねって、足にも激痛を。

痛い、痛い!

あれ、クチのなかに何か石みたいなものが・・・。

ぶちまけたバッグの中身を這いずったまま拾いつつ、

クチの中にあったものを手のひらにペッと出してみれば

それは真っ黒な虫歯。

抜けかかっていた歯が、階段を転がり落ちた衝撃で抜けたのです!!!

こ・・・これで歯医者に行かなくてすむ!!

ひょっとして、神様がわたしの願いを叶えてくれたんでしょうか?

とはいえ足を挫いたので整形外科には行きましたが・・・。

でも歯医者に比べたら全然マシ!!

湿布だけですし・・・。

で、まあ今日はパン屋のバイトも遅刻したうえ早退して

内心ちょっとほくそ笑みながら帰宅したのです。

ウチは近所の野良猫ちゃんたちが毎日かわるがわるご飯をもらいに来ます。

猫は玄関のチャイムが鳴らせないので

ドアの前で「ニャー!!」(メシー!!)と鳴いて私を呼びます。

単独、あるいは2匹くらいづつ、時間差でやってきます。

今日の最初のお客様は、この界隈のボス猫五郎蔵親分の妹おミヨちゃん。

おミヨちゃんは五郎蔵親分と同じ、茶×白のハチワレなのですが、

ちょっと特徴のある四角く長い顔をしており、お世辞にも美人とはいえず・・・

しかも子猫時代にカラスにでもやられたのか、

歩くとき左の後ろ足をちょっとひきずって歩くのです。

こんな妹を不憫に思ってか、五郎蔵親分はおミヨちゃんをいつもきにかけてるし

たまに手下のキヨジとしんみり杯をかさねながら、

五郎蔵親分はマタタビに酔ったような、遠い悲しいような目になり

「なあキヨジ、そろそろおミヨのやつをもらってやってくれねえかい・・・。

あいつァ器量は悪いが気立てのいい女だ。

おめえとならいい夫婦になると思うんだが・・・」

「親分、何をおっしゃいやす。おミヨさんはあっしなんかには勿体ねえおひとで・・・

それに無宿もんのあっしがもらっても苦労させるだけなんで(汗)」

とキヨジを慌てさせるくらいちょっと面白い顔をしております。

そのおミヨちゃんの、私への今日の第一声が

「オバサン、くさっ!!」

「あ、ゴメンねオバサンちょっと転んで足挫いちゃって

これはね、湿布のニオイなのよ。猫はこんなニオイ嫌いだよね~」

「あったりまえじゃない!あークサイ!せっかくのメシがまずくなるじゃない!

もういいからさっさと部屋にひっこんで~~!!」

「み、ミヨちゃ~~ん。うう・・・・」

とミヨちゃんに嫌われたのをかわきりに、次々訪問する猫達から

「ババア、くっせえ~~~!!」

というお言葉をもれなくいただきました。

部屋に戻るとまめ嬢もあからさまに嫌な顔。

もちろんニオイが流れてこない位置まで非難。

私の小さな恋人、愛しの王子はというと・・・

名前を呼ぶと、無言でちょっと困った笑顔を見せ

しっぽをパシン!とひとふりしてくるりと背を向けると

私が手を伸ばしても届かない場所へ。



王子が一番キツイわ・・・。






歯医者には行かなくてすんだけれど、

あまり良かったとはいえない結果に・・・。



なんだか最近ツキから見放されているような気がします・・・・。

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