感動したマイベスト萩尾望都
- カテゴリ:マンガ
- 2012/05/06 01:43:05
『トーマの心臓』
萩尾望都さんの漫画は結構難解です。
子供の頃に読んで全く理解できなかったのがこの作品で
ストーリーは、ドイツのとあるギムナジウムが舞台で
学校のアイドル的存在だったトーマが、自分が思いを寄せていたユーリに
「ユリスモールへ さいごに
これが僕の愛 僕の心臓の音 きみにはわかっているはず」
という手紙を託して自殺する。トーマの想いを拒絶したことに対して
苦しむユーリの前に、生前のユーリに生き写しかと思うほどよく似た転校生
エーリクが現れるところから物語が始まるんですが・・・
しょっぱなから自殺ですよ!
しかもスクリーントーンとかもあまり使われていない
すごく暗めのタッチで、少年達はそれぞれ密やかに心の中に
人に言えない傷を抱えていたりする。ものすごく繊細な。
物語の中盤のエーリクの言葉。
「僕はこの半年のあいだずっと考えていた。
僕の生と死と それからひとりの友人について
僕は成熟しただけの子供だということは じゅうぶんわかっているし
だからこそこの「少年の時」としての愛が
なにか透明なものに向かって(性もなく正体もなくわからない)
投げ出されるのだということも知っている・・・・」
他に敬虔なキリスト教徒のユーリが神に救いを求める言葉とか・・・。
週コミの読者に全く人気がなくて、打ち切りされそうになったそうで
やはり難解すぎるから無理がないかと思いますね。
大人になってからは「何これ、スゴイ!」って感動しましたけどね。
『半身』
生まれつき腰のあたりで繋がったままの
双子の姉妹、ユージーとユーシー。
美しいけれど知能の低いユーシーと、自分の養分を殆ど妹に摂られて
干からびたキュウリのようなユージー。(でもユージーは知性が高い)
だが成長するにつれ2人が結びついたまま生きていくのは難しくなり
手術で切り離されることに・・・。
自分の半身である妹に対するユージーの愛憎が
ユージー自信が淡々と語るような調子で描かれているのも
とても詩的な感じがする。
たった16ページでギュギュと濃い。
『恐るべき子供たち』
船が
船が沖へ向かう
毎晩のように強烈な夜 毎朝のように重苦しい朝
あんなに毎晩夢幻へ出かけていたのに、いつからだろう。
糸がふっと切れてしまって、
もうあの混沌とした無軌道な世界へは手が届かなくなってしまう。
いつのまにか子供の頃の世界は過ぎ去って
楽しみや遊びは現実の生活にすっかり姿を変えて
夢想への足をひっぱるのだ
地上へ 地上へと・・・・
『百億の昼と千億の夜』
神はなにゆえに人間に知恵を与え、自ら滅びへの道を進ませるのか?
神とはなにか?滅びの道を止める手立てを追ううちに、
プラトンと阿修羅王、シッタータは神々の陰謀を感じ、神々が隠す
『シ』の存在に気づき、『シ』の正体を追う。
週刊少年チャンピオンに連載されていたのでいつものタッチと違い
登場人物達は後ろに花をしょっていません。
ちょっと手塚治虫っぽいタッチがカッコイイ!!
すごく壮大なSFが原作になっています。
『スターレッド』
♪さようなら さようなら 元気でいてね 好きな人には必ず会える♪
都はるみの歌を口ずさみたくなってしまう。
あなたは生まれ変わりとか、運命の人を信じますか?
女の子なら誰だって好きな人がいたら
「この人と私はは前世から会う運命だったんだわ」
って思ったことがある筈。
私だけの一方的な思いかもしれないけれど、それでもいいの。
あなたがもし、私よりうんと先に死んじゃったとしても
私は決して悲しんであなたの後を追って死んだりしない。
だって、私たちはまた別の世界で生まれ変わって
何度でも会うことができるんだもの。
私の愛は時間も時空も、全てを越えて
あなたの愛が全ての生命の源のなり、この星を喜びで蔽いつくすの。
この愛に終わりはないのよ。
『ポーの一族』
この作品に説明は不要でしょう。
萩尾望都ファンでなくてもタイトルと吸血鬼の話だということは
たいていのかたがご存知ではないかと思います。
それまでの吸血鬼のイメージを一変させてしまうような
美しく儚げなバンパネラ達。
まるで夢のなかのような幻想的な絵とストーリー。
1話1話の時間が繋がっていないところがよりバンパネラの
生きている時間の長さを感じさせます。
エドガーはきっとまだどこかに生きているんですよ。
薔薇の花の咲く美しい村のどこかで・・・。