Nicotto Town


錆猫香箱日和


五郎蔵親分記

みにゃさま、喧嘩で怪我をした五郎蔵親分をご心配いただきありがとうです。

親分の傷は心配した化膿もなく、順調に快復しております。

ゴハンもモリモリ食べております。

ところで五郎蔵さんが喧嘩で怪我をして以来、

五郎蔵さんにいつも影のようにつき従っていた黒キジの

喜代治の姿がみえません。

喜代治、失踪。

ひょっとして五郎蔵親分に怪我をさせたのは手下だった喜代治?

喜代治、まさかの裏切りか?!

あ、五郎蔵親分が妹のおハナちゃんとひそひそ話をしています。




「ねえお兄ちゃん、最近キヨジさんの姿が見えないようだけど

どうしたのかしら?

あのまかないのオバサンの家にも来てないって王子ちゃんが言ってたわ」

「・・・・・・・・・」

ねえ・・・あの・・・お兄ちゃんが怪我した日からキヨジさんいなくなったでしょ。

もしかして、お兄ちゃんが喧嘩した相手ってキヨジさんなの?」

「おハナ・・・」

「ね、お兄ちゃん、そうなのね?!お兄ちゃんはキヨジさんと・・・!!」

「もうアイツのことは忘れろ、おハナ・・・・」

「お兄ちゃん!!」

「アイツとの間に子まで成したことのあるお前だ・・・

お前がツライことはわかってる。すまん・・・。

だがアイツと俺はもう一緒にはやっていけねえんだ、わかってくれ」

「お兄ちゃん・・・・」

「おハナ、すまん!!」

「あ、お兄ちゃん、待って!!ハナを置いていかないで!!お兄ちゃん!!」







「・・・・・ってなことがあったのよ、王子ちゃん」

「ふ~ん、そうなんだ。ボクは喧嘩ってイヤだな。

何でもちゃんと話し合えば解決できるのにね。

彼らにガンジーの言葉を教えてあげたいよね」

「王子ちゃんガンジーってなあに?美味しいの?」

「あはは、女の子はもともと争わないからね。

もう君のなかにガンジーはいるようなものだよ、おハナちゃん」

「ううーん、よくわからないけど・・・」

「そういえばさ、ウチのママンもキヨちゃんと五郎蔵さんが言い争っているの

何度か見かけたらしいよ。

ママンはさ、そのたびに言い争いをやめさせようと

猫じゃらしを振り回しながら2人の間に割って入ってたよ」

「あのオバサン、バカなの?」

「いや、ママンは確かに浅はかだけどね、一応一生懸命なんだよ。

まあ人間だしね、あの程度しかできないのは仕方ないよね」

「あの人は黙って私たちにまかない出してればそれでいいわよ。

私も昔お産した時とか結構助かったわ。

私も充分なお乳が出るほど栄養とれたし、

離乳しても子供も飢えなかったし」

「そういえばキヨジさんとのあいだにできたお子さん達はどうしてるの?」

「2人は半年くらいの大きさに育ったらどこかに行っちゃって・・・

男の子だったから。

ひとりはそこのアパートの前の道路で車に・・・・。

そういえばあの時もまかないのオバサンが

ちゃんとお葬式だしてくれたっけ・・・」

「ハナちゃんゴメン、辛いこと思い出させたね」

「ううん、いいのよ王子ちゃん。もう過ぎたことだわ」

「ハナちゃん今年は子供作らなかったんだね。

たくさん言い寄る男がいたんじゃない?」

「うん、でも最近お兄ちゃんとキヨジさん、仲悪かったから・・・。

キヨジさん、私を避けてた・・・」

「そうか、寂しいね。

ハナちゃん、新しい彼ができるまで、ボクで良かったら何でも話聞くよ」

「ありがとう王子ちゃん」

「おや、あんなところに茶トラの男の子が」

「まだ半年くらいよね、あどけなくて可愛い」

「どこかでママンのまかないの事を聞いたらしくて

最近ウチにゴハンをもらいにくるんだ」

「あの子は・・・無事に大きくなるといいわね」

「そうだね、病気や事故にあわずにね」

「ね」







心地よい夜の風が猫達のおひげをサワサワと撫でてゆく

こんな夜の猫さまたちのひそひそ話なのでした。






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