ばあちゃんの旅立ち
- カテゴリ:日記
- 2013/06/15 22:40:49
今朝はまだ夜中2時か3時に王子君が
「んみゃっ!!んみゃっ!!」と騒ぎだした。
そんな時間に何故か起きろという。
か、勘弁してください・・・・。
で、一度寝たらまた夜が白々明ける頃、
「んみゃ~!!みゃっ!!みゃっ!!」
王子とまめさん、ふたりそろって起きろという・・・・。
下僕として、非常になってない態度であるが
私はおふたりの声に気がつかないふりをして寝ることにした。
2度寝の心地よいまどろみに幸せを感じながらウトウト・・・・。
としているところに、朝ぱら早くから携帯のメールの着信音。
こんな朝早くからメール送ってくんのはどこのバカだよ・・・
と携帯をノロノロと手にして開いてみれば、母親から・・・。
「おばあちゃん しんじやつた」
はあ?
無言で画面を見つめて考える。
おばあちゃん しんじゃった? なの?
しんじやつた・・・しんだ?まさか!!
母親は年寄りだが、PCの初心者ではなく
メチャメチャ使いこなしてて、PCでカレンダーとか作れる人だ。
しかもばあちゃんは、先日の検査でもどこも悪くなく
(痴呆気味だし、腎臓に疾患はあるが、状態としては良好なので)
「なんだ、このメール・・・」
と思いつつ、再び布団にもぐりこむ
と、電話が鳴り
「ねえちゃん、ばあちゃんが死んだって!!」と弟。
おばあちゃん しんじやつた は お婆ちゃん死んじゃった だった。
実家に到着し、祖母のベッドに近寄ると
確かに祖母は亡くなっていた。
まるで、寝ているようにしか見えない死顔だったが
よくよく見れば 生きてる人間の顔色ではなかった。
だが、死んでる祖母を目の前にしても
全く亡くなったという実感が湧いてこない。
「おばあちゃんが しんじやつた」
という小学生みたいなメールを送ってきた母親も
涙ひとつ流した形跡がない。
「おばあちゃん、昨日の夜は夕飯のシシャモを食べて、
ご飯をすごくたくさん食べて、
いつもの時間に普通に寝て、
今朝声をかけたら返事しないから
ベッドに近寄って見てみたら 死んでたの」
ととてもアッサリした感じで話す母。
「シシャモを6匹も食べたから
ちょっと食べすぎかなって思ったのよ。
死因はシシャモじゃないかしら」
と、大真面目な顔で話す母・・・。
死因がシシャモ!!
あまりにも間の抜けた母の言葉に脱力しつつ
「じゃあ、おばあちゃんはシシャモを食べ過ぎて
吐いてしまってそれが喉につまって死んだとか
そういうことなの?」
と母に聞いてみたが、全く吐いた形跡はないらしい。
確かにそこに横たわってる祖母の亡骸の表情は
何かいい夢でもみていそうな笑みすら口元に浮かべてるようにみえた
祖母は先日の健康診断でも非常に良好だと言われ
特に昨日は絶好調で朝から好きなものをモリモリ食べ
ことさらゴキゲンだったらしい。
ちなみに96歳の祖母の最期の日の食事
朝食
マーマレードたっぷりのトースト1枚半
ゆで卵
コーヒー
ヨーグルト2個 (いつもは1個)
昼食
野菜あんかけラーメン 少し残す
夕食
白いご飯一膳
シシャモ6匹
おでんの大根と卵
ひじきの煮付け
96歳の老人としてはかなりな食慾だと思う。
この少し前に一緒に夕飯を食べた時は
ご飯にお刺身を数切れ、コロッケ1個で
「もうお腹いっぱい」
と言っていた祖母とは思えない食べっぷりだ。
私は、大好きだった銀河鉄道999で
機械の体を手に入れる鉄郎が、メーテルと一緒に旅立つ時
列車の食堂で、ラーメンにステーキ、カツ丼など
いろいろな種類をデタラメな組み合わせで
ガツガツ食べまくる場面を思い浮かべてしまった。
ああ、そうか・・・。
我が家の宗派は臨済宗なのだけれど
臨済宗は確か旅をする宗派なのだ。
昨日のあの食べっぷりは
祖母の魂が旅に出る準備をしたのかもしれない。
そういえば、いつも
「私は100歳まで生きて、この家のギネスになるの」
と言っていた祖母が、
昨日は突然母親に
「ねえ、私はどうしてここにこうしているの?」
と言い出し、しばし母親を困惑させたらしい。
「それは、おばあちゃんもう自分でひとりで思うように歩けないでしょ」
「そうなの?じゃあどうして私は生きているのかしらねえ?」
「それは・・・まだお迎えが来ないから生きてるんでしょ」
「自分で思うように動けないなんて、私はもうダメかもね」
と言って笑っていたらしい。
もしかすると祖母はこのとき本当は
自分がこの夜旅立つことを予感していたのかもしれない。
祖母は、きっと昨夜就寝したあと
夢を見るようにして旅立ったのだろう。
殆ど苦しむことなく
自分ひとりでは思うように身動きのとれなくなった
重い肉体を脱ぎ捨て
ばあちゃんは旅にでたのだ。
般若心経
自在に真理を観る心眼を開かれた菩薩は
この般若心経を行すれば
全ての物体や精神は総て
空で在ると達観できれば
一切の苦しみや厄いから免れることができるであろう
舎利子よ
物は空に異ならないし
空は物に異ならないのだ
物は即ち空であり
空は即ち 是れ 物なのである
舎利子よ
全ては宇宙の諸原則のとおり空であるから
生じることもなければ滅することもない
(中略)
限界ないし 意識界も無く 明も無く
また明の尽きることも無い
老死も無い
(中略)
心に何のこだわりも無い
こだわりがないから恐怖も無いのだ
恐怖が無いから 一切の恐怖から遠く離れて
平穏な永遠の境地が得られる
(中略)
嗚呼天地自然の理法に通じた
通じた
宇宙が明るくなった
極楽浄土に至った
大地を踏み鳴らして乱舞したい
祖母はいまきっと光でいっぱいの
眩しい 美しい場所を旅しているのだろう。
きっとまた お互い
旅の途中で会えるだろう
これは お別れではない筈
ちょっとだけ長い時間
別々のところで過ごすだけなのだ
だから、さようならって言わない
また会おうね
そう言って祖母を見送りたいと思っている
久々の長文、根気強くここまで読んでくださったかた
ありがとうございます
私は元気なので どうかお気使いなく!