Nicotto Town



11月自作/「都会『近所付き合い』」 2


*

夏生はふと寝ている途中で頭痛と吐き気を感じたのでゆっくりと起きることにした。
「そっか私、あの後酔いつぶれて寝ちゃったのか…あいたたたっ」
ゆっくりと身体を起こして、自分の周りにあるものと状況を確認した。
「自分は昨夜酔い潰れて、彼「榛巧人」のベッドの上で寝てしまっていた」と言う事。
ベットの下を見ると巧人は自分で布団をひいて寝ているみたいだ。
なんか自分はすき放題やってしまった感じが染み出て、申し訳ない気持ちになる。
彼なら気にしないとは思うのだが、それとこれは話は別で…
それにしても少しは久々に安眠できた気がすると自分でも実感できた。
旦那との生活ではこんな空間は味わえなかったし、多分酔い潰れている時にも喋ってしまったのかは憶えていないが旦那との生活はそれほど上手くはいかなかった。
夏生は旦那との関係はあまり良くなかった。だから旦那が亡くなった時、悲しい感情よりも少し肩の荷が下りた気がして少し気味が悪かった。
実際巧人と付き合っている加奈が亡くなった時も残念な気持ちよりも、少し期待してしまっていた気持ちのほうが大きかった。
自分でもそんな感情に嫌気が差していたし、あまりいいとは思っていなかったがそうやって「自分が巧人とくっ付くチャンス」を期待してしまっていたのは本当のことだ。
夏生は溜め息をついては顔を両手で覆い隠す。
「本当やな奴・・・」
巧人が起きないようにゆっくりとベッドから降りて、自分の部屋に戻ろうとした。
けれど彼女の部屋にはまだ解いてない荷物が山ほどあって寝るスペースもないので諦めて巧人の部屋で寝てしまった方が賢明だと思ったのでそうすることにした。
取り敢えず酔いが冷めて、眠気も何処かへ飛んでしまったので持ってきた携帯の時間を見ることにした。
「もう4時か・・・早いなぁ」
夏生自身ももう今年で三十路、流石にバツイチで離婚じゃなく死に別れと言うのもあってか彼女の親は察したかのように見合いの話や、そういったことには口を挟んでは来なかったことが唯一の救いなのかもしれない。
けれど旦那が死んで何をしたいのかかが分からなくなったから、傷を舐め合いに行くかのように自然と巧人の方へ足が向かっていた。
彼は鈍感で、よく気づいていないふりをすることが多いのは知っているからワザとあやふやな態度でいつも責めに行った。
幼い頃からずっと巧人を見つめていたことも、夏生に彼氏ができた時も、夏生が旦那と結婚する時も、
ずっと巧人に向けてメッセージを飛ばしていたのに彼は煮えたぎらずに、いつも夏生のそばでは微笑んでいるだけだった。
そうやって自分の気持ちを隠すのはもう止めにして本当に伝えるしかない。そうやって酒の力で飛び込んでみたらこの様である。情けない。
「この時間ならまだ多分、巧人起きないし、どうせやることもないから・・・」
そうして決め込むと、彼女はキッチンの方に向かって巧人のために朝食を作るのであった。

*

何だか懐かしい匂いと音がする、そんな気がした俺はふとそんな香りを感じてゆっくりと重い瞼を開けた。
「あっ、起きた?今ちょうど私が朝ごはん作って置いたから、よかったら食べてよ」
そういって俺が起きたのを確認すると、夏生は微笑んで折りたたみ式のちゃぶ台に朝ごはんを用意してくれていた。
炊きたてのご飯に、味噌汁。厚焼きの卵焼きにこれはほうれん草のおひたしかな?
よくあの冷蔵庫から有り合わせで作れるなんて凄いなと感心しながら、俺は夏生に話しかけた。
「お前、起きてたのかよ…って今、何時?」
「ん?今はちょうど6時半過ぎたところじゃないかな?昨日はゴメンね、みっともないところ見せちゃって」
そう苦笑交じりにえへへと微笑む。
「いや、全然気にしてないからいいよ。人間たまるものがあれば誰かに吐きたくなる気持ちってわかるし仕方ないと思うよ」
「そっか、じゃあ私は自分の部屋に戻って荷物解いてくるから」
夏生はそう言って部屋から出ていこうとした。
「あっ、後で手伝いに行くから!」
俺はその言葉を告げてとっとと夏生が作ってくれた朝食を掻き込むことにした。
「わかった!焦らずに食べてくれたらいいからね。せっかく美味しく作ったんだからゆっくり食べてってよ」
「はーい」
夏生には俺の考えてる事はおみとおしみたいだ。
そんなこんなで俺、榛巧人とあいつ、稗田夏生との奇妙な近所付き合いはまたこうして始まっていくみたいだった。

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2013/11/11 23:24
まゆさん
そうですね、人生どう転んでも「うまくいかない人間関係」がありますので、
そういったものを自分の中で膨らました結果の小説になります。

好きな人と共に入れる時ほど、離れた時の恐ろしさは怖いものですね。
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2013/11/11 20:36
いきなり死んじゃった!

なかなか好きな人とはいっしょになれないものですね。
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2013/11/11 01:06
かいじんさん
そこの話についてはまたおいおいと語っていくつもりでございます
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2013/11/10 18:16
確かに、なぜ旦那が亡くなったのか少し気になりますが、ここからどう言う風に進展していくか
気になりますね。
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2013/11/10 09:21
七川冷さん
確かにそうかもしれんねー、出来る限りほんわかできるように頑張るべ
最近会えてないからまたお茶でも行きましょう

真珠さん
自分がいつも恋愛シュミレーションゲームやってて、
毎回思う「何故こういつも煮えたぎらないんだ!、もっといちゃいちゃするこんな展開にならない!」と
不服を立てた結果、この小説が生まれた感じですね。←

話の方は出来る限りいい展開に持っていこうと思います(苦笑)
先の展開が色々と読みやすい分、逆に色々と話を練ってっていかないと・・・
いけなくなってきたみたいですね(震え声

優美さん
お越し頂きありがとうございます
執筆をそんなにしないのでおかしな部分もありますが、その際は
指摘して頂けると有難いです 此方も宜しくお願いします!!
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2013/11/07 21:39
初めまして、自作小説倶楽部から来ました。優美(ゆみ)と申します。
思いつきでここまで書けるなんてすごいの一言です…!
続きが気になります(*´ω`*)たのしみにしてます!
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2013/11/07 09:11
幼馴染のふたり、それぞれのお相手が亡くなってしまう・・・そこでお互いの気持ちに正直になっていく・・・♡
キュン系なストーリーと思いつつ、旦那さんの死因がまだわからないので、取りようによっては
めっちゃサスペンス!!!って思いましたw
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2013/10/26 08:57
すごく微笑ましい作品だね。
 ありきたりな設定で展開が読みやすいってことは、
読書が苦手な人でも、ストーリーが分かりやすくて親しみを持ちやすくて良いと思うよ。
あ、私も久々に小説を書いてみたの。
よかったら、読んでみて。
アバター
2013/10/25 14:52
久々にニコっとに来て作詞ではなく小説を書いてみましたが、
なかなか面白い感じになっていくかもしれません

なんかシリーズ系で別に書いてる「哲学少年」よりももっと楽しく
のんびりテーマ次第で気ままに続けていくかもしれません

在り来りな設定で展開読めちゃうかもしれませんし
平々凡々な設定ですがお付き合いいただければと思います ではでは
アバター
2013/10/25 14:31
取り敢えず設定といいますか
軽く人物紹介でも

榛 巧人(はしばみ たくと)
長年付き合っていた恋人と死別していたが、
立ち直り現在は就職活動真っ最中
数年ぶりに再会した幼馴染の夏生とのお隣さんの生活を始める

稗田 夏生(ひえだ なつき)
巧人の幼馴染で姉貴分な性格
うまくいっていなかった旦那と最近死別したばかり
巧人の住所を調べ隣に引っ越してくる

松永 加奈(まつなが かな)
高校の時から付き合っていた巧人との彼女
数年前に亡くなりこの世を去っている

現在はこんな感じですね
思いつきで話進めてくので人増えてきます

一話目のリンク先↓
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=442098&aid=51053699




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