青ガチャとねことクリスマス Ⅱ
- カテゴリ:ニコガチャ
- 2013/12/25 02:20:08
ガチャくんが冷たい床のうえに転がされたまま泣いています。
ガチャくんは自分で起き上がることができないことと
チェロたんやまめさんの要望に
応えてあげられない自分が悔しくて悲しくて
冷たい床のうえに水たまりができるほど涙を流していました。
と・・・ガチャくんの体がふわりと浮き上がり
白い大きな手でささえられていました。
それは、このうちで一番大きな王子君というねこさんでした。
「ガチャくん、メリークリスマス」
王子君は抱き起こしたガチャくんの頬に
ひんやりしたお鼻でキスしました。
「ガチャくん大丈夫?
みんな本当はガチャ君が好きなんだよ。
悪く思わないでやっておくれね。」
さすがこのお家の王子様だけあって王子君は紳士的です。
ガチャくんは王子君の優雅な物腰にウットリと見とれてしまいました。
「それに、僕も君のことが大好きだよ」
王子君はこう言って、もういちどガチャくんにキスしてくれました。
そうして 宝石のように輝く金色の瞳で
王子君はガチャくんをジッとみつめました。
王子君の金色に輝く瞳は
まるで宝石のような
川面にキラキラと反射する陽光のような、
深遠な秘密を隠しもっている月の女神のような
深く美しい輝きを宿していて
ガチャくんは王子君に見つめられて胸がいっぱいになってしまいました。
ぶるぶるぶるぶるぶるぶる・・・・・・・・。
ガチャくんの体のなかは愛ではちきれそうになってしまいました。
でも、ねこさんの言葉を話せないガチャくんは
この愛を伝えることができないのです。
ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる・・・・・・。
ガチャくんは思いました。
自分の心を伝えるには 目玉を渡すしかないのだと。
そのためにガチャ一族の掟を破った罪をとわれ
切腹を申しつけられてもかまわない。
ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる・・・・・・。
ガチャくんは心を決め
そっと懐にしのばせている目玉をキュッと握り締めました。
その時です。
「ただいまあ~!!」
玄関に野太い声が響き渡りました。
この家のおばさんが帰ってきたのです。
おばさんは大きな体をしたガサツな人で
ねこさんたちのおトイレを掃除したり、お食事の仕度をしたり
ねこさんたちの美しい毛並みにブラシをかけて
召使として毎日甲斐甲斐しく働いていました。
おばさんは「ただいまあ~!チェロたん、いい子にしてた~?」
とまずリビングのドアを開けました。
そして「ああっ!!」と叫びました。
リビングでは、チェロたんが操作したコピー機が
機械から用紙を吐き出し続け
何百枚という紙がリビングの床を被っていたのです。
「チェロたん!!あなたの仕業でしょ!!
ファックスとかコピーはいじっちゃダメって言ってるでしょ!!」
と召使のくせにプリプリ怒りながらリビングを出ていきました。
チェロたんはあっちを向いて知らんぷりしました。
次におばさんは居間に入りました。
そして「うわあっ!!」と叫びました。
居間には まめさんが袋をビリビリに引き裂いた
紙製の猫用トイレ砂袋ぶんが
破れた袋から床にあふれ出てそこいらじゅうに散乱して
床を被っていたのです。
「まめちゃん!!あなたの仕業でしょ!!
トイレ砂をまきちらしてストレス発散するのはやめてちょうだい!!」
おばさんは召使のくせにプリプリ怒りながら居間を出ていきました。
まめさんは、あっちを向いてすましていました。
次におばさんはガチャくんと王子君がいる寝室に入ってきました。
そして「王子ちゃま~!!ただいまあ~!!」
と買い物袋を手にしたまま
王子君に両手を広げて近づいていきました。
王子君も「かあさん、おかえり~!」
とおばさんを振り返った王子君でしたが
おばさんを見た瞬間、王子くんの目がキラリと光り
その体に緊張が走りました。
そして、王子君はこちらに駆け寄ってくるおばさんを見据えながら
グッと低く身を縮めたかと思った転瞬
ダン!!
と王子君の後ろ足は力強く床を蹴り上げ跳躍し
まっすぐにおばさんの胸倉に飛び込んでいきました。
おばさんの衿には、
真新しいネズミ色のファーのマフラーがまかれていました。
「きゃああああ~~~!!」
王子君に飛びつかれたおばさんは
そのままもんどりうって倒れました。
そして、おばさんが倒れた瞬間
放り出された買い物袋から
色とりどりのカラフルなネズミがバラバラと宙を舞いました。
ガチャくんはネズミが大嫌いです。
それが玩具だと判別しないうちにガチャくんは
「きゃあああああ~~~!!」
と叫んで天井をつき抜け、
星でいっぱいの夜空にとびだしていました。
Ⅲに続く