Nicotto Town


錆猫香箱日和


花束


ごめんなさい

今日は 大好きなあなたを訪ねることができません。

今日は、一日中 サタサタと雨の降る音を聞きながら過ごしました。

昨日は、私が43年前に生まれた日だったので

昨日は 雨の日にこの世に生を受けたことを思いながら

一日過ごして、すこしだけお酒を飲んで眠りました。



ごめんなさい

大好きなあなたに 花束を買うのを忘れていました。


この世で一番最初に私をその手に抱いてくれて

この世で一番最初に 私を愛してくれたあなたに

花束を贈らかったなんて。



ごめんなさい

これは、その罰なんでしょうか

私の乗り合わせたでんしゃが 

私の知らない誰かのいのちを奪ったなど

おそろしくて ただ、おそろしくて 言葉にならないのです



いえ、きょうが はじめてではないですね。

わたしは、これまでにも 

かぞえきれないほどの命とひきかえに存在しています

じぶんよりも うつくしいであろう

そういう いのちとひきかえに わたしはいきているのです



その いのちは はるかとおく

50億年以上前に

どこか遠い星で水素というものが誕生し

この水素が燃えて 窒素や炭素や珪素ができ

星が生まれて 宇宙ができ、それが爆発して 

惑星が生まれ

宇宙になり

私たちの体もできたのです

私たちのからだは、もとをたどれば 

めにもみえないような水素から生まれ

今日まで連綿とつながってきたのです。


わたしとあなたは

はるか、50億年以上に 一緒に生まれたものでした




そんなあなたに、花束を

花束を、今夜こっそり届けたいと思います。

私の知らない愛するあなたに

花束を、花束を。

どうか、ゆっくり、あなたが眠れますように。









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