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はいどあんどしーく


お題 「はな」  タイトル 康成っぽい?


   
     タイトル  康成っぽい?



トンネルを抜けるとそこは雪国だった これは誰もが認める名文ですよね。
この一文だけで、その情景が目に浮かぶし。伊達にノーベル賞取ってる訳ではないです。

そこは自分としては凡人の才と言うか、まあ作家でもないので、そんな文言を書くのは無理なんですが、
しかしこれに近い現象には出くわした事が有ります。
それは自分がまだ20代の頃の話しです。
ちょうど時期は今位(現在4月初旬)で、そんな風景を目の当たりにしました。
それについては、順次書いて行きます。


その時自分は、年度末までには完成させて、新年度から稼働させないとまずいシステムを作ってました。
それって全国に散らばった支社共通のシステムで、まあ仕組み的にはそうなのですが、
それでも地域性と言うものが有って、土地土地で多少の手直しが必要になります。

自分は本社で根幹となるそのシステム作成に携わっており、それまで約2年かかったそれも、
3月始めにはそれはとりあえず完成させてあって、
残りの期日でチェックシートに従ってテストデータを入力しては、動作確認をしていました。
多少の誤動作もありましたが、どこを直せば解っているので、大問題にはなりませんでした。

支社にある各々のシステムもそれに準拠して変更がなされて居る筈なので、本来は問題が起こらない筈でした。
が、三月の半ばです。4月一臂からそれを稼働させる為に、現在運用されているシステムに、それを組み込んだ時です。
ま、当然緊張はしますよ、今更動かないじゃ、それこそ大ごとなんで。

とりあえずシステムは問題なく動き、一応安堵です。
そして網の目で繋がった各支社とのシステムとも数日かけたテストでは問題は出ませんでした。
「もう後は4月はのんびりと過ごせるな」と自分も、きっと作業チーム全員が思ったでしょう。
が、油断はそう言う時に起こるですわ、そういうのって。

そこまで全国のどこも問題が無かったのに、北陸の支社だけにエラーが発生しました。
幸い、どのテストパターンでも同一のエラーが出たので、どのプログラムが原因かは簡単に突き止められました。
だが、そのエラーの出たシステムの担当者の主任が自分でしたよ トホホ。
でもプログラム自体は他の支社も共通なので、こっちが作ったプログラムは悪くない筈です。
どうやら北陸支社の変更されたプログラムの何処かがダメなのです。

で、自分含めて8人と課長が、次の日から北陸行きです、しかも直るまでの期限不確定で。
桜前線の情報が天気予報で賑わっている、そんな時に、まだ雪が積もってる寒さ厳しい場所にです。

それからは、何の飾りっけも無いシティーホテルと北陸支社の往復の日々が始まりました。
支社のシステム担当も、本社からの指示書の元、作ったシステムなので動揺してましたよ。
とにかく本稼働が4月からだから、3月中になんとかしなきゃならないと、凄くまずいです。

でも10日間、土日を潰して仕事しても、エラーが一向に直りません。
徐々に青くなった課長が、北陸支社の偉い人を交えての会議をしてましたよ。

エープリルフール、とても嘘付ける精神状態では無いです。
だって直らないんだし、新年度になってしまったのにさ。

とにかく一時しのぎで、前のシステムの運用で今はその場を乗り切る事になりました。
まあ、北陸支社だけの話しですが。

やっとエラーの原因がつかめたのは、それから数日してからです。
「ふざけんな!」的なのが原因でしたよ。
新しいシステムも、北陸支社のシステムも悪くなかったんです。
元々のシステムに原因があったのですよ。

だから尚更厄介です、それって全国で動いているシステム全部に、同じエラーが出ると言う可能性があるからです。
今回、たまたま北陸支社だけにエラーが出ただけで、いつどこでシステムダウンするか解らないって事なんで。

本社では、全国のシステム担当者が至急集められ、対応策を検討、そして自分達は引き続きここに居残りです。
本社システム部では数日を要して、システムの洗い直しがなされ、即座に緊急プロジェクトが立ちあがりました。
で、○○プロジェクトと言う命名がされましたよ。
そして○○にはなんと自分の名前が入ってる ガガーン。

俺のミスじゃねーだろうが!!
と言っても、本社のシステム部が名付けたので、自分ごときが何言っても仕方ないです。
単にたまたま係わった中で、中ボスだったのが自分だからって理由なんだろうよ。

実際、エラーの原因は自分たちが見つけた、一個のプログラムの命令でした。
とりあえず、他に問題が無い事は全国の担当者がそれを証明しました。

そこでやっと20日滞在したこの地から、サヨナラになりました。でももう4月10日ですが。
必死で一緒に作業をした北陸支社のシステム担当者とは同じ苦労をしたせいで仲が良くなったです。
とりあえず打ち上げをして貰って、しこたま暴れました。

そしてその翌日、まだ雪の残る土地から電車に乗りました。
安堵と精神的疲れから、シートに座って即寝ました。

目が覚めたのは、関東圏に入ってからです。眠って1時間位だっただろうか?
半月以上、雪化粧を見続けてきて、きっと長いトンネルを抜けて来たであろう関東の景色は、実に艶やかでした。

見る所、見える所が桜の花で満開でしたよ。
電車は田園地帯を走り抜けてしまいますが、でも次々と桜の花が自分の目を楽しませてくれました。
桃源郷?とは言わないですが、でもご褒美かな?とは思った景色です。


さて、ちょっと長くなりましたね。
でも目が覚めて見た景色は確かに網膜に焼きつけられる位の感じでしたよ。
別に文学的では無い話しなのですが、川端康成チックではあるかな?って思ってこの想い出を書いてみました。

しかし皆さんもあるでしょう?こういうの。
例えば、新幹線で急に眼の前にでかい富士山がドーン!と現れた時とか。
自分は、それで言えば、茨城県に牛久大仏と言う、なんか地球防衛軍最終兵器みたいな、どでかい大仏があるのですが、
そういうのを有る事を知らずに、ドライブで見通しの悪い雑木林を抜けた瞬間、
それがいきなり目の前に現れた時は、「うわ!」って声あげてしまった事が有りますよ。
それ位でかい大仏です。もしチャンスあれば現物見た方が良いです、きっと笑います。


一応、これで話しはおしまいなんですが、後日談も話します。
本社に戻って、自分の名前が付けられたプロジェクトに当然携わり、
とにかく同じようなプログラムミスを見つける作業をし、もし見つかればデバッグ作業と言う事をしました。
最終的に、ゴールデンウィーク明けまでしました。
従って、その年のゴールデンウィークは、ちっともゴールデンウィークではなかったです。
外国旅行予定の奴等も居ましたが、そんなのは行ける訳無いです、なんか可哀想でしたね。
早々と面倒な予約とかしたのにね。

一応、なんらかの処分が下るかな?とは思いましたが、減俸もされなかったし、査定自体も同期と比べて悪いとかも
なかったんで、そこは良かったです。
だがその年は、○○プロジェクトのおかげで、自分の名前が悪い意味で有名となり、
それは大変困りましたが。

では、これでおしまいです 最後までお付き合い有難うございました。



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2015/04/07 07:43
wwww
あるある
階段を上ってここか??と思ったら 
まだ先に階段がデ~~ンと奥にあって凹んだ金毘羅さんwww



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