近況その② 罠
- カテゴリ:日記
- 2015/04/26 02:49:12
わたしの母親の血液型はB型である。
そして、私はB型の母に圧倒され、振りまわらせ続けらえている。
母は、昔 子供の私に
「お母さんは、心が貴族なの」と のたまった。
あまり こういうこと子供に言うお母さんって いませんよね?
私はそんな母親に先導されながら、
なんとなく ドナドナの牛になったような気分で歩いた。
ここ数ヶ月、わたしは母親に翻弄されまくりである。
風にくるくる舞う1枚の枯葉、首に紐つけて荷車をひく牛のように。
まあ、でも ここは駅から少し離れているから自転車を買え、
という母の命令は 的はずれなことを言ってるわけではないし
引っ越してからの生活に 確かに自転車はあったほうがよい。
自宅から50メートルほどのまっすぐな道を歩くと
その先は十字路になっていて
自宅からの道をコの字に曲がり ゆるやかな長い坂道を登りきると
交通量の多い大通りに出る。
その大通り沿いを10分ほど歩いたところで 母は振り返り
「あそこよ。あの自転車屋さん」 と 少しウキウキした調子で、言った。
そこは、店頭にバイクがたくさん並び
お店のカンバンにも大きく
「バイク」 だとか HONNDAやKAWASKI などのロゴマークがめだつ。
どちらかというと、バイク屋さんをやるかたわら
近隣の子供や主婦向けに自転車も 需要に応える程度に扱ってる という感じ。
その証拠に たくさん置かれたバイクの隣のコーナーにある自転車は
ママチャリと子供の自転車。
それから数台置かれているモトクロス用の自転車は目玉が飛び出るほど高い。
「全然欲しい自転車がない」 と、私は母に苦情を言った。
すると母、
「なに言ってんのよ。
あなたの年齢からいったらママチャリが一番お似合いでしょ。
あのへんの値段が手ごろなママチャリから選べばいいでしょ」
でた、暴言!!
でも 私も負けずに
「絶対にイヤ!!これからバスで駅前に言って、西部デパートで自転車買う」
と言ってやった。
そうして、母と店頭で自転車を指差してギャアギャア言い合い
私が自転車屋に背を向け立ち去ろうとしたとき
背後から男性が声をかけてきた。
「あの、いまそちらで組み立ててる自転車はいかがですか。
あれは前カゴはついてますが、いかにもママチャリというデザインではないし
お値段は2万円台でそれほど高くありませんし」
ふりむくと、よく陽に焼けた ツナギを着た40歳くらいと思われる男性が立っていた。
ちょっと俳優の阿部ひろしに似た茶色く濃い顔に
人懐こい微笑みをうかべている。
とても感じのよい笑顔だったので、私はこの自転車屋さんが指を指した
店のわきで完成しかかってる自転車を見た。
たしかに前カゴだけで、後カゴはなく
後カゴがついてる部分に座ったり 荷物をくくったりできるような台はない。
まあまあのデザインだったのだが、惜しいことに色が薄いピンクだった。
私は正直に「デザインはあんな感じでいいけど、ピンクはイヤです」とキッパリ断り
他に、ああいう感じでお値段もそれほど高くないのはあります?
とつけくわえた。
すると自転車屋さんは 「ここにはないけど、カタログで取り寄せられます」
と、いろんなメーカーのカタログを持ってきてくれ
ブリジストンとかは高いですが、
こちらのメーカーのはお値段のわりにはデザインもいいし、モノもいいです」
と熱心に説明してくれる。
その自転車屋さんの横顔に
私は「あれ?」と一瞬目を止め、考えた。
と、母がカタログを見ながら
「見て、この自転車、前カゴそのものがペットキャリーになんてるわよ。
こんなのあるのねえ」
と関心した声をだす。
自転車屋さんが
「それは5万くらいしますね。 ワンちゃんでも飼ってらっしゃるんですか?」
言って わたしのほうに首を傾げてみせる。
そして 「ウチはまだ半年になるかならないかくらいの猫がいます」 と微笑む。
自転車屋さんの微笑んだ顔をみるたび
「あれ?この人とは以前にどこかで会っている」 という思いが強くなっていった。
「私、今度20数年ぶりに実家に戻ってくるんです。
で、いま住んでるところに猫が3匹いるのですが、
猫を輸送する方法をどうしようかって。
でも、ワンちゃんならともかく、猫の自転車輸送は無理かな。
ひとり、6キロくらいあるコもいるし」
自転車選びでななく、完全に猫談義だ。
しかし、自転車屋さんは「6キロの猫ってスゴイですね!」と楽しそうに
私のほうを振り向いた。
そして、その視線がハタと私の顔に止まり
一瞬、おや?という顔をしたのを私は見逃さなかった。
私は、いまや完全にこの自転車屋さんの名前を思いだしていた。
阿部、ではなく 「 三上 ひろし 」 (やはり俳優みたいな名前だが)
私は 三上君と小学校1年生で席が隣になってから
毎日学校から手をつないで下校したものだった。
三上君は、明るく快活で、勉強もスポーツもできる
典型的な 「良い子」 だった。
しかし、私は子供時代 ゲゲゲの鬼太郎の猫娘に顔が似ているし
普段はわりと無口で冷めているのに 一度怒らせると手がつけられないというので
クラスの男子には 「ねっこ~ねこむすめ~」
などと言って からかわれていたのだが
私は決していじめられて泣き寝入りはしなかった。
三上くんが下校時に野球に誘われて 一緒に帰れない時などは
私はそういった 自分をからかう男子を待ち伏せてゲリラ戦をしかけ
三上君には内緒で ひとりの時の下校のたびにいじめっ子を血祭りにあげていた。
それが、私の日課だったのだが
男子たちはある日、下校時のゲリラ戦が自分達に
非常に不利な形勢をもたらしているのに気がつき
あろうことか、まだ教室に生徒も多く残る放課後の教室で
私を口汚く罵り、
「なんだよ、今日は暴れねえのかよ、猫。
ホラホラ、やってみろよ、いつもみたいによお!!」
と言いながら男子が殴る拳にスピードをつけるために
半歩 身をひいた瞬間が反撃の絶好のチャンスだということを
私は長い戦いで知っていた。
私も、敵とほぼ、同時に身をひいていた。
目の前のバカな男は、自分のリーチを忘れていた。
パンチを繰り出すスピードがほぼ同じなら
奴の顔面に拳を叩き込むのは どう考えても腕の長い私のほうだ。
この勝負、もろたァ!!
うおおおおおおおお!!!!!!!
という雄たけびをあげ 拳がいま まさに敵の鼻を砕かんとする
まさにその時であった。
「やめろお!!」
と、三上くんが両手をひろげながら
両者の間に飛び込んできた。
私の渾身の右は、三上君の鼻に炸裂し、血がしぶいた。
そして、その日から
もう二度と三上君が私の手をとって下校することはなかった・・・・。
どうやら、三上君も いまや私を完全に思いだしたようだ。
「こちらはいかがでしょう? 2、3日もすれば届きますよ。」
と、先ほどの笑顔をややあらためた顔でカタログの商品を薦めた。
三上君の薦めてくれたのは、黒い車体に赤いアクセントが入ったものだった。
きっと、彼もあの血ぬられた過去を思いだしたに違いない。
私は、その三上君の薦めてくれた自転車を購入した。
3万円3千円だったが、ピッタリだすと
三上君はそのうち3千円を、私の手のひらにのせてバックしてくれた。
店をでると母は
「三上くんが家業継いだのよ」 と満足そうだった。
母は、最初から何もかも知っていて
私をあの自転車屋に連れていったのだ。
母よ、娘で遊ぶのはそんなに楽しいか・・・。
しかし、自転車をとりに行った日、さらに思わぬことが待っていたのだった。
しかし そのおかげですぐさま続きが読めるというo(^-^)o ワクワクッ
ε=ε=ε=ヾ(э^・ェ・^)эニャホー
ひどいっしょ~!娘の幼少の思い出を、まったく、何だと思ってるんでしょー!!
砂桜さん
お褒めいただき光栄です。自分がこういう子供だったので、子供のいじめ問題とかすごい気になります。
パゴットさん
続きはロマンスとはほど遠い話です。 スポ根モノに近いかも・・・。
hanaさん
関西人のhanaさんに笑ってもらえるとチョー嬉しいです!続きも頑張って書いてまっせ~!
プリンセス
自転車、すごい乗りやすくていいものだったんだけど、長時間乗ってるのキツイね~!!
らんなーさん
母は娘の幼少の思い出をオモチャにしました。ひどい話です。えっ、まさかこれ以上の企みが?!
えめるちゃん
頑張って書いてるけど、私はすんごい遅筆なのだ。お許しを~><
サラさん
きゃ~!締め切りあと1日、2日のばして~!!
サバ子ちゃん
面白いでしょ、ウチの母親。でも、こんな人の娘だと大変なのだよ><
サビ猫さんは、とても勇敢(?)な方だったのですね!
イジメッ子に立ち向かうサビ猫さん、素敵過ぎます(≧▽≦)
ロマンス?
はよ~続きを読ませてチョンマゲ~♪
自転車は 店で買うものです。 良い店で買った自転車は、とても良い物になります。
羨ましい!!!!!!!!!!
いやいやいや、母上、何を企んでいたのやら…
お母さんは三上ひろし君の事をよくご存知のようですし… (´ω`) ンー… 怪しい…
これはもうアレしかないでしょ (=゜ω゜)ボー…
はよっ!
おもしろ~~www