２月 針 「待ち針と蒼き尊し」 後編
- カテゴリ：自作小説
- 2016/03/04 04:34:22
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そしてそれから間もなくして、光葉は元気な女の子を出産した。
2,740ｇ(ぐらむ)とまずまずの適正体重らしく、特に出産後の光葉や赤子の様子も問題はなく一先ず胸をなで下ろした。
病院の産後の処置と検査を受けて、これも問題はないみたいなので時間が経つとすぐに退院の日となった。
「子供の名前何にするか、候補とか決めた？父さん達が決めろって言ってくる前に、早めに決めておいた方がいいと思うんだよね」
「そうだね、私はもう決まってるんだけどな」
ぼくが迎えにいった車の中で一緒に退院した赤子を抱く光葉にはもう候補は決まっているようだった。
「どんな名前なの？」
「鼓(つづみ)かしら、太鼓の鼓(こ)でつづみって読むの、これから帰ったらじっくり話し合うけどね」
車を運転しながら走るぼくの後ろで、決まった候補をひとつ上げた。
「何にでも奮い立って挑んで欲しい願いからつけたかな、宗介は何か候補とか考えてくれたの？」
「特に考えてなかったわけじゃないけど、思いつかなかったかなあという所かな……申し訳ない」
「あー、ひっどい！前々に自分から名前極めようって言ってたのに、当の本人がこれじゃ意味ないじゃんもー！」
ぼこぼことヘッドレストを叩きながら抗議する光葉。
ちょっと運転中なんだから勘弁してくれ……とも言いたいが飲み込んでこう答えた。
「ちょっ、お前、バカ！止めろ、帰るまでが出産なんだよ、落ち着けってな、な？」
「遠足は帰るまでが遠足って先生が子供に言う様なこと言わないでよ、帰ったらみっちり決めるんだかんね」
半ば怒った状態で「もー、本当にお父さんはルーズでちゅねー」と、赤子に言い聞かせた。
もうすぐ僕らが住んでいるマンションに到着する頃だ。
そうこれから、これからなんだ。ぼくと光葉が育んだ愛が歩み出すのだ。
そうですね、自分もそう言う未来の子供たちへ何か伝えられる様な大人になりたいと思います。
「針」というテーマなので少し無理矢理突っ込んでしまった感じがしますが、
届けたいメッセージが伝わって何よりです。 コメントありがとうございます。
この夫婦にはふわふわと風船みたいに、夢と想像の空気で翔んでいってほしいと感じました。
待ち針にたとえた子供への愛情と仕事への誇り、とても素敵だと思いました。
幸せいっぱい、未来への希望の船出＾＾
普段はRap詞(Lyric)ばかりを書いていますが、たまにはこんなのも悪くないかなと思いまして。
またモチベーションが上がれば、現在休筆中の『彼女が摘んだプリムローズ』も書いていきたいなと思ってます。
誤字、脱字等の、おかしな点が御座いましたらコメントにてご指摘下さい。
ありがとうございました。
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=442098&aid=61423569
２月 針 「待ち針と蒼き尊し」 中編
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