Nicotto Town


陽芽花の神様 ~人と神様のまったりブログ~


5章:「まいと神様の長い痴話喧嘩 24日」

―――12月24日の事。

子「さてと。もうクリスマスか・・・弟たちにどんなのをプレゼントしてやろうかな」


ここはあの世。
つまり神の国である。

神の国もクリスマスを楽しみにしているもので、家族と、どう楽しむか。
そして人間界に幸せを運ぶかを練っていた。

亥「ぉおおおおおおお はよぉおおおおおおおおおおおおお!!!
たっつー!メリィイイイイイイイイイイクリスマァあああああああああああスッ!」

子「こらこらっ。そんな大きな声を出すな。
こいつは今病み上がりで、体力も精神力も削れているんだぞ?」

亥「え???なんかバトってたの?」※バトってた=バトルしてた

子「いや。また守護していた女の子との恋愛のもつれだ」

亥「えっ…
そ、そうなんだ…」

子「全く。子(ねずみ年)の神としては神との恋愛に賛成できんのだがな。
最初っから無理な恋愛なんだよ―――」

亥「こらぁ、ねずっちー!他神(たじん)の恋愛にケチつけるとは何事かっ!!!
これだからお子ちゃまだとか言われるんだよっ!?」

子「なぁんだぁ?」

亥「たっつー。
ねずっちの言うことなんて聞いちゃだめだからね。
たっつーが信じれるものを信じていけばいいんだよ。ねっ?」


そこにはうんとも、すんとも声が聞こえない。

こちらが文にするには、かなり困難ではあるが、イメージを語るとすれば。

ある森の中に古めかしいローマ建築のような建物に、まいの守護霊が
すべてを投げ出しているかのように、ぐったりとしていた。

そんな姿をまた別の家の、室内が半分切り取られたところから子と亥の2柱が
心配そうに見ていた。 ※柱=神様の数 (例)一人、二人 → 一柱、二柱


子「なあ。相談に乗るぞ?つらいだろ」

辰「」

亥「とりくん呼んであげるね。とりくんのほうが話しやすいでしょ?」

辰「」こくりっ



……

………。


酉「やあ兄弟、お疲れ様。
そろそろ僕の年がやってくるって聞いて、内心バクバクだよぉ。
申さんなんて「やっと解放されるぜぇ~」って言って酒を飲みまくっていたよ。
罰ゲームじゃないんだからぁ~」

子「悪いな飲み会中に。辰のやろうがちょっと…」

酉「ありゃ。ほんとだ―――

辰くん。どうしたの?何か辛いことがあった?」

辰「―――とり…実はな…。
下らない話なんだがな…。

まいが俺と付き合っているのは、実はまいが作った幻想で。
俺との関係をなかったことにしよう…だとか。

他の人と本当に恋愛しようだとか。 言ってて…」

酉「…つらいね。それは…」

辰「なんでだよ…どうして俺の姿は見えないようになっているんだ?
昔は、昔の日本だったら。そんな価値観がなかったはずだろ…?」


酉「…昔は”神を視て””頭で感じていた”文化だったけどね。
今は文明が発達して、文化も価値観も変わった。
形ある物こそが全てだと、変わってしまったから、僕らだけでその価値観を変えるのは
無理なんだよ」

辰「知っている!あの時、俺が守護霊に選ばれたとき!
一生俺の存在に気づかないまま、ずっと一緒にいるだけで、終わる関係なんだと!
覚悟して守護霊になったんだ!

だが!
あの時!まいは俺の存在に気づくようになって!
俺のことを好きだと!言ってくれたんだ!!

なのにっ…!なのにっ!
どうして俺の気持ちを疑う!?そんなに信じられないのか!?
まいの気持ちも…本物なのにっ。どうして疑うんだよっ…!」


酉「…まいの、心を読んだんだね?」

辰「ああっ、混じれ気なしで。本当に疑ったんだよ…!
俺の…

俺の敬意が足りないのか…?」

酉「敬意。
どうかな…。僕らから見たらとても甘やかしすぎてて、ちゃんと全うできてるのか
心配になるくらいだけれど。

辰くん。
恋愛は何でもgive-and-take(ギブ-アンド-テイク)だし、恋愛に疑いがなくなることは
ないんだよ。
好き同士なら、尚更。

それは相手に興味があるって、信じたいって証拠でもあるんだよ?

まあ…一種の気の迷いでもあるかな?彼女は。
だって今までにない経験だし、神様…まあ守護霊との恋なんて。
人間界じゃポピュラーじゃないからね」

辰「気の…迷い…そうだな。
まいは、自暴自棄になると、思っても見ないことを平気で口にするし。
考えが極端だから…

それに。家庭のこととか、学校の事とかで疲れていたんだ。
彼氏に…

俺にきつく当たってしまうのは、しょうがないんだ。
わかった。ありがとう…

俺、戻る―――」


亥「たっつー」

辰「迷惑かけたな。一度戻る…」


酉「辰くんー。


―――いってらっしゃい…」

子「まだ、つらさそうであったが。戻っちまったな」

亥「…たっつー。なんだか可哀想…」

酉「本当は守護霊は、常に傍観者でいなければいけないんだけれど。
辰くんは、相手を思いやりすぎてしまうからなぁ…

僕も、守護霊やったことがあるから。
何となく、わかるよ…」




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