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【花蝕外伝】 エピローグ 


                 ↑ 小さいラズィーズ、整形してみましたw


エピローグ 【最初から最後まで ロワゾーの視点】

ワルドの雪の魔力を見たのは、すいぶんと久しぶりだった。
いちばん最初に見たのは、士官学校に入学して 間もない頃だったと思う。
あの時はラズが風邪をひき、熱を出して寮で寝込んでいた。

ラズ、何かほしいもの ある?
… 雪だるま
え?

あれは、寝言だったのかもしれない。夢を見ていただけだったのかもしれない。
それでもあの時の小さな私は、その一言を真に受けて、ワルドに言った。… 雪なんてどこにもないよ。
だいじょうぶ、私が作るよ、とワルドは自信たっぷりに両手を高くつきあげた。

あ、ホントに雪だ。つめたい。
このくらいでだいじょうぶかな。
じゃ、雪だるま作ろう。あんまり大きいと寮に持っていけないよね。
小さいほうが かわいいよ。
せっかくだから雪うさぎもいっしょに作ろうか。
うん、葉っぱで みみもつけて。

いま思えば、あの時ワルドが降らせた雪は、水分が多すぎて、雪だるまを作るには向かなかったが…。
懐かしい記憶に、思い出し笑いをしていたのだろう。

どうしたの? 何か楽しいことでもあった?

振り向くと、ワルド、シュラーフ、ルィツアリが立っていた。
予科の頃を思い出していたのだと言うと、あったあった、そんなこと、とワルドが大笑いをする。

すぐに融けちゃって寮の廊下を水浸しにして。怒られたよねーーーっ。

やけに楽しそうだ。あの時は、ラズに雪だるまを届けられなかった… としばらく 凹んでいたくせに。
はしゃぐワルドの隣で、じゃあ作ろうか… とルィツアリが言った。

え?
雪だるま。雪じゃなく、アイスクリームかシャーベットでどうかな。
あ、それいい! せっかくだから、みんなの分も作っていっしょに食べようよ。
賛成! 私も手伝うよ。

作ろう作ろうとみんなで < 寮生自炊したい時は勝手にどうぞ > のキッチンにこもり、わいわいと賑やかに…。

雪だるまの目はどうする~ !?
チョコチップとかでいいんじゃない。
雪うさぎの目は赤い方が可愛いから着色しようよー。

… いちばん口数が多いのはワルドだったが、作ったのは、ほとんどルィツアリとシュラーフだった。

細胞ちゃんが~~~ と大騒ぎをして以来、元気がなかったラズだが、
氷菓の 『雪だるまと雪うさぎ』 を部屋に持ち込んだら、満面の笑みで喜んでくれた。

予科の時の話も出たが、ラズは全く覚えていないらしい。
それはそうだろう、熱に浮かされていたし、
私とワルドは、ラズにお見舞いの雪だるまを届けることができなかったのだから。

嬉しそうに雪だるまを食べ、楽しそうに盛り上がるラズィーズ、シュラーフ、ルィツアリ。
彼女らを眺めながら、キッチンでは あれだけはしゃいでいたワルドが なぜか静かだ。

どうしたんだろう… とワルドの顔を覗き込むと、
やや照れくさそうな表情を浮かべて、そして少しだけ感傷的な色を込めて、ワルドがつぶやいた。

あの時に融けた雪だるま、やっと届けられたね。
そうだね、ワルド。いったい何年かかったんだろう…。

(トラブルメーカー、〆)


当時が予科一年、現在が専科三年、と仮定すると、人間でいえば 14年くらいかなwww
外伝の〆のデザートというか付録というか、最後に ちょっと可愛いロワゾーとワルドとプラスしてみました。
普段は忘れているのに、何かの拍子で思い出す、小さな出来事…
そんなこんな… 誰でもあるかもしてない。。。 というのは完璧な言い訳でw
なんてことはない、奥手持ちアイテム・雪だるまと雪うさぎを使いたかっただけでした。

 ◆◆◆

ラズの天然っぷりを見せるには、ラズの一人称で話を進めるのが最も書きやすいのですが、
その代わり、一人称には、他者の視点で見たモノゴトを入れられない…
というデメリットもあります。

今回の本編は、ワルドが抱える 漠然とした不安 が肝でした。

が、ラズの視点で 「常でないワルド」 を書くには、
天然ラズが気づくほどに、ワルドをうろたえさせたり、エキサイトさせる必要が出てくる。
でも それをやってしまっては、ワルドが ワルドでなくなってしまう。

さーて どうしたもんかな~。

で、思いついたのが、冒頭に他者の視点を置き、本編をラズの視点で進める二重構造です。
書いている私は解って書いているので、最初から違和感がなく…。
… もしや、読むほうが解らずに混乱するんじゃないか Σ と気づいたのは、
公開直前になってからでした ヾ(--;) アホウ

慌てて、第一話・第二話の始めにだけ

   私 (ラズィーズ)

と書き加えましたが、それ以降はミゴトに すっとばし www
第五話までドキドキしながら公開していましたが、特に混乱している様子も見られず… ひと安心w

みなさまの読解力に、感謝申し上げます (((o≧▽≦)ノ彡


◆ 悪魔シリーズ著作者・ゆうなさんの本編と今までのシリーズ (目次)
https://goo.gl/sGPglp
◆ ARCHMASTER のみなさまが執筆、現在連載中の外伝シリーズ (目次)
https://goo.gl/dikvCf
.

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2017/06/03 00:18
5月は魔界の士官学校生活を楽しんだひと月だったよ
自分が書くのも楽しかったんだが、人様が書くのを読むと見識が広がる!
和さんは書くことを楽しんでいる人だなぁ。。。
キャラは書く人が常に考えていることの塊みたいなやつだから面白い

日常生活に事件が起こる
日常を自分視点でひたすら綴る
どっちも書き方だけどいろんなやり方で表現していけるよな♪
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2017/05/31 00:16
かっこいいワルドをイメージしてくれてありがとう^^
彼女は、毒舌のひねくれ者とか思うけれど。。
屈折した過去がありそう^^
私が思うラズちゃんは、少年ぽくって、可愛くて、ちょっと向こうみずな、いたずらっ子
でも、頭の回転は早くて気は利くんだよ。
じゃないと、マダムに付き合えないと思う
ロワゾーちゃんは漢らしく、リーダーシップをとる、ちょっとクールなキャラで、さりげなくやさしいと言うイメージです。
ラズちゃんもロワゾーちゃんも書いてて楽しかったです。
私は書くことの素人なので、言葉の使い方が未熟だったり、語句不足だなとつくづく想いましたが、終わってみたら楽しかったです^^
本当にありがとうございましたʚ❤ɞ

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2017/05/28 22:37
食べることで共有する体験。
仲良し同氏が、昔を思い出して、懐かしのアイスを作って食べてみる。
これは幸せな時間が過ぎていきますよね~。

いいなぁ~、私もこんな経験してみたい!!
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2017/05/28 22:00
ルィツアリも出して貰っちゃってありがとうございます。

同級生な4人がわいわいとキッチンに居る姿、私も短大の寮がそんな感じで思い出しちゃいました。
少しはラズが元気になったなら何より。
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2017/05/28 19:18
かわいいラズを見れて、しあわせ^^
うんうん、独白の部分よかったよ^^
そうそう、自分を動かすのは、出来るけれど、他の視線を入れられないので、出来事が分かりにくくなるんだよね。
ラズちゃんのお話おしゃれで、楽しかったです^^
ワルドも出してくれてありがとうです。
ゆうなさん設定のワルドはもっとクールで毒舌な子と思うけれど、私が書くとホンワカになってしまうので、幼稚舎にしてしまいました。
ある意味、他の方が書くワルドの方がワルドらしいと思うのです^^
書けずに悩んだこともあったけれど、楽しかったです。ありがとう^^
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2017/05/28 16:53
ラズィーズの画像見ると苺アイスが食べたくなる
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2017/05/28 15:04
うちにも氷菓の雪だるまと雪うさぎを届けてください!
美味しく頂いてみせます!(*≧m≦*)ププッ

今回の外伝、斬新な手法だなぁと感心してましたよ^^
普通に読んで理解してたしw
こちらこそ、堪能させて頂きました^^
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2017/05/28 12:02
雪だるまと雪ウサギの氷果おいしそうだなぁ(*´﹃`*)じゅる
可愛らしいエピローグにほっこり。
わーきゃー楽しそうな寮生活が目に浮かぶようでした^^
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2017/05/28 11:16
今回の冒頭独り言描写から入る構成
インタビュー形式が文学的でよかったです^^
文化は冒険だっ! byナスターシャ局長
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2017/05/28 11:10
普段は忘れている小さなことを ふとした拍子に思い出す
ありますね〜
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2017/05/28 05:45
それぞれのキャラクターを尊重しながら、見事に描き切る
よく構成された構造だと思いました。
違和感全くなく、混乱もなく、美しい話を楽しめましたよ。

学生時代のあのわいわいとした楽しさ。
その裏に潜むワルドの漠たる不安……面白く拝読させていただきました。
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2017/05/28 00:25
いやいや 素晴らしいアイディアで
文字面もオシャレでキレイでした(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ

混乱なんかありませんでしたよ^^

最後のデザート
本当に楽しい学生時代だったんだなぁと
実際5人で一緒に過ごしたような気分になれました(ĭωĭ。*) ホロリ



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