Nicotto Town


エミルの風姿花伝


天の国の鍵 2017A21(16)

主なる神は エデンからアダムを追放したとき
命の木に至る道を守るために
ケルビムとセラピム
すなわち 煌めく剣を 置いたのだった

この命の木は
地より湧き出でる水によって潤され
その木に実る果実は
地に落ちては地に埋もれ
それが天地の創造の始めから
繰り返されていたのだから
堅い塊となり 「岩」と呼ばれることになるのだった


やがて
アダムの子孫の中から ノアが現れた

そして
ノアの子孫の中から 石や「岩」を切って
その上に建てるのではなく
煉瓦を焼いてバベルに塔を建てようとしたが
意思の疎通に齟齬が生じ計画は頓挫したのであった

アダムの子孫 ノアの子孫 ノアの子セムの中から
アブラハムが現れた

アブラハムが その子イサクを連れて
モリヤの地に行ったとき
そこに かの 「岩」が あった
この「岩」の上に 薪を並べ
一人子の イサクを 置き
刃物で 血を献げようとしたとき
茨の中から子羊が捕らえられ
イサクに替わって 屠られた

やがて
イサクの子孫から モーセが現れた

モーセは 自らが率いる民が
乾き 飢えるがゆえに 
ホレブの「岩」を 杖で打ち
水を 迸り出させた

やがて
モーセが率いたイスラエルの民の中から
ダビデが現れ

さらに
そのダビデの子と呼ばれた人が現れた

この人は
ゴルゴタと呼ばれる「岩」の上で
十字架に掛けられ
水と血を 流した


永遠の命に至る水は
「岩」から流れ出ていた

この「岩」の上に建つところに
永遠の命 天の国があるのだった

命の木に至る道は 階段となり
これを登ると 
「あなたは 生ける神の子 キリストです」
と 告白したペテロが 鍵を持っていた

この鍵は
かつて
命に至る道を守るために置かれた
ケルビムとセラピム
すなわち 煌めく剣

「岩」に打ち込まれた 剣を 抜くモノは 誰なのか
中世には そんな物語も生まれていた

極東では
脚下照顧 と足下を検めさせられる
あなたは 何処に いるのか 何処に立っているのか
という自問自答である

アダムが善悪を知る木の果実を取った後
聞いた言葉が これだった

命に至る水を迸り出流る岩
この岩の上に立つ心に活きよ

堅固なる岩を 褒め称えよ




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