ちゃか　ちゃんりん　ちゃんりん
ちゃんりん　ちゃん　ちゃん♪　ぽん　ぽん！

「皆さま　雨風のお危ない中
ちょっとしたきっかけで
かような席においでくださいまして
誠に　有り難いことで・・・

とか　言いつつ
この席を　用意いたしましたのが
この拙でございますから
誠に　無し易いことでございます＾＾

有り易いことと言えば
この時期になりますと
脂ののった秋刀魚の初物が
店頭に並ぶもので＾＾

これを七輪の上に乗せて炙れば・・・」


おい　キンタ　キンタよ

はい　なにでございましょう　お姫さま

この　怪しげな匂いと薫り　妙なる煙は　なにものぞ

は　それは　
この世には在ってはならない
悪しき邪鬼であります

ならば　戦え

ははっ　

「お姫さまの従者なるキンタは　邪鬼と戦うのであった」

キンタ　負けるな！　キンタ　負けるな！

はい　お姫さま
しかしながらに申し上げます
そのように　蹴られますと　割れてしまうかもです

では　その木の周りを駆けて　邪鬼から逃れよ

キンタ　回れ　キンタ　回れ

はい　お姫さま
しかしながらに申し上げます
そのように　回りますと　疲れて
空腹になりましたでござる

では　ここに
葡萄のマスカットがある　これを摂れ
これはけっこう大きいので　ナイフで切れ

キンタ　マスカット　切れ
キンタ　マスカット　切れ

はい　お姫さま

「邪鬼と抗う従者キンタ・・・
・・・お姫さまの声援に応えられず・・・
勝つことがいつものように
出来なかったのでございます」

キンタ　負けが多い
キンタ　負けが多い

さて　キンタよ
抗いの末に至りた此処はどこぞ？

目黒にございます

この邪鬼が残した七輪に乗ったモノは何じゃ？

は　これは　お姫さまには縁のない雑魚でございます

その名を言え

畏れながらに　申し上げます
秋刀魚　でございます

弁当を持たずに
ここまで来たのだから
これを　膳にいたせ

は　御意
おい　秋刀魚は小骨が多い
姫の喉を痛めぬよう　処理せよ

「キンタは追い回しに命じたのだった」

サンマ　小骨が多い
サンマ　小骨が多い

おい　秋刀魚は脂が多い
姫の五臓を痛めぬよう　処理せよ

「キンタは焼き方に命じたのだった」

サンマ　脂が多い
サンマ　脂が多い

おい　秋刀魚は　その内臓が苦い
姫の舌を怒らせぬよう　処理せよ

「キンタは板役に命じたのだった」

サンマ　苦みが多い
サンマ　苦みが多い

おい　この秋刀魚は　パサパサじゃん
姫の肛門を切り裂かせぬよう　処理せよ

「キンタは椀方に命じたのだった」

サンマ　もはや　パサパサ
サンマ　もはや　パサパサ


先程まで在りし　芳しき秋刀魚はどこじゃ？

此処に在りますれば・・・

何を言う　早見優　

これが　サンマであります

キンタ　まぁー　これは　しなびてる
キンタ　まぁー　これは　しなびてる

「目黒の秋刀魚は　どこ？」

ちゃか　ちゃんりん　ちゃんりん
ちゃんりん　ちゃん　ちゃん♪　ぽん　ぽん！