黒潮とともに遡上し
脂ののってくるカツオ
初秋となれば
戻りカツオの旬となる

おーい　エミル
おまえさんのところの「ニコタ丸」は
春から　九州南部で始まり
5月ごろ本州中部
8～9月ごろ三陸北部
北海道南部あたりまで　操業してさ
そこまらまた南下して
もう　母港には　半年以上も
戻ってないのじゃないかい？

エミルは
カツオの一本釣り漁の船主だ

カツオ漁船は
春先に母港を出ると
黒潮に乗って北上するカツオを追って行く
一本釣りの漁師を十数人乗せて・・・

そして
船いっぱいになれば
近くの港に寄って
水揚げする　という　繰り返し

そして
燃料と　エサの小魚　船上での食料を仕入れて
また　カツオを追って　出港するのであった
満杯になるまで　帰れない日々は８０日に及ぶこともある

今秋
戻りカツオの漁も終わり
ニコタ丸は　無事に　母港に戻った

漁師たちは
ここで　１年分の報酬を受け取るのだった

エミルは
漁師たちを若い者から並ばせて
順番に　報酬を与えた
漁獲量に合わせて　一人に１６００万だ　

ここに　１００万円の束があるから
数えて渡すから受け取りなさい
ひい　ふう　みい　よー　いつ　むー　なな　やー
今　何月だい？

９月ですけど・・・

とー　じゅういち　じゅうに
じゅうさん　じゅうし　じゅうご　じゅうろく
ほい　また　来年もヨロシクね！

あ　そうだ
これは　ボーナス

そういって　エミルは
１００万円の札束を　ポンと渡した

何ともインチキ臭いエミルだが
漁師たちが　よく働くことに感謝し
無事に帰ってきたことを喜んでいた
エミルの漁船には
優秀な漁師が毎年集まるのであった＾＾