Nicotto Town


あなたに会えてよかった♪


【第16話】青空の行方~ゆくえ~


「拓海っ… あたしなんで誘ってくれないのよぉ?」

ダンスパーティーも終盤に差し掛かったころ、壁にもたれてノンアルカクテルの紙コップを手にしたまま立ち尽くしていた拓海に声を掛けたのは…
「あ…結衣か、どうした?お前誰からも誘われてないのか?」
「なわけないでしょっ!何人も断ってるんだから!」
「そりゃ気の毒だな…」

結衣は両手を後ろで組んで、ゆっくりと歩み寄りながら拓海を上目遣いで見上げて
「だってさあ 拓海と踊りたいんだもん。なのにずっとぼーっとしてて…ほったらかしなんて酷いよ?」

「俺なんて相手しないで、ほら、いっぱいいるだろ?健人だってあそこで一人で寂しそうに…」
健人の方を振り向いたが、そこには…
「あいつらいつの間に…」

健人は、由紀菜と手を取ってダンスを踊っていた。

「あー肝だめしでくっつくパターンか… あいつも安直だよなあ」
苦笑しつつ振り返ると、頬を膨らませて軽くにらむ結衣がそこにいて。
「ああいうあざとい子は、健人君ならちょうどお似合いかもね?」
「なんでだよ?」
「だって健人君、お調子者だもん。由紀菜のさばき方くらいちゃんと分かってるよ? 拓海君とは正反対だもんね~」
「はは 勝てねえな…結衣には…」



「知ってる…?この合宿のダンパで、一緒に踊ったら…二人は付き合うことになるんだっていう伝説」
向かい合ってアップテンポなBGMに合わせて不慣れなダンスを踊っている拓海と結衣。
「そんな話、初耳だが…?」
「でしょうね」
「なんだよ?」
結衣はくすっと笑って、軽くターンしたあと拓海の耳元に顔を寄せては
「だって、そんな伝説、今私が作ったんだもん」
「おまえなっ!」
勝てないな…と思いつつ、ステップを踏みながら拓海も踊り続ける。

最初は気乗りしなかった拓海も、3曲目ともなれば気分も乗ってくる。
笑顔の結衣も、拓海に合わせるかのように身体を揺らしていく。

「どうした?沙也加…?」
会場の隅で窓の外を眺めている沙也加に声を掛けたのは一平だった。
「あ うん…外の星空を眺めてたんだ」
一平は沙也加の背後から窓を眺めると
「へぇ…室内の明かりが反射して、外なんてまるで見えないけどな…見えるのは…っと…」

言葉を途切れさせる一平。
窓ガラスには、会場の向こうで、二人で踊る拓海と結衣の姿が反射して映っていたのが分かった。

「そうか… やっぱり沙也加お前…」
「な、なに?」
身構える沙也加に、苦笑しながら背中を向けた一平はぼそっと

「何があったか知らないけどさ… 素直になれよ」
慌てた様子の沙也加は
「な、何のことよ?」
「なんでもいいけどさ、もうすぐダンス終わるぜ?ラストはチークタイムって感じだよな?」
「チ、チークタイム…」
「そんな情けなさそうな顔するなって。 踊りたいんなら、素直に誘えよ」
一平は背中越しにそういうと、軽く肩を竦めて
「でないと、ずーっと後悔するぞ?」
そう言い残し、すたすたと足早に去って行った。

「後悔… 後悔するのかな?ん…やっぱり…」
取り残された沙也加は、それでもなかなか動けず、拓海の方を見つめるばかりだ。
「拓海と、踊りたいって 素直に言えば… んーでもそんな勇気出ないっ… でも…でも…」
沙也加は足を踏ん張って、両手を握りしめながら堂々巡りする想いを胸に、躊躇している。
胸の鼓動が激しくなり、頬が赤くなってくるのが自分でもわかった。

『ずーっと…後悔するぞ…か…』
『後悔したくないよね…あたし…』



「さあ、楽しかったダンスパーティーもそろそろクライマックスだよ~! 最後のナンバーは、お待ちかねのチークタイムだっ!」
MCをやっている生徒会役員男子のアナウンスが会場に響いた時、沙也加は意を決したように、ゆっくり、しかししっかりとした足取りで会場の中に進み始めた。
(続く

アバター
2021/11/08 18:34
一平君は誰かと踊らないの~?

かっこよすぎる・・♡
アバター
2021/11/07 05:32
いざ出陣!沙也加ちゃん。
お誘いするのって勇気いるよね。




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