Nicotto Town



名前 「千と千尋の神隠し」

宮崎駿作品「千と千尋の神隠し」は
異次元で千尋という自分の名前を奪われ「千」と呼ばれる少女の物語だ
「千」は呼びやすく使役に適した名前だ
「千尋だって?お前には過ぎた名前だ」
そういうと魔女は「お前の名前は千だ!」と決める
この物語のタイトルは、「千尋」という自分の名前と
異次元の湯屋で働く契約をされた「千」という名前になっている

人を支配する道具として「名前」を使う魔女には双子の姉がいるのだが
双子の姉妹が何を比喩するのか
とてもおもしろいと感じた
湯屋の経営者の妹 ユバアバ
海の底にある家で手仕事をする姉 ゼニーバ
名前から考えてみたい

この物語の登場人物を「名前」から三つのグループに分けてみた
1を個の名前を持つ者とし、
2を社会的立場と役割が名前代わりに呼ばれる者としてみる
そして、どちらにも属さない、あるいはどちらも両方併せ持つ名前を3グループとしてみる

1 セン ハク リン 
2 お父さん お母さん カマジイ 坊
3 ユバアバ ゼニーバ カオナシ 

このように3つに分けてそれぞれのグループの共通点を観ると
1グループは 自分の名前を取り戻すために行動する者
2グループは 社会的立場や役割で行動する者
3グループは 誰もが持つ心理や感情や欲望を象徴する者

ー続ー
ユバアバとゼニーバは双子の姉妹だ
ユバアバは湯屋の経営者で、坊の母親だ
ゼニーバは、なぜゼニーバなのかは不明で
深海にひとりで住むことや訪ねてきた子どもたちを育む

姉妹の描き方は働く女性の外と内の顔と役割を表わす宮崎駿的
「期待される女性像」を観ることができる
ユバアバは魔法で湯屋に出入りする客や労働者を取締る
人の心を支配し搾取する怖い魔女として描かれ
経営者や魔法使いとして人を支配する強い女像だ
ゼニーバは妹の魔法の弟子ハクと闘う魔女で
家を守り人を包み導く善の女像だ
この二つの相容れない「期待される女性像」は
姉妹に共通する「意志をもった行動力のある強さ」という性質の二面性だ
働くことも子育ても全部ひとりで完結すべきと思い込まされ
「意志をもった行動力がある強い女でありたい」と願う
現代に生きる女性たちの心を縛る二面性ともいえる

「荻野ぎん」は女性に閉ざされた場を拓く意志を貫いた行動力のある女性だ
自分の名前を伏せ「吟子」と自ら名乗り
自分の人生を拓く力にした

千は「意志を持ち行動力がある強い女の子」として成長し
自分の名前「千尋」を取り戻す
人から支配される名前よりも自分として生きる名前を選んだ
現代に生きる少女たちが
千の道が示されている世界で
千の道を尋ねる人間として歩める社会をつくりたい
ー完ー









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2014/01/27 23:07
あぁ~見たのに覚えてないw



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