Nicotto Town



起きると成人は既にセーラー服を着ていた。リエドの鏡の前に立ってポーズを取っている。
「何やってるの」リエドが不機嫌な顔して聞くと、成人はリエドに近づいてきて再びポーズを取った。
「今まで学校は?」あまりのご機嫌の良さにリエドは着替えながら訊ねた。
成人はポーズを決めたまま、「行ったことないです!」と言った。
リエドは不思議そうな顔して「じゃあ何やってたのよ」と聞くと、成人は「ニート」と笑顔で答えた。
大丈夫かしらこの人と思いつつ着替え終わり、一階に下りるとディアナが朝食を運んでいるところだった。
アノは既に食事にがっついている。「ディアナ、制服二つ注文しといて。あと学校に今日から転校生いるって言っておいて」
そう言うとディアナははあいと返事をして椅子に座った。「貴方、制服汚さないでね」
リエドはそう言うと成人を見た。なんともワイルドな少女のため心配にならなくもない。
「大丈夫でーす」昨夜とは違いまたも笑顔だった。朝食を食べ終わると鞄を提げて玄関に向かった。
「僕の無いですよ!」焦ったように探す無い仕草をした。「忘れてたわ。ディアナ、教科書も頼んでおいて」
そう付け加えると家を出た。いつもの道を進んでいくと奇怪な声が聞こえた。「リエドー!」
「また貴方」呆れたそうに見るとそこには裄がいた。「家こっちだったかしら」
リエドが訊ねると裄は頷いて「そうだよ」と言った。「あれ、この人は?」
裄が成人を覗き込むとやはり昨日までの威勢は無く、リエドの後ろに隠れた。
「人見知り?」裄が呟くと、「気にしないであげて。転校生よ」とリエドは言った。
すると裄は目を輝かせて二日目なのに!と歓声をあげた。
学校に着くと、目立つリエドの他に見たことのない人までいていつもより更に注目された。
そして職員室に成人を連れて行った。「おお、この子かい」担任のメガネが笑顔で手を差し出した。
握手を求めているのだろうが、成人は再びリエドの後ろに隠れた。
「あはは、緊張してるのかな?」メガネはそう言うと机の上に用意されていた教科書を渡した。
リエドは手に取ると成人に教科書を押しつけた。「貴方のよ」そう言うと笑顔で受け取った。
「制服は一週間後には届く予定だからね」それに軽く相槌を打って職員室を出た。
先に教室に行っていた裄がリエドのそばに駆け寄ってきた。「どうだった?」「普通」
裄の言葉を流すとリエドは席に座った。成人は座る席が無くて困ってるようだった。
すると生徒が成人の周りに集まってきた。なんで今日なの?やら出身は?やら楽しそうだ。
先生が教室に入って来ると成人の周りにできた人だかりはアッと言う間に席についた。
先生は成人の自己紹介を軽く済ますとホームルームを終えた。
授業までの少しの休み時間でリエドと裄は成人に学校案内をした。分棟を案内し終わり帰ろうとすると足音が一つ減っていた。
裄が振り返って「あれ、成人ちゃんは?」とリエドに訊ねた。リエドも辺りを一緒に探したが、やはり成人はいない。
「きっと教室に帰ったんだわ」そう言って二人は教室に戻ったが、やはり成人はいない。
「どこ行ったんだろう」裄は心配そうに訊ねたが、リエドは平然と振る舞った。




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