Nicotto Town



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リエドは机の上で物思いに耽っていた。昨日の晩はディアナがたまたま作り過ぎた料理で二人分は確保。
成人が入院したことを伝えると明日の朝一でお見舞いに行くと宣言していた。
離鳴と契の制服は、近所の卒業生にもらえたら貰っておくとのこと。
あれからあの二人は空いてる部屋で寝かせたが、何やら喧嘩をしているのか騒がしかった。
リエドは相当疲れていたため、そんなことは放っておいたのだが、今日まで持ち込んでなければいいのだが。
「…ローズ、リディクローズ」教科担のその言葉で我に返ると、教科担はすぐ目の前にいた。
「お前が授業聞いてないなんて、珍しいな」そう言って勝ち誇ったように嘲笑いこちらを見てきた。
「そんなわかりきった授業、聞く価値ありません」そう言ってふてくされると窓の外を見た。
教科担は大変ご立腹のようだが、そんなものは視界に入れる価値もない。
「この問題解けたら、今回は勘弁してやろう」そう言って黒板に問題を写す教科担。
他の生徒はまた始まったかと、教科担の大人気なさを嘲笑するも、全く問題の正解は導けない。
「解く価値も無いです」珍しく最後まで反抗的なリエドを皮肉るように、
「そうか!この問題が解けないか!そうか、そうか!」そう言って爆笑する。
それに対する生徒の感想はこいつ、相当脳イッちゃってんなあ。
その言葉がきたのか、リエドは無言で席を立つと、チョークを手に取り、スラスラと問題を解く。
それを見た教科担は頭を抱えて悶えた。「今度こそ…、勝ったと思ったのに…」
「生徒を弄ぶな、下衆」本音を吐き捨てると、席につく。その美麗さをいつも目にしている生徒たちは既にリエドに惚れ込んでいる。
裄が後ろから、「考えごとでもしてたの?」と訊ねるが、リエドはそれに返事をしなかった。
今朝、成人の欠席の理由を聞いたときもリエドはずっと黙っていた。何かあったのだろうか。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、本日最後の授業が終了した。
裄はリエドの横に移動すると今日用事が無いなら遊ぼうと誘ったが、リエドは違う日に誘ってくれと言い返した。
多分何かあったのだろう。そう推測する。帰りのホームルームが終わってすぐにリエドは教室を出た。
向かった先は病院。成人の病室に行くと、お見舞いに来ていたディアナがリエドに気が付き手を振った。
リエドはそれに反応せずに空いてる椅子に腰掛けた。「何かあったの?こんなんなっちゃって…」
ディアナが心配そうに成人を見た。「私、意識不明なんて知らなくて…」
リエドは成人を見つめたまま、顔色一つ変えずに呟いた。「ディアナには関係ない」
その声にディアナはリエドを見るが、なんの反応も無いので苦笑した。




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