Nicotto Town



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リエドは一緒に行くと言う契と離鳴を何とか抑えたあと、病院に来ていた。
アノも一緒だったが、病院には立ち入れないので窓の前にある木を登った。
リエドが病室に着いた頃にはアノは既に木を登りきって、細い枝にしがみついていた。
窓を開けてアノを入れてやると、看護士にもばれぬようにベッドの下に忍ばせた。
今日は以前アノが言っていた悪魔召喚士が使えるようになる力とやらを試しに来たのだ。
どうやらリエドの能力は回復系らしく、成人の意識も取り戻せる可能性があるとのこと。
最初はあまり能力をうまく使えないらしいが、上達してくると敵の召喚士に命令を出せぬようにするシールドや、
こちらを完全防御にするシールドが使えるようになるらしい。更に極めると、敵に一撃必殺を繰り出せるらしい。
この一撃必殺は悪魔を一撃で殺せるので、かかった悪魔は一瞬にして消滅し、更に核も同時に壊れるそうだ。
この一撃必殺を使えるようになる召喚士は全部で三人なので、最終的にはこの三体で討ち合うのが必然らしい。
しかし、今回はリエドが契や離鳴のような召喚士を仲間にしているので、どうなるかはわからないのがアノの考えだ。
アノに教わった通りに成人に両手を翳す。目を瞑って両手に意識を集中させる。
両手から出てきた光のようなもの成人を包む。リエドが更に気を集中させると、成人が一度大きく動いた。
そして目を擦るとゆっくりと起きあがってきた。「成人!」リエドは思い切り成人に抱きついた。
成人は少し照れ臭そうに笑うと、手を何度も握って動くことを確認した。
「リエドの力?ありがとう」それを聞いてリエドは驚いた。初めて名前を呼ばれただけでなく、声がありえない程低かった。
言われてみれば、胸も無かったような…。リエドは瞬時に成人の患者用に用意された服を剥いだ。
成人の裸を見てリエドは唖然とする。「何すんだよっ」上半身を晒していた成人が少し怒ったように服を戻そうとしたとき、
成人の目も一気に見開いた。そして自分の身体に付いてるパーツを確認する。
一瞬にして冷や汗をびっしょりとかいた成人はリエドを見た。「あの、これはどういうことでしょうか…」
リエドは「こっちが聞きたいくらいよ!」と立ち上がると、とりあえず冷静にナースコールをした。
看護士がやってくると驚いたような顔をして、「こんなに早く復活するなんて…!」と歓喜の声をあげた。
すぐに医者も来て検査に入ったが、異常はどこも見あたらなかった。が、念のためであと一日入院するとこになった。
「そういえば、身体も少し大きくなったかしら」とリエドがジョークを言うと、
先程の検査でも十センチ以上伸びていたと成人がため息を漏らした。
「貴方、あのとき何をしたの?」以前戦ったときのことを訊ねるが、成人は全く記憶が無いと言う。
「気付いたら病院のベッドの上だったんだ」声も野太くなり、口調も男のようになった。
身体も男だが…。医者に訊ねたところ、ここに来たときは男の患者として入院させたらしい。
「あのとき既に女体から男に変わっていたということか」看護士が姿を消した瞬間、アノがベッドの下から現れた。
成人は一瞬表情を固めたが、アノだとわかると表情を和らげた。「変わっている途中であんなことが起こったということ?」
リエドがアノの言葉を要約すると、アノは頷いた。「こんなことは異例だ」「だろうな」
成人がそれに即答する。リエドは大きくため息をつくと「考えてもキリがないわ。明日また来るからね」窓を開けて病室を出ようとする。
「ああ、後で窓閉めておいてね。あと二人仲間が増えたから」それだけ言い残すと、リエドは病室を出た。
アノは少し成人の横で考えていたが、最後に「異例だ」と言うと窓から出て行った。
成人は性転換された自分の身体を見て、これから不便だと思うと頭が痛くなった。




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