Nicotto Town



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今日はまた二人の転校生が来る。編入を済ませるために、契と離鳴はディアナの車で先に学校に行っていた。
今朝は裄が見当たらず一人悲しく登校したが、思いの外遅く歩いたらしく遅刻した。
「こらこら、今日は転校生がいるんだからな」担任の桑原はリエドに軽く注意すると、二人を呼んだ。
以前から立て続けにこのクラスに編入しているのは、もちろんリエドの手配である。
他のクラスの生徒からはA組ばかりと反感をかっているようだが、そんなことは知ったことではない。
「こっちが五十嵐契でそっちが晦日離鳴。席は…、あそこが空いてるな」と窓側の二つの席を指さす。
二人が座ると「みんな仲良くするように」と友好を促して、いつも通りホームルームを始めた。
来たときには既に後ろの席に座っていた裄は、寝息を漏らしながら眠りについていた。
無論、二人に名字などないが、リエドのセンスで勝手につけさせてもらった。
ホームルームが終わると、二人の周りには人だかりができた。
目覚めた裄も行きたいようだったが、リエドが拒んだためにふくれて後ろでおとなしくしていた。
「そういえば最近本読んでないね」裄がリエドの様子を見て言う。
「ああ、それは私が悪魔の召喚に…」成功したからと言おうとしたところを、遮られた。
「姐さん!」言葉を遮ったのは契と離鳴。リエドがそちらにゆっくりと視線を移したときにはまた人だかりができていた。
「ななな、なんですか、これは!」離鳴は動揺しているようでリエドに早く答えをもらいたいようだった。
リエドはくだらないとばかりにため息をつくと、「さあね」と流した。
えー知り合い?リエドさんさすがーなどの声が響くなか、二人は一段と怯えていた。
「姐さん、どうにかしてくださいよ」そう言って契がリエドの手を握る。
「学校とはそういうところよ。金曜日に説明したはずよ」「したけど…」それを聞いた瞬間、契は身体から力が抜けた。
そして二人はとぼとぼと席まで戻っていった。後ろにたくさんの生徒を連れて。
「モテモテだね、リエド」裄は今の一連の流れを見て、にやにやしていた。
「気持ち悪いわよ」ビシッと指摘するが、裄は笑ったまま、「姐さんだってえ」と妄想を膨らましている。
リエドはため息をつくと、窓の近くに寄った。その後ろには裄もついてくる。
「何よ」「別に!」えへへと笑う裄を見て少しだけ安心した。




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