Nicotto Town



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リャナンシーに飛びつこうとしたアノは宙を切った。目の前は壁。なんとかブレーキをかけ後ろを振り返るが、リャナンシーの姿はない。
タナトスが「核が壊されたようだぜえ」と言うと、離鳴の元へ戻っていった。アノもタナトスについていった。
先程まで荒れていた部屋の前に契と離鳴の姿があった。倒れている成人をどう運ぶかで口論しているようだ。
「主か」アノがそう呟くと、二人が振り向いて笑顔で手招きした。タナトスはそれと同時に核の中に戻っていった。
契はアノに今までの事を話した。すると、アノは「そんなに強かったのか」と満足そうな顔をした。
契が成人を背負うことに決まり、三人は取り敢えずリエドのところに行くことにした。
上ってきた階段の下って、開けっ放しの扉から出る。既に日は沈み、闇が占拠している。
階段がある方へ歩くと廃ビルの影に隠れていて見えなかったリエドの姿がぼんやり見えた。駆け寄ると、そこには簪も倒れていた。
少し遠くにバラバラになった核が散らばっている。「悪い人じゃなかったわ」リエドが簪を見つめたまま、そう言った。
あのあと何があったのかわからなかったが、聞いてもリエドは口にしなかった。
少しの間沈黙が続いたが、リエドは立ち上がり歩き出した。「まあいっか」契が苦笑してリエドを見る。
リエドは一番に歩き出していたため、リエドの優しい安堵の笑顔を見れた人は一人もいなかった。




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