Nicotto Town



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「姐さんには惚れましたよ」そう言って笑う契を離鳴は鋭い目で見ていた。
リエドははいはいと微笑するとテレビの電源を切った。今日は四人揃って学校を休んだ。
あれから成人は自宅療養していたが、傷は大分回復。まだリエドのベッドの上で動けずにいるので、
アノが話し相手になっている。離鳴が聞いた話によると成人もリエドが好きらしい。
男の身体にももう慣れたそうだ。離鳴がテレビが消されて寂しそうにしていると、
「あんなにあの子が笑うようになったのは君たちのおかげかな」とディアナは笑顔で離鳴に呟く。
離鳴はそれに興味を持ったようでディアナのあとについてキッチンに向かった。
「どういうことですか」昼食の食材を準備しているディアナに離鳴は興味津々で聞く。
「全然笑わない子なのよ」そう言ってジャガイモを切り出す。
理由はないのかと訊ねたが、どうやら理由はないらしい。否、言うのを躊躇っているように見える。
それ以上追及しようとは思わなかったのでリビングに戻った。ソファーでリエドと契が楽しそうに話している。
少し妬ける。どちらかというと契の方に。姐さんはお前のものだけじゃないと威嚇してみるが、本当に楽しそうだ。
それを見ていた離鳴は自分も混ざりたくなって、ソファーに駆け込んだ。
「ずるい!」そう言って二人の間に座る。リエドは驚いた顔をして、「契が好きなのね」と笑顔で言うとソファーを離れた。
二人にしようと気を遣ってくれたらしいが、離鳴が一緒にいたいのはリエドの方だ。
舌を出して悲しそうな契にあかんべーをするとリエドが歩いていった方を見た。
リエドは丈夫だ。簪からあんなに攻撃を受けたのに普通に動いていた。
帰ってきても普通に寝て、普通に起きた。常人にはできぬ代物である。痛そうな素振りも見せなかった。
「すごいなあ…、正直ウチも惚れるよ」「なんか言った?」心の中で呟いたはずが、声に出ていたようだった。
契がものすごく見ている。「なんでもない。別にあんたが好きなんじゃないんだから」
離鳴がそう言うと契は微笑して「姐さん…だろ?」と偉そうに言った。




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