Nicotto Town



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「悪魔に喰われた人?」リエドが不思議そうな表情で首を傾げる。リエドは自分の部屋に来ていた。
成人とアノはずっとその話をしていたらしい。成人がその表情に心を掴まれて顔を赤らめる。
アノはそんな成人を卑しい目で見たが、成人は苦笑して誤魔化した。
「悪魔の力が強すぎて、召喚主が喰われたんだ」知ったかぶった口調で成人が言う。
リエドは一瞬ムッとしたが、またすぐに話に聞き入った。
「そういう人間…否、悪魔がいるんだ。姿形は人間で心は悪魔だ」
それは冷酷な人のことを言っているのかと思ったが、アノは更に説明した。
「だが身体も悪魔に似てくる。そいつは頭に獣の耳のようなものがついている。それと普通の人間より小さい」
「見たことあるの?」リエドはアノの目をじっと見つめた。
「現に我は狙われている。いずれ主の前に姿を現すだろう」アノは深刻そうな顔をしている。
「それでだな…」何かを言おうとして躊躇うが、すぐに口を開いた。
「そいつは物凄く強い。何せ人間と悪魔、双方の能力を扱えるからな」
リエドも成人もその一言で理解した。六柱はどうやら狙われやすいものらしい。
アノは遠くに視線を逸らしたまま、何も喋らない。「私は大丈夫よ。貴方のためなら死ぬまで戦ってあげる」
その言葉に驚いたようにリエドに視線を向ける。リエドの目は決意で満ちあふれていた。
「今頃何言ってるの?私が貴方を召喚したときからそういう運命なの」
大きくため息をついて、笑顔でアノを見る。アノは、「こりゃ大変な主を持ったな」と微笑した。
成人もベッドを出て身体を軽く動かすと、「俺もやるぜ」と賛成した。
そのとき、部屋のドアが開いた。「姐さん!ウチらもやります」聞き耳を立てていた離鳴と契が入ってきた。
リエドは少しその様子を見たあと、「何ここで仲間意識高めてるのよ。これは馴れ合いじゃないわ」
いつも通りの冷たい言葉で言い放った。入って来た二人は苦笑して頭を掻くと、床に腰を下ろした。
リエドは周りを見渡すと、不機嫌そうに部屋を出て行った。成人もそれを追って行った。
身体が鈍っているのと、怪我が完治してないのとで走るのが少し辛そうだ。
「ウチら迷惑だった?」不安そうな顔でアノに聞くと、アノはさあなと呟いて丸くなってしまった。




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