Nicotto Town



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家を出てきたリエドは不意な声に足を止める。「待てよ」振り返ると、成人が辛そうに肩で息をしていた。
「何キメてんのよ」上から目線でものを言うリエドを成人は見つめた。
「まあまあ、たまには散歩しようぜ」笑顔で言うとリエドの横に並んだ。
頭の後ろで手を組んで、ちょこちょこ歩くリエドを見る。「俺大分大きい?」
そう聞くとリエドは不服そうな顔をして、「大分ね」と呟いた。
成人はへへと笑うと「リエドは相変わらず可愛いなあ」と嫌味ったらしく言った。
リエドは少し腹を立てながらも顔を赤らめた。「はいはいそこ、ラブラブせんとー」
どこからともなく声が聞こえてきた。二人は周りを見渡すが誰もいない。
気のせいかと再び前を見ると、そこにいたのはまさに"悪魔に喰われた人"だった。
背は人の半分くらいしかなく、頭から獣の耳のようなものが生えている。
黒い袴のような、着物のような服を着ている。そして背中には機関銃のようなものを背負っている。
そして一番不自然なのは、外だというのに裸足で歩いているということだ。
「誰だ!」成人が思わず叫ぶ。「誰やろなあ」冗談ぽく笑うと、二人の元に近寄ってきた。
「こっちがアノの召喚主やな」リエドを指して言う。リエドは「貴方、誰よ」と冷たい瞳で問いかける。
「知ってるんやろお?」皮肉な笑みを浮かべると、「氷いうんやけなあ」と付け加える。
リエドがキッと睨むと、氷はリエドに向かって大きく跳び、胸ぐらを掴み前のめりにさせる。
なんとか姿勢を保ったリエドの耳元で氷が囁く。「そんなカッかせんと、アノ居るんやろ?」
殺意に満ちた声に背中に虫酸が走り、リエドの額を冷たい汗がつたう。
氷を思い切り突き飛ばし、荒々しく息をするリエドの腕を掴んだ成人は氷とは逆の方向に走った。
しかし、氷の追いかけるスピードは尋常ではなかった。すぐに後ろまで迫ると、二人の頭上をを飛び越え前に立ちはだかる。
驚きを隠せない表情で足を止めたリエドと成人へ再び近寄って来る。「何が目的なの!」リエドが我を失って叫ぶ。
「アノ」一言だけ言うと、右手を大きく振り上げる。振り上げられた手は悪魔の鋭い爪のある手に豹変。
二人は逃げようと足を動かすが、思うように動かない。「なんで…」リエドの声が絶望に染まる。
氷は手を大きく振り下した。「きゃあああああああ!」目の前が暗くなる。リエドの悲鳴と共に、道路の激しく壊れる音が響いた。




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