Nicotto Town


錆猫香箱日和


引越し日記 王子君のこと


ピンポーンとお迎えが来る前にまめちゃんを捕獲して

「間一髪!!」

と喜んだ私だったが まめちゃんにかかりきりで 

王子君とチェロたんを捕まえるのをすっかり忘れていたのだ。

まめちゃんとの格闘で 王子君とチェロたんはビックリしてしまい

ダンボールだらけの部屋から彼らをみつけ、キャリーにいれるのに

弟の嫁と母が来てから 3時間ほどかかった。

当然 母親にはブーブー文句を言われたが

「なに、その傷!!薬買ってきなさいよ!」 と言ってくれ

意外にも まめちゃんに負わされた怪我に 母は抗生物質を塗ってくれた。

(でも、ドラッグストアでは「え?塗り薬?病院行ったほうがいいです」

って言われましたけどね)

それでも、王子君とチェロたんを捕まえて 母達に託した私。

猫達がいなくなったとたん、部屋のなかがシーンと静まりかえり

私は切なくなった。

だって、この部屋で今まで まめちゃんや王子、チェロたんとバタバタして

毎日を過ごしてきたのだ。

晩年のサビちゃんと過ごした部屋でもある。

みんな、ありがとう・・・。

感慨で涙がでそうな私だったが

気がついてみれば

腕や手が熱をもって、パンパンに腫れあがっていた。

手や指は2倍くらいの大きさになっていてグローブみたいになり

指とか全然動かないし 手首に力が入らず 

水を飲みたくてもペットボトルのキャップすら 開けられなかった。

しかし、私には猫を出したあと、3階建て猫舎の解体という大作業があった。

解体自体は難しくないが 手が全くいうことをきかないので

猫舎の解体は朝までかかった。

私は一睡もしなかった。

猫舎の解体は大変だったし、私は先に家にやった猫達が心配でしょうがなかった。

朝になるのをまって 母に電話し 猫達の様子を聞くと

猫達はひとつの場所にみんなでかたまってうずくまり

水もゴハンも食べず、トイレすら行かないという。

もしかすると、猫達は私に捨てられたと思ったのかもしれない。

全く知らない場所で長時間にわたり放置されて どんなにか不安だろう。



私はこのあと、9時に引っ越し屋さんがきてから

腫れあがって痛む手を懸命に動かして引越し作業をした。

母親も手伝いにきてくれて、夕方には引越しと部屋の掃除を終え

お世話になった大家さんに母親と挨拶にいき、やっと全部が終わった。



ああ、やっと猫達と再会できる!!

心躍る気持ちで実家につき

猫達がいるときいていた部屋の窓を 見上げた私はハッとした。

窓に早くも王子君とチェロたんが!!

しかも、網戸に顔を押付けすぎて、

ストッキングを頭から被っちゃった人みたいになってる!!

母親に言うと、昨夜からあの状態なのだという。

王子君たちがいる窓と窓際にあるタンスの隙間にまめさんはいるらしい。

「王子ちゃん!チェロたん!」

窓にいるふたりに呼びかけたが

ふたりとも、いままで見たことがないような虚ろな表情をしていた。



うわ~ん、みんなゴメンよ~!!

私は泣きたいくらいな気持ちで急いで家に入り 

「みんな!!ママだよ!!もう大丈夫だよ!!」

と 猫達のいる部屋のドアを開けて入ったが

王子とチェロたんは 窓際で同じ姿勢のまま 

首だけを動かしてこちらをふりかえり、虚ろな目のまま私を凝視した。

その顔は 「あなた、本物ですか?証拠はありますか?」

とでも言っているような 猜疑心に満ちみちた表情だった。

表情、というかロボットのような無機質的な冷たい目だった。




「あ~っはは!! 猫達はね、アンタのこと許してないのよ!!

自分達に断りもなくこんなところに連れてきやがって

絶対許さないって言ってるのね!!ホホホホホ!!」

と、母は高笑いして喜んだ。 

この家に引っ越せと言ったのは お母さん、アナタです。




その夜、ガッカリしながらベッドにはいると

私の傍らにはいつのまにか 暖かく、柔らかいふたつのかたまりがあった。

右にチェロたん、左に王子君が添い寝してくれていたのだ。

私が目覚めると 

王子君は私のグローブのように腫れた手を 

とろけるような暖かい舌でゆっくりと舐めてくれて

恍惚となった私の前に おもむろにその白い大きな体を開き

Y字開脚した体を魅惑的に揺らしながら

「ああん、ああああ~ん 私の全身を撫でくりまくりなさい。あんあん」

と、ネットリした目で私を誘うのであった。

もちろん 私はたまらず 王子君の白い体に顔をうずめて

長い間モフりまくった。

チェロたんも 「僕も撫ぜてくださいよう」と参加してきて

私は愛猫達に涎をたらしながらウハウハし

無事に引越しを終えた喜びをかみ締めたのじゃった。





翌日から、仕事だった。

王子君との激しいベッドインで体力を消耗していた私は

ヒイヒイ泣きながら仕事にいった。

そして、仕事から帰ってくると、王子君が ああん、ああん、と鳴く。

すぐにベッドで寝ましょうというのだ。

部屋着に着替えてるあいだも 夕飯を食べてる間も 風呂に入ってる間も

王子君はずっと あんあん言い続けている。

王子君は、私とベッドに入ってる間が一番安心できるようで

私が家にいるあいだはとにかく あんあんああんで 私をベッドに誘うようになった。
 


王子君のお誘いでベッドに寝るようになってから 2、3日して

ふと夜中に目が覚めた。

傍らにはチェロたんが寝ていて、王子君の姿がない。

部屋の外の廊下の明かりがついていて(実家の照明は全部センサーでつくので)

こっそりと 部屋の外の様子を見にいったらば

まめちゃんが何か低い声で王子君に苦情を言ってる様子。

「まめちゃん、どうした?」

と私がそこで声をかけたら

まめちゃんはすごい勢いで逃げ、

王子君は「大丈夫よ、大丈夫よ!ベッドに戻りましょう」 とまた

あんあんと 私をベッドに誘う。


こんなことが何回もあって 気がついたのだが

王子君は 私を ああんああんとベッドに誘って

ひとしきりイチャイチャして 私を眠らせたあとは まめさんの隠れ場所にいき

まめさんと寝る、というのが毎日のパターンらしい。




まめさんが いまこの家で頼れるのは王子君なのである。

(チェロたんは弟分なので、頼るという存在ではないのだろう)

だからまめちゃんとしては 夜は王子君と寝たい。

でも、王子君はまめちゃんもケアしなければいけないけれど

ママである私とも寝たい。

できれば まめさんと寝る時間を割かなければいけないので

私と少しでも早めにベッドに行く必要があるのであろう。

なので、私が帰宅したらすぐにでもベッドに行かねば!の王子君なのだ。





なんとなく、昔のミッキーロークの映画 「ナイン・ハーフ」を思いだしている。

いや、あの映画ではミッキーロークのお相手は一人なんだけれども

王子ちゃまは まめちゃんと私、ふたりを相手にベッドインしてるのだ。

ひと晩にふたりは大変じゃないのか?




そういや、ウチの父親も若い時は重婚してて

我が家ともうひとつの家庭を行き来してて

たまに 子供の名前を間違えて呼んじゃって 

そんで重婚がバレて母親に怒られたりとかしたって・・・・。



男ってさ、大変だよね。



でもさ 

アナタは猫なんだから そこまで頑張らなくてもいいんですけど・・・。
































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2015/06/25 22:50
らんなーさんのご推察どおりです。
まめちゃん、大ジャンプで逃亡しました。いま、タメ息しかでません・・・。
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2015/06/24 12:23
やっぱり外の空気や風、日差し、草木や土が大好きですからねぇ…(*´ ω`)~3

ベランダってどんなベランダなのかな?手すりに飛び乗れたり、隙間から出られたり
手すりに飛び乗って、うっかり足を滑らせるという事は多々アリなので…
にゃんのジャンプ力は凄いですからね。壁を蹴って二段ジャンプする事もあるから
手すりの高さなんて屁でもない感じ。 Σ(((( ;゚д゚)))…

↓ まめちゃん隠れるのも飽きてきたのかな…
 脱走のチャンスとみて、大ジャンプする可能性もありますねぇ… (´ω`) ンー…
 心配は絶えません…
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2015/06/24 09:17
ねこさん
心配ありがとう。 そのうち時間ができたら、一度病院も行こうと思っています。
はやく家のなかを整理しないと おかあさんが怒るし、仕事も忙しいので、病院あとまわしですが。
まめさん、王子君のケアのおかげか、わたしが家にいても たまに かくればしょから
でてきてくれるようになりました。まだ ちかくにはこないけど、ちょっとよくなったかも~!
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2015/06/23 20:16
王子くん 色々のことを 考え サビ猫さんに 優しい態度し ベッドで 早くにねて、
そのあと は かくれし、 まめさんの心を 考え 話を きいてる。。。優しいね。。。

手、大変ね。。。

生活 だいじゅぶ??

手つかえないので 大変 思います。。。

けが ために 病院いくほう いいが。。。きっと 今時間ないね。。。サビ猫さん

はやく まめさんと 前みたい できる いいですね^^
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2015/06/22 03:03
ぼぶディランさん
修羅場でした~!!
傷だらけのわたしをみて、引越し屋さんは一瞬、絶句してました。
「引越しがすんだら病院にいったほうがいいですよ」
と言っていただいたのに 行きませんでしたが。
いまだに左手は手首が痛くてあまり力がはいりませんし
右手も親指の付け根が痛くて、重いものがもてません。
本気の猫の底力を身を持って知った感じです。
作家の 開高 健せんせいが(この人は貧乏な頃でも猫をきらしたことがないほどの猫好き)
「猫は家畜の生活をする野獣である」と仰ってますが 含蓄のあるお言葉と思いました。
王子君は優しくて、しかもかなり寛大な性格の猫なんです。
繊細なまめさん、マイペースなチェロたんをいつも見守るような眼差しがカッコイイです。
そんな王子君に いつもライオンキングのテーマソングを歌って奉げているのですが
歌いながら白いサルの真似をするわたしに、王子君はいつもラストのほうは 
何故かきまりわるそうに「もうやめてください」といわんばかりに背をむけるのです。
猫に愛を伝えるのは本当に難しく 
今回の引越しで 猫とわたしのあいだには 深くおおきな河がある・・・と思いしりました。

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2015/06/21 20:40
ヒトだけの引越しも大変だけど、修羅場のようでしたね~・・・
王子様は優しいね。
1匹でも猫は感情豊かだと思うけど、複数いるとそれがさらに際立ってきますな。
手は治りましたか?
引越し屋さんもびっくりしたのでは?
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2015/06/21 20:25
えめるちゃん
先代のサビ婆さんと以前住んでいたアパートに引っ越したときは
新しい住居をみた瞬間「あら、なかなかいい部屋じゃない」と寛いでくれて
何の苦労もいらなかったんですけどね~。
やはり、若い子達と婆さんの感覚にはかなり差があるみたいですにゃ~。
腹違いの兄弟は、わんさかいると思われます。
腹違いじゃない兄弟は二人ですが、本当は わたくし 七人兄弟らしい・・・・。
好きになった女性との間には もれなく子供を作ったらしいです(爆)



らんなーしゃん
そうそう、王子君とチェロたんが 網戸に顔を押付けすぎて 
ストッキング被っちゃった人みたいになってた、あの顔はね、写真撮りたいくらいでしたね。
で、にゃんたちが「下僕、お前 今日のトイレ掃除、かなり手をぬいてただろ」
とか 私に言ってきたら、
「えーい、あんたら 何だかんだいって 私がいなかったらこういう顔してるんじゃねーか!」
って 印籠みたいにつきつけてやりたいわあ・・・・。
でも、多分 王子君もチェロ君も 網戸の顔見せても 
「これ、僕達じゃないです」 とか絶対言いそう!!



サラさん
王子君は確かにいい子だし、完璧なんですが
そんなに頑張らなくていいんじゃない? と つい思ってしまいます。
こういう人にも猫にも気を使う猫は 年をとってから寝てばかりになりそうな気がします。



砂桜さん
王子君が 毎日まめさんをケアしてるので、
まめさんもあと数ヵ月後にはこの環境に慣れてくれるんじゃないかと思います。
王子君は いい子すぎて、ストレスとかないか かなり心配です~><



ねこさん
おうじくんみたいに おとこのこで こんなに ほかのねこちゃんのしんぱいをして
じぶんの ごはんを たべさせて それで うれしい かおしている。
そんな ねこは あまり わたしも いままで みません。
おうじくんは いそっぷのどうわにでてくる 石のおうじさまに にています~!

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2015/06/21 11:02
なんて素敵なにゃんこファミリーなんだー(´;ω;`)ウッ…
猫ちゃんの引越しって、なれるまでが気を使って大変だよね
サビさんを寝かしつけたあとに(笑)まめちゃんのところへいく王子くん
たまりませんニャ~

って、えっ。重婚ってーw
あっ、ってことは、腹違いの兄弟がわんさかいるんですか(わんさかって……意味もだけど、古いねw)
なんか、大変だけど楽しそう……でもないか????よくわかんないや^^;

映画になりそう
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2015/06/21 08:34
網戸に顔を押し付けているにゃん達の写真を探して見てました… (*´ -`)萌えますなっ
「ここ、どこ~?」チェロにゃんの声に聞こえます… ( ̄m ̄〃)
やっと当時の王子君とチェロにゃんの表情が見えてきました。
外の景色を食い入るように見ながら途方にくれている様子が… (ノ_・、)

「あなた、本物ですか、証拠はありますか?(´・ω・`)…」 。・゚・(ノд`)・゚・。 切なすぎます…
でも、ちゃんと確認できて落ち着いてくれたみたいで( ´ω`)~3
うん。まめちゃんは王子君とチェロにゃんに任せて…  (´;ω;`)うっうっ…
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2015/06/21 07:34
猫舎解体お疲れ様です

やはり王子殿は素敵です。
惚れてしまいそう!
きっとまめ嬢様も王子殿に任せておけば大丈夫ですね。
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2015/06/21 00:00
サビ猫さん、こんばんは^^

やはり、王子くんはいい子だぁ~(。´Д⊂)
まめさんが許してくれる日は近いですね!
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2015/06/20 19:40
王子くん、いつも 面倒 みることし すごい いいの性格ですね~^^

びっくりです^^
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2015/06/20 08:29
ネコ衛門さん
王子ちゃまって、面倒見がいいみたいです。
まめちゃんのケアはもう王子君にまかせました~!
チェロたんも気が向いたときはまめちゃんのケアというか一緒に遊んでるみたいです(^^)


パゴットさん
本来ならそんなに大変な作業じゃないんですけどね。
パーツとかはずして解体していくのに 指が全く動かなかったもんだから
すごい時間がかかっちゃったんですよねえ。 お気持ちありがとう~!



らんなーさん
母親は、猫達が怯えているので ゴハンや水を出したあとはそっとしておいていたようです。
まめちゃんは、窓に載ってる王子君とチェロたんのいるタンスの下にうずくまってたそうです。
多分、全く見たことない土地だから「ここ、どこ~?」みたいな感じだったんじゃないかな。
王子もチェロたんも、すごい途方にくれた顔でしたからね。
私のまめちゃん捕獲の様子もショックだったのかも・・・。
あのときの私に悪気はいっさいないってことを、王子からまめちゃんに
よく言っておいてほしいわあ~!
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2015/06/19 23:54
王子ちゃま なんてカッコいいんでしょ. ・:*:・(*´エ`*)ウットリ・:*:・.

ママを寝かしつけてからまめちゃんのケアしてたのねー

男らしいわぁ|´∀`●) ポッ
惚れてしまいます(//∇//)
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2015/06/19 22:21
猫舎の解体もたいへんだったんですね。。
そういう仕事は得意だから呼んでくれれば手伝ったのに。(^^ゞ
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2015/06/19 21:45
王子君とチェロにゃんは、どうして網戸に顔を押し付けてたのだろう… (´ω`) ンー…
一晩面倒を見ていた(?)母上が追い込んでた?…あるいは、まめちゃんに?

突然環境が変わって、どうしたもんかと思案してた所に、
同じ匂いを嗅ぎ出して、サビ猫さんだと思い出してくれたんでしょうかね…( ´ω`)~3
面子が変わってない事が唯一の救いかもしれませんね。

確かに、王子君、チェロにゃんは、まめちゃん捕獲の様子の一部始終を見ていたのだろうし、
一晩(=゜ω゜)ボー…っと考え込んでいたのかも…

王子君は全てを理解しているようですね(*^ー゚)b




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