「あ！ところで先生よォ～、今読んでた…この『ゴゴゴの鬼次郎』のつづきの巻、早く買ってくれよォ！俺、早く読みたいんだよ～！」
　番台前に来ていた天狗が、思い出したように・そして片手の漫画を振りかざしながら言った。
「……ああ、もう予算が少ないからね。買うとしても、来年以降になっちまうだろうね」
「ええええーー?!　そりゃねェぜ先生！俺たち、もう卒業しちまうじゃねェかー！！」
「知ったこっちゃないよ。それよりあんたは、もっと字の多い本を読みな。仮にも、書物委員長だろうが」
「え～？　でもこの鬼次郎がよォ、すっごくカッコイイんだぜ～？　妖怪のヒーローでよォ、長靴で敵を攻撃すんだ！！　も～、それが……！」
「……長靴って……。飛ばしても、多分３割くらいしか敵に当たらないと思うんだけど」
「……フフ、わかってないなぁ～。その、イチかバチかのドキドキ感がたまらないんだよ～」
「……そーいうもんなの？」
「フフ、そーいうもんなの！　いっぺん読んでみたらいいよ～」
　わやわやと、６年の書物委員どもが騒ぐ。
「～～ほら、うるさいよあんたたち！　そういえば、書物委員で作る予定の『分類クイズ』がまだできあがってなかったじゃないか。昼飯までまだ時間がある。あんたたちでちゃっちゃと作っちまいな」　
「へーい」

　そして、４校時目の終わりごろ。
「先生ー、できましたー」
「ほう、そうかい。案外早かったじゃないか。じゃあ試し解きは、自習中に遊んでた罰も含めて…海坊主山坊主兄弟にやらせとくとしよう」

　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　＜問題＞以下の本（①～⑨）は何類になるか、正しく分類しましょう。

①『閻魔論～地獄の長の渋い哲学～』（１類）
②『おいしいお米ができるまで～鎌鼬（かまいたち）の無農薬農業～』（６類）
③『化け唐傘の生産・流通統計』（０類）
④『火の玉解体新書～主成分がリンとか言ってるのは人間だけ～』（４類）
⑤『座敷童子の和室マナー読本』（３類）
⑥『妖怪川柳～子泣き爺と想いを叫ぼう～』（８類）
⑦『たまに流される！河童泳法』（７類）
⑧『乗りものわくわく・はたらく地獄車』（５類）
⑨『鬼の敗北歴史～VS桃太郎・寸法師など～』
⑩『妖怪学校書物番～猫又・幸のある日の一刻～』

・０類：総記（情報科学、事典、雑誌、年鑑などの「調べる本」全般）
・１類：宗教・哲学分野
・２類：地理・歴史分野
・３類：社会分野
・４類：科学分野
・５類：技術・工業分野
・６類：産業分野
・７類：芸術・体育分野
・８類：言語分野
・９類：文学（物語本など）

　　【※読者の皆様も、ぜひ解いてみてください！＾＾ｗ】

　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　カラン、カラン。
　と、ここで、妖怪学校の鐘の音が鳴った。
「お、昼飯の時間だ～」
「あ～、やっと飯が食えるよ。私ゃ、一刻前から待ち遠しかったんだからね！」
　幸はぐいーっと伸びをして、嬉しそうに言った。
　窓には相変わらず、しとしとと続く秋雨の画が映っている。
「ほら、あんたたちも早く教室に行きな。海坊主山坊主兄弟には、昼休み必ず書物室に来るよう、誰か言っといとくれ」
「はい、わかりました」
「……フフ、問題、結構難しいかもしれないけど…。あいつらちゃんと解けるかなー」

　自由気ままで、個性豊かな妖怪学校は、今日も多分、平和だ。

　＊　＊　＊　＊　＊

　＜おまけ：昼食後の昼休み・書物室にて＞

「……こら、海坊主山坊主兄弟！　あんたたち、全問正解しないと揃って八つ裂きにするからね！！」
「ヒィィィィィ～～！ あんちゃん、俺まだ死にたくないよ～！！」
「が、頑張るんだ弟よ･･･！ いざとなったら、昨日あってた砂かけ婆とぬらりひょんのメロドラマを再現して、幸先生を笑わせるんだ！（そんで、その隙に逃げる！！）」
「そ、そっか…！ クラスでは、すごい再現率だって爆笑取ったもんね！ だったら、幸先生も……」
「やかましいね坊主兄弟！！口より手を動かしな！！！」
「「は、はいぃぃぃッ！！」」

　　【終】

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　＜あとがき＞

　2011年10月25日完成・翌日アップ。
　「ニコッとタウン文芸部」第16弾のお題：「秋雨」「読書」「食欲」をテーマに書きました。＾＾
　（わかる方はわかるかと思いますがｗ）自分の仕事での知識や経験を生かしつつｗ、その他願望とかも織り交ぜながら･･･書いてみましたよーｗ
　妖怪（種族）を絞り出すのが若干大変でしたがｗｗ；、後半になるにつれてユーモアもぶっこんでいけるようになり、思った以上に楽しく書けましたｗ
　分類クイズは、楽しむ＆勉強になったらいいなーと思います。

【※以下、作中で出した『分類クイズ』の答えです。＾＾】↓

①･･･１類
②･･･６類
③･･･０類
④･･･４類
⑤･･･３類
⑥･･･８類
⑦･･･７類
⑧･･･５類
⑨･･･２類
⑩･･･９類