Nicotto Town


ぷち☆さちねこ日記


星の魔法少女~誕生物語~ 【その4】


 それから私は、黒猫姿になったポーラと一緒に、「星狩り」――「星の魔法少女」として、人知れず落ちた星を拾い集めている。

 星が、誰にも知られず落ちて来ているように。
 私も、星の魔法少女になったなんてことは、誰にも知られていない。

 学校ではもちろんのこと、一緒に住む家族にだって秘密だ。

 ポーラのアシストで、「次は、あの星座のあの方角から」「次は、あの星座の○○の辺りから・・・」。
 そんな指示を聞きつつ、私は夜の街や丘を、走り、跳んで――落ちてくる星に、不思議なロッドを近づける。

 たまに、手のひらへふわりと舞い落ちてくる星もあるのだが・・・
 そういう星は、間近であたたかい光と、ほのかな温度を感じられる。

 ロッドに近づいた星は、あっという間に先の球体のような部分へと吸い込まれ、しばらくその部分に、キラキラした光を残す。

 その光に思わず見とれていると、すぐ傍から、ポーラの声が飛んで・・・
 ふと、我に返るのだ。

 流れ星たちを管理する神官様の力で、「星の魔法少女」になった私。
 指示された方角へ走りながら、改めて思う。

 普段の自分では、絶対にしない髪型。透けそうで、ヒラヒラしたミニ丈の服。
 流れ星を見つけるために、良くなった視力。速くなった足。
 そして、自分の身の丈ほどもある長いロッドを、振り回せる腕力と俊敏力・・・。
 
 自分の見た目も能力も、普段とはまるで別次元だ。

 しかし心だけは、普段と変わらず、同じものが通っている。

 神官様に出会い、ポーラとともにこの任務をするようになってから――私は変わった。
 周りの悪意に、いたずらに飲み込まれることがなくなったのだ。

 心の持ちようで。ほんのちょっと、無理してでも作る笑顔で。

 自分が変わることで、周りが変わることもあるのだということを実感した。

 「次はあっち!カシオペア座の方向よ!」

 私の左横を走っていたポーラが、空を見上げて声を張り上げる。

 「わかった!さあ、あれを拾えば、今日はちょうど100個目・・・!」

 後半はそう呟いて、私は一段と、走るスピードを上げた。

   * * * * *

 ――もし、夜空で流れ星を見かけたら。
 
 私たちが捕まえた、「2回目の星」かもしれないけれど。

 どうか、願い事を唱えてください。

 その後あなたに訪れるであろう幸せな笑顔は、私たちの幸せでもあり、励みにも、なるのですから・・・。


  【終】





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