春谷探偵物語 第1巻「序章~始まりは殺人~」12
- カテゴリ: 自作小説
- 2010/09/04 23:27:15
「と、まあファイルに書いてあった事はこんなもんや。」
「でも、大村さんなら、その殺された山岡って男の所在は突き止めていた訳やろ?」
春田はアイスコーヒーをブラックで飲みながら聞いた。
「多分な。 昨日、俺が木村警部から依頼された事を先生に伝えたら、顔色がサッと変わったからな。 所在地はおろか...
私のもう一つのブログ、
http://17253670.at.webry.info/ も宜しく。
こちらでは、実生活の近況を書きつづっています。
最近こっちばっかりで、あまり書いてませんが。
「と、まあファイルに書いてあった事はこんなもんや。」
「でも、大村さんなら、その殺された山岡って男の所在は突き止めていた訳やろ?」
春田はアイスコーヒーをブラックで飲みながら聞いた。
「多分な。 昨日、俺が木村警部から依頼された事を先生に伝えたら、顔色がサッと変わったからな。 所在地はおろか...
カメラのレンズを望遠仕様に取り替えて撮影してると、後ろから声を掛けられた。
「おい、こんな所で何してるねん!」
谷本が振り返ると、男が二人立っていた。一人は格幅の良い青年。もう一人は少し痩せた印象のある青年だった。
「何って、写真を・・・・。 おぉー、春田! 久しぶりやね!」
谷本は突然...
同日、午前10時。谷本は事務所のデスクの上に封書が置いてあるのを見つけた。いつもながらギリギリの時間に事務所に入る彼は、今日もギリギリの時間で滑り込んでいた。普通なら、ここで大村の怒鳴り声が聞こえてくるのだが、今日はやけに静かだった。
「あれ、先生いないんだ。ラッキー!」
そう言いながら、封書...
第2章 調査 7月22日 水曜日。小田と太田は菜園場(さえんば)に来ていた。ここは江戸時代、当地に土佐藩主用の菜園場があったことに基づく町名から来ているらしく、現在は飲食店等が立ち並ぶ商店街となっている。二人がここへ来た時には買い物客で溢れていた。
「うわー、凄い人ね!」
「うん、夕方...
「警部、面白い話が聞けました。」
デカ部屋に飛び込んできたのは小上刑事だった。
「面白い話?」
木村は長椅子から飛び起きた。連日の疲れが出たのか丁度、仮眠を取っていた所だったのだ。
「ええ、現場近くの饅頭屋が話してくれたんですが、害者と共に女がいたらしいんです。」
「女?」
「ええ、二...