Nicotto Town



自作小説倶楽部4月投稿

「黒猫と少女」
は、いけない。いけない。あたしは、窓ガラスに息を吹きかけると雑巾で拭いてゆく。窓の外には重い灰色の空が立ち塞がっていて恐ろしいように感じた。目をつむりそうになって首を振り、作業を続ける。死んだばあちゃんに「お前はぼんやりだ」と随分注意された。ばあちゃんが死んで働きに出て何年だろう。ぼ...


ネタばれ読書日記

『蝶のいた庭』著ドット・ハチソン★1すごい話ではあるんだけど、中盤延々と殺される被害者たちの話になるし、最初「庭師が求めるもの」とぼかしてたのにあっさり「セックス」とばらすし、最終部分でヒロインの心が折れなかったもう一つの理由にかなーりうんざりした。
あらすじ取調室で語られるおぞましい事件の顛末。F...


自作小説倶楽部3月投稿

『マリア』
マリアは私のあこがれでした。蜂蜜色の髪に瑠璃色の瞳、そして白い肌。彼女とお茶をすれば狭い畳の間も豪華な宮殿になったり、おしゃれな邸宅になりました。私とマリアは花びらのお茶を飲み、おしゃべりをして、時々絵本を読みました。一番楽しかったのはマリアの衣装合わせです。古い型だったけどマリアはたく...


自作小説倶楽部2月投稿

『疑惑の手紙』
うつくしい思い出はまだ貴男の中にあるのでしょうか。そばにいられなくても貴男の血のつながった娘さえいてくれれば幸せだとおもい生きてきました。しかし私の命はついに死病に侵され春を見ることなくつきることになりそうです。心残りは娘のことです。いとしい娘はまだ子供です。かつての私のように世間の...


自作小説倶楽部1月投稿

『演歌の花道』
「いつか咲かせてみせます。大輪の、」「アヤメさ~ん。もう寝たほうはいいですよ。ほら、薬飲んで、あ! チューハイなんか飲んじゃ駄目じゃないですか」「この胸の悲しみに耐えかねて、呑まずにはいられない。ままならぬ世を嘆き、ひとり寂しく」「いやいやいや。少しでいいので頭を通常モードに切り替え...





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