Nicotto Town


遠路はるばる


自身の囁き


これは姪がようやく歩き始め、甥がようやく物事を理解し始めた数年前のことです。
その日は朝から2人を預かることになりました。
姪は母にべったりなおばあちゃん子なので、私はたいてい甥の担当でした。

お昼すぎに2人のお出かけを兼ねて買い物に行くことになり、
母が2人のお出かけグッズを準備している間に私はお財布の中身を確認していると
紙幣を見た甥がペンを持って落書きをしようとしているではありませんかっ!!

ここは大人としてピシリと言っておかなければなりません!
「いいですか!?これは物を買う時に必要になる大事な紙幣なのですよ!
これで落書き帳を買ってあげるから、それまで我慢するのです!
・・・ちなみにこれが私の一番好きなユキチだよぉう~~。わははは」

無垢な子供に一万円札を見せびらかすダメ大人。

その後、母の準備も整ったので近くのスーパーに出かけました。
必要なものを買い終わった後、キッズコーナーでしばらく遊んでから
キッズコーナーの横に新しくできた庶民の味方!ダ○ソーへ!

おもちゃコーナーの側に落書き帳や折り紙なんかもあったので、それを見ていたとき、
甥が奥のほうへタタッと駆け寄り何かを見ていました。そして言いました。

「おばちゃ~ん!おばちゃんの好きなユキチあるよ~!」

!!! Σ( ̄□ ̄;) 衝撃のあまり普段使い慣れない顔文字だって使っちゃいますよ!

大声で言いながら甥は子供銀行セットのおもちゃの一万円札を誇らしげに掲げています。
その時、かろうじて残っていた理性「乙女の恥じらい」の部分の私が囁きました。

「お・・・おおお・・・落ち着くのよ!私!ここは向こうにある商品が気になるのよという
何気なさを装って甥に近づけば、周囲に私がおばだとはバレずに済むかもしれない!」

よし!すぐさまその作戦を決行!・・・する暇もなく、甥は私の前に駆け寄り、畳み掛ける。

「ほら~!見て~!おばちゃんの好きなユキチ~!見て~!」

うん。見てる、見てるよ。私は貴方とおもちゃのユキチを見てるけど
他のお客さんや店員さん達は私とおもちゃのユキチを見てるよね・・・・。
唯一見ていないのは他人のふりに徹したお母上だけですよ!

この後恥ずかしさに耐え忍びつつ素早くレジを済ませ、少し離れた場所で待って、
先ほど他人のふりをした、ここ重要なのでもう一度言います。
先ほど愛娘のピンチを助けることもなく他人のふりに徹したお母上と合流。

恥をかいた上に「なんて教え方してるの!!」と、大人になっても母に叱られる。
まさに踏んだり蹴ったり。心情的に言えば踏まれたり蹴られたりというべきかも。

そして未だに我が家では「おばちゃんの好きなユキチ事件」として
ことあるごとに話題にあげられてはニヤニヤされるのであります。
肝心なことはすぐに忘れるのに、こういうことだけはシッカリ覚えている我が家族。

あの時、忍法隠れ蓑の術!!とかできたらな~~と今でも心底思ってしまいます。
残念ながら先祖が忍者だったという劇的な展開もなく・・・
ハットリ君とは全く赤の他人じゃ~。忍者だけに。ププッ

こんなことばかり言ってるから甥と姪は、今では私の言うことを
右から左へ受け流す「おばスルー」スキルを身につけちゃったのでしょうか~。

フリマで浮世に潜む忍者を交換して下さった方に感謝です♪




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