Nicotto Town



謙遜は美徳で

を言われたのか分からず、コレットは目を瞬かせた。
「アニエスやジュリア嬢に」
 挙げられた名前に、コレットの瞳が大きく開く。
 フィオンは知っているのだ。コレットがアニエスと広間を出て行ったことも、そしてジュリアがコレットに何をしたのかも……。
 なんと言えばいいのだろう。
 コレットの視線が泳ぐように庭の景色へと移った。
 髪を撫でた指がするりと動き、コレットの顔の輪郭をなぞる。そのままフィオンの手がコレットの頬を包み込んだ。
 その手の熱さにどきりとして、コレットはびくりと肩を震わせフィオンを見た。
 真っ直ぐに自分を見つめるエメラルドの瞳。その真剣なまなざしに、コレットは動けなくなる。
 熱いほどの手のぬくもりを感じ、かあっと頬が熱くなった。直接触れる手の感触に、やっと静まったばかりの心臓がまた早鐘を打ち始める。http://www.henjimt.com/ tory burch カチューシャ
(……だめ……なのに……)
 こんなふうに、フィオンに対して接していてはいけないのに。
 彼には婚約者に相応しい相手がいる。そして、薬のせいで自分を好きだと言っている彼は、どうあってもコレットのものにはならない。
「ごめん」
「え?」
「君が苦しい思いをするのは、僕のせいだね」
 フィオンがコレットを手放すことができないから。
「でも、君を放してあげることはできないんだ」
 フィオンの瞳の力に耐え切れず、コレットは少し顔を動かした。
 それを許さないとばかりに、フィオンはもう片方の手もコレットの頬にあてて、両手ですっぽりと包み込む。
 フィオンに両手でやんわりとだが顔を拘束され、コレットはもはや顔を逸らすことなどできない。
 少しかがんだフィオンの顔が、コレットの間近にあった。
「コレット」
 甘くささやくように、フィオンは愛しい名前を呼ぶ。
「君が好きだ」
「でも……」
「薬のことはわかってる。でも、それでも、君が好きなんだ。側にいたい」
 息がうまく出来なくなってしまったように、呼吸が苦しく感じる。
 喉に何かつまったような感覚に、コレットはそれを飲み込むように息を飲むと、なんとか言葉を搾り出した。
「フィオンさまには、婚約者候補がいらっしゃいます」
「あくまでも、それは候補だよ」<a href="http://www.zhdciy.com/">tory burch ネックレス</a>
「アニエスさまは、とても素敵な方です。身分もつりあいますし、それにフィオンさまのことをとても……とても大切に」
「コレット」
「……はい」
「僕が、君が欲しいと言っているんだ。他の人は関係ない」
 添えられた手に、コレットは顔を少し上にむけられた。
 エメラルドの瞳に囚われて、コレットはもう目を逸らすことさえ出来ない。
「大切なのは」
 フィオンの金色の髪が、さらりとコレットの額にかかった。 
「君が僕をどう思っているか、それだけだよ」
 心臓の音がやけに煩かった。喉がカラカラに渇いて、呼吸が苦しい。
(私は……フィオンさまを……)
 
 



 カツンと大理石の廊下に靴音が響いた。
 自分たちのものではないその音に、フィオンのこと以外考えられなくなっていた思考回路が、現実へと引き戻される。
 ほとんどゼロになりかけていたフィオンとの間に両手を滑り込ませ、慌てて離れる。
 フィオンの手が、コレットの頬からするりと離れた。

「殿下、酔い覚まし……ですかな?」
「これはオースティン公爵」
 先ほどまで、コレットに口付けるほどに近づいていた現場を目撃されていたことを、気にも留めないようにフィオンはにこやかに話し始めた。<a href="http://www.hhy5768.com/">tory burch 財布 一覧</a>
(オースティン公爵さま。アニエスさまの、お父上……)
 髪には白いものも混じりつつあるが、瞳は深い緑色をたたえているオースティン公爵は、アニエスと面差しがよく似ていた。そこにいるだけで空気が変わり、ピリっとした雰囲気が漂う。
 目上の貴族に対し、慌てて頭を下げようとしたコレットを相手からかばうように、フィオンは彼女を自分の背中に隠した。そのままオースティン公爵との会話を進める。
 オースティン公爵は、あいさつもしなかったコレットを気にしている様子はなかった。彼にとっては、コレットなどいないも等しい。


「今宵はすばらしい夜会でした。殿下も王族として、立派にその役割を果たされていらっしゃいましたね」
「ありがとうございます。まだまだ未熟な点も多く、お恥ずかしいかぎりです」
「謙遜は美徳ですが、真実をまげる必要もありますまい。ところで、ヘンリーさまは息災ですか。爵位を譲られて領地に戻られてからは、あまり王都に顔もだされないので、なかなかお会いする機会ももてぬのが残念ですが」
「領地に戻って、のんびりとしています。オースティン公が気にかけてくださっていることを聞けば、とても喜びます」
「近々お会いできればと思っております。ご意見を是非に伺いたい事項が多いですからね」
 そう、とオースティン公爵は続ける。
「隣国の動きに




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