Nicotto Town



神野の敷地その門

趣肆Δ蛉毪欷啤ⅠRの背を挟み込まなければいけない。また、ゆっくり進む時よりもずっと慎重に前方を見つめて、一時も気を抜くことなく手綱を操らなければいけない。

  出雲の一の宮へ続く神道を駆け、宮の門前にある広場で馬から降りると、狭霧の脚は、地面にうまく立てないほど痺れていた。

  一緒に道を進んできた武人たちもだ。彼らは、風を受けてからからに乾いた前髪を耳にかけながら、狭霧を向いて呆れてみせた。

 「いやぁ、まいった――。脚はふらふら、腰もがくがくですよ。早駆けをして風ばっかり食ってたせいかなあ、喉も乾いた。水が飲みたいです。――それにしても、狭霧様は、よくぞここまで走り抜きましたね。馬の扱い方は、武人並みですよ」

 「ありがとう。――みなさんは、ここでゆっくりしていてください。わたし、早々に大巫女様に会えるように話してきます」
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  馬の背に寄り掛かって一呼吸つくなり、狭霧は、地面に敷き詰められた白砂利を踏んで、奥へ向かって歩き始めた。よろよろと進む狭霧の後ろ姿を見送りながら、武人たちはやれやれと肩で息をした。

 「私は今、失礼なことをいいましたね。馬の扱い方も、疲れ知らずなところも、武人以上ですよ。へばっているのは我々のほう、我々の負けです」

  狭霧は、振り返って苦笑した。でも、冗談に答えはしなかった。

 「急ぐので、ごめんなさい。いってきます」
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  ひと息でも早く、宮門をくぐってしまいたかった。

  その門の向こう側は、神野の敷地。その門をくぐって、その先に身を忍ばせてしまわないかぎり、高比古からは逃げきれないと思った。


9章、神野 (2)

 

 神野の宮は、さらさらと水音を立てる清流のそばに建っていた。
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  清流は神野の宮へ続く神道に沿って流れているので、川の水音は、ここへ来るまでの間、ずっと一行のそばで響き続けた。

  陽が落ちてあたりが薄闇に包まれ始めると、水音はさらに耳につくようになる。昼も夜も絶え間なく響き続ける水音と違って、昼間のあいだは動いていたさまざまなものの音が薄れるせいだ。

  神野の宮を囲む背の高い木々が黒い影になり、あたりが暗くなると、さらさらと響き続ける水音はどこから来る音かがわからなくなる。まるで四方から聞こえるようで、道を進むにつれて、狭霧は、目の前や周囲が闇と水音に覆われていく気がした。

  炊ぎ舎の外庭で就寝の支度をする巫女の姿があったので、そばに寄って声をかけた。名乗り、大巫女に会いたいと願うと、出くわした若い巫女は目を丸くして、大巫女の居場所、奥の宮へ駆けていった。

 「杵築の狭霧様? 大国主の――? は、はい。すぐさま大巫女様にお伝えいたします」

  暗がりで待つ狭霧のもとに巫女が戻ってくるのは、早かった。

  駆けていった時とは裏腹に、戻って来る時、若い巫女の歩き方はゆっくりだった。狭霧の真正面で歩みを止めると、神託を告げる前触れのような厳かさで、一礼した。

 「奥の宮へ報せにまいりましたところ、大巫女様は、あなた様がいらっしゃることをご存じでした」

 「――えっ?」

 「母神の目が、あなたを向いておられるとのこと――。大巫女様は、奥でお待ちです。こちらへ」

  そういって、若い巫女は、狭霧を奥の宮へ案内した。





  神木の林の荘厳な霊気に清められたのか、宮を包む闇には、凛とした気配が立ち込めている。大巫女が住まう奥の宮は、そういう場所にあった。

  奥の宮の入口には、案内役の別の巫女が待っていた。その巫女の先導で、狭霧は夜の庭を歩いた。

  遠い昔に感じる記憶の中の景色と、目の前の景色は同じだった。見覚えのある階(きざはし)をあがり、長年 




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