糧を積んだり馬に飼葉を
- カテゴリ:日記
- 2013/09/14 15:08:11
いやだ。でも、立ち止まるのは、よくないよな……あんたは、進んだのに。なあ、狭霧――おれは、決めた。あんたを殺す気で神事をおこなう。あんたを信じて、あんたに賭ける。――おれも、進む。もう戻れないかもしれないけど、進む――。こんなふうにいちいち逃げないで済む呪いか神事があるなら、自分にかけたい。今後、どんな苦しいことが起きても、こうならないように』
「高比古……」
<a href="http://www.cd33n.com" title="http://www.cd33n.com">http://www.cd33n.com</a>
高比古の胴にしがみついて、狭霧は、胸元でぽろぽろと涙をこぼした。
寝着の白い布地が濡れていくと、高比古は狭霧をさらに抱き寄せて、頭の丸みをなでた。
『――まだ、泣いてるな。涙があったかいよ。よかった、あんたがそばにいるんだな――。あんたが泣いていても、そばにいると思うと、それだけでほっとする……』
<a href="http://www.cd33n.com/レディースバッグ-z0-2.html" title="バッグ">財布 レディース 人気</a>
目が視えなくなり、耳が聞こえなくなった高比古を神野まで連れていくために、狭霧は馬番をかき集めた。高比古が一人で馬を操ることができなくなった今、手綱を誰かに引いてもらわなければ、遠路をいくことはできないからだ。
「ゆっくりいくから、神野に着くまで三日はかかるかもしれない。でも、絶対に連れていくから」
声でのやり取りができなくなった今、二人の言葉の代わりになったのは手のひらだった。
<a href="http://www.cd33n.com/miu-miuミュウミュウ-z0-1.html" title="miumiu アウトレット">プラダ 公式</a>
出発前に高比古の腕をなでると、高比古は、その手を取って微笑んだ。
目は合わなかったが、笑顔は、ありがとう――と、そういった。
「じゃあ、支度ができしだい出発するから、お願いします。昼には雲宮を出よう」
威勢良く狭霧がいって、神野へ発つ一行が兵舎の大庭で支度を整えているのを、武王、大国主は遠目から眺めていた。
高比古の身に起きた異変は大国主のもとにも伝えられたので、すでに耳に入っている。
兵舎の大庭を陣取って、遠出に備える娘と娘婿の一行を見つめて、大国主は、そばにいた側近、安曇にぼやいた。
「狭霧を燃やす大神事だの、それを嫌がった高比古に身体の半分を失う呪いがかかるだの――面倒なことが続くものだな? 高比古も高比古だ。いやなら信じずに無視すればいいのに、信じてしまうからこのようなことが起きるのだろうが」
「高比古は事代です。そう思いたくともそうはできない才というか、宿命のようなものがあるのでしょう――」
安曇は、ため息をついた。それから、大国主へ一行への同行を願い出た。
「穴持様、私を、狭霧と共にいかせてください。私も神野にいってみたい。大神事とかいう妙なものが本当に必要なのかどうか、神野の大巫女に問いただしてきます。それに、今の狭霧と高比古だけに任せるのは、少々不安です――」
「ああ、いいぞ。高比古を支えてやれ。おれも、おまえがいないうちに自分の用を済ませておく」
大国主は快く承諾した。
大国主の目は、糧を積んだり馬に飼葉を食わせたりと、支度に励む一行の姿から逸れることがなかった。大国主の目はそれを、諸悪の根源を憎むように睨みつけた。
「なあ、安曇、おれはつくづく思うが、神野や高比古がいっている出雲の母神というのは、守り神ではなく疫神ではないのか。――そもそも、なぜ神は女なのだ? 男でも女でもそのどちらでも構わんが、神というものが女で、それで今のこれが引き起こされているとしたら、女の性(さが)とはどうしてこう、鬱陶しいのだろうなぁ?」
「女の性、ですか――」
「ああ。兵法や、ことこまかなあれこれなど多くに精通しているおまえが、唯一おれに劣るところだろう。女を、おまえは何人知っている?」
「――いったい、なんのことで……」
怪訝顔をして口ごもった安曇へ、大国主は冷笑を浮かべた。
「おれは大勢知っている