Nicotto Town



にいると疑う気配がないところから察するに

胜い趣长恧囚~をとって、畑を耕してさ。……いいもの、わたしは。姫じゃなくなっても」

「二度とそんなことを口にしないで。誰かに聞かれたら、とんでもないことに……」

 輝矢はそっと目を鋭くすると、戸口や窓を見張る。

 閉ざされた小さな館は相変わらず静かで、誰かに見張られている気配はなかった。それをたしかめると、輝矢はほっと息をついて目尻から力を抜いた。

「馬鹿なことを考えちゃだめだよ、狭霧。僕が毎日穏やかに暮らせているのは、囚われているとはいえ、大国出雲に匿われているからだ。きみだって……。世の中には戦が溢れているよ。たとえ出雲から抜け出したところで、僕はきみを守る自信だって……」

「でも、二人で頑張ればきっと……」

 狭霧はかすかな希望にすがりつくが、輝矢はどんどんと声を荒げていく。

「いまの僕ときみでは無理だ。きみを僕の道連れにするわけにはいかないよ。きみは出雲にいれば幸せに暮らせるのに」

「出雲にいたって、幸せになんかなれないもの!」

 狭霧はとうとう声を大きくした。そのうえ目には涙が溢れて、堰をきったように頬を伝う。

「出雲にいたくないの。輝矢と一緒にいたいの。輝矢がいればわたしはそれでいいんだもの!」

「落ち着いて……狭霧」
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 輝矢は狭霧を抱きしめて背中を撫でる。輝矢が目尻でうかがうのは戸口の向こう側だ。

 今日も狭霧は、ここへ忍び込むことで輝矢のそばにいる。

 大声をあげてしまえば、館を守る番兵たちだって狭霧の存在に気づくはずだ。そのうえ彼らが耳をそばだてて、狭霧の声を耳にしようものなら……。輝矢の顔は、強張っていった。

「いいから、声を小さく。誰かに聞かれたら……」

 だが、涙で頬を濡らす狭霧は聞く耳を持たない。

「ね、お願い。一緒にいこうよ。わたしを連れて逃げて!」

 昂ぶった狭霧は甲高い声で喚くので、輝矢もとうとう怒鳴った。

「僕ときみじゃ無理だ! 世の中のことをろくに知らない僕たちじゃ!」

 ふだんの温厚な様子からは想像もできないほど、輝矢が強くいい切るので、狭霧は細い身体をびくりとさせた。それで、輝矢もはっと我に返る。それから彼は、いいわけするように狭霧を抱きしめ直した。

「その、いやなわけじゃないんだ。ただ……わかってよ。いまは無理だよ」

「じゃあ、いつならいいのよ。あと一年、二年もしたら、本当にわたしはどこかの豪族のもとへ嫁がされるかもしれないわ。……世の中を知ったふうな高比古みたいなやつが、わたしの嫁ぎ先を決めてしまうのよ」

「それは……」

 さすがに輝矢も口ごもる。一年後、二年後……。そんな先の話は輝矢にも想像がつかなかった。いや、輝矢の想像のなかでは一年後も二年後も、彼はいまと同じように牢屋にいた。そうはなりたくないが、これまでも、彼は自由を得ようと努力をしなかったわけではなかった。

 狭霧は、ぼろぼろと涙を流していた。

「じゃあ、出雲の男になってくれる? 輝矢さえうんといってくれれば、わたしはとうさまにお願いするわ。輝矢の嫡姫になるって。輝矢と一緒に牢屋で暮らしたって、わたしは……」

「ちょっと待って、頼むって大国主に?」

 輝矢は、眩暈を感じはじめた。

「そんなことを、あの人が許すわけが……」

「じゃあ、どうすればいいのよ!」

 狭霧が再び大きな声で叫んだときだった。

 コンコン。木戸を叩く音と、安曇の不機嫌な声がした。

「狭霧、いますね? 輝矢様、開けますよ」

 丁重な断りは入れるものの、今日の安曇は有無をいわせない。

 狭霧がそこにいると疑う気配がないところから察するに、彼は狭霧の声に気づいた番兵に呼ばれて、ここ 




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