Nicotto Town



耶に合わせることにした

显伽渔@をふるうことにした。





 その日の仕事が済み、一緒に汗を流した農夫たちに別れを告げると、狭霧は川に浸かって、水で身を清める。それから野営へ戻るが、狭霧の目は、行く手にいる人の顔を気にして仕方なかった。

(盛耶に会いませんように! あの、偉ぶったわけのわからない人に、捕まってしまいませんように!)

 ……が。
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 遠賀の畑から、出雲軍が野営にしている広場へいくには、野原の端をくねる小さな道を通らなければいけなかったが、狭霧が避けたかった人は、どうしても通らなければいけない一本道の先にいた。

 天では、昼間のあいだゆっくりと空を渡った陽が西の端に降りていて、薄青の空は、夕焼けを待つように少し琥珀色を帯びていた。川べりの野では夕餉の支度が始まり、河原につくられた石の竈と広場を行き来する兵たちがちらほらといて、それなりの人通りがあった。

 盛耶は、川べりの野と草むらの境に、目印のようにぽつんと置かれた大岩の上にいて、そこに腰かけていた。川べりの野にある夕餉の支度に追われる兵たちのことなど、知ったことではないといいたげに、そこに背を向けている。狭霧は、それが気に食わなかった。
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(本当に、偉そうな人。手伝いもしないで――いったい何をしてるんだろう?)

 人には、それぞれの仕事がある。夕餉の支度をするのは、兵の中でも下位の者の役目で、武王である大国主はもちろん、安曇や箕淡や、高比古も、それに手を貸すことはないだろう。王と呼ばれるからには、盛耶も同じ部類に入るのだろうが、相手が盛耶と思うと、むしょうに癪に障った。

(いい、すり抜けよう)

 ぺこりと会釈をして、そそくさと盛耶の前を通り過ぎようとした。でも、盛耶はそれを許さなかった。

「おい、待てよ」

 実は、通り過ぎる前から目が合っていたので、そうなるとは思ったが。

 呼びとめられるので、渋々と歩みを止めると、狭霧は、盛耶が居場所にしていた大岩から少し離れた場所から盛耶の顔を見た。間をとったのは、また腕を掴まれるのは嫌だと、彼の腕が届かない場所を選んだからだ。――が。

「はい、なんでしょう?」

「隣に来ないか?」

「え?」

「少し話さないか? ほら、隣に来いよ」

 身構える狭霧の前で、盛耶は、手のひらで自分が腰かける場所の隣を指している。そこに座れということらしい。

(――これ以上この人に関わるのは、いやなんだけど)

 正直、断ってしまいたかった。でも、悲しいことに、狭霧には断る理由が思いつかなかった。

 仕方なく、おずおずと近づいて、盛耶のかたわらに腰かける。でも、彼の腕が急に伸びても逃げられるように、なるべく隙間を空けて座ることは忘れなかった。

「どうしたんですか? 何かありましたか?」

 こわごわと盛耶の顔を覗き上げると、盛耶は、太い首を傾げて狭霧を見下ろした。

「他人行儀な話し方をするなよ。幼馴染だろう?」

「でも……」

 幼馴染だからといって、誰しもが仲良しというわけではないでしょう?

 わたしは、あなたとそこまで仲が良かった覚えがないし……というか、あまりいい思い出がないんですが。よくいじめられていたので――。

 と、いっそのこといってしまいたかったのだが、誰しもが思うことをはっきりといえれば、世の中のあれこれは、もう少し簡単だと、狭霧は切に思った。

(情けないなあ。胸の中でぶつぶつというだけなんて……うん、これじゃ駄目よ)

 昼間の恥ずかしさや、自分への憤りも感じつつ、ため息を飲みこむ。

 狭霧は、盛耶に合わせることにした。

「――わかったわよ。それで、話って?」

「怒ったのか?」

「え?」




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