Nicotto Town



にまぎれていた

磷扭保?

 気をつけていないと、身体が別人の記憶に乗っ取られてしまいそうだった。

(これだから、死霊を受け入れるのは厄介だ――)

 幼い頃に苦労したことまで、今さら思い出した。

 先をいく火悉海の背中を追って雑踏をかき分けつつ進んでいたが、ある時、火悉海が急に立ち止まる。

「どうした?」

 小声で尋ねるが、返事より先に火悉海は少し身体の向きを変えて、自分の身体で高比古を隠そうとした。

(おれを隠してる? おれがいると知られるとまずい奴がいるのか――)

 火悉海の肩越しにそっと向こうを覗くと、そこには、不思議な一行がいた。

 中央にいるのは三十半ばという齢の女人で、女人のそばには、二十歳前後の娘が数人従っている。女たちは、揃って奇妙な格好をしていた。身にまとう上衣は袖も裾も長く
、優雅だの動きにくいだのと真浪(まなみ)がいっていた越服に似ているが、布の地色は、若草色と黄土色の細かな文様で埋め尽くされている。

 特に中央にいた女人は、位が高いのか、額に清らかな純白の領布(ひれ)を巻き、耳たぶからは金の耳飾りが垂れている。唇には紅をさし、頬には、衣装の文様と同じ文様の化粧もあった。

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(巫女? 神に仕える女たちか――)

 納得するなり、高比古の中にある圭亥の記憶もうなずく。

 雑踏の向こうから、巫女らしき一行はゆっくりと歩んでくる。一行の邪魔にならないようにと、港を行き来する人々は道を譲った。その人波に紛れるように、火悉海も高比古をともなって道の隅に寄った。

「火悉海、あの人たちは巫女か?」

「ああ、月の大巫女だ」

「月の?」
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「倭奴は、月を祀っているからな」

「月を?」

「おかしいか? 実は、俺たちの神も月の神なんだが。じゃあ、出雲はなにを祀る?」

 巫女一行が通り過ぎるのまでの暇つぶしか、本当に興味があるのか。火悉海から興味深そうな目配せを受けると、高比古は小声で答えた。

「……出雲に、祀るような神はいない」

「ほう? 巫女のようなものは出雲にいないのか?」

「いや、いるが――。出雲の巫女や呪術者は、土や風や木や、あらゆるものに精霊が宿ると信じている。神がどういうものかはおれはよく知らないが、とにかく、精霊は神じゃないし、万能でもないし、恐ろしいものでもない。――人と同じだ」

 説明しながら、高比古には、自分を愛する精霊たちとの記憶が蘇った。高比古にとってそういう精霊たちは、血のつながった親よりも家族に近かったのだ。

 火悉海は、小さく笑った。

「なるほど、人と同じか。考え方が違うと、面白いな。――俺たちの神は、闇だ」

「闇?」

「ああ、闇だよ。この世に、闇より恐ろしいものはないだろ? だから、俺たちは闇に祈る。だいたい、暗闇が恐ろしいと言う奴は、自分の心の中に後ろめたい闇があるんだ。それを恥じろとの教えだと、俺は思ってる」

 火悉海の鋭い目つきは好戦的に見えるが、やはり笑顔は爽やかで、目は澄んでいる。

 だから、高比古は、彼がした闇の神の話より、彼自身を称えて微笑んだ。

(こいつは、きっといい奴だ。まっすぐで……)

 その時。軽く笑い合っていた高比古と火悉海は、互いにびくりと動きを止めて、目尻で道の中央あたりを向いた。二人は、広くなった通りの隅で、大巫女の一行から隠れるように人垣にまぎれていた。しかし、その大巫女が、二人のそばへ近づいていた。

 人波に潜む二人を見つけたのは、火悉海が月の大巫女と呼んだ、ひときわ豪奢な姿をする女人だった。いや、その女人が見つめる相手は、高比古だけだった。大巫女の眼は、不思議なものを見つけたといわんばかりだった。

 息を飲 




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