Nicotto Town



殺意と呼ぶべきものだと思った

るようにまとめていくのをはっきりと感じた。いまや舘は男たちの士気で膨れ上がり、凄まじいまでのそれは、殺意と呼ぶべきものだと思った。でも――。

(今日は、婚儀なんだけどな――。この婚儀は、戦で敵を倒すためのものなんだな――)

 寂しく感じる想いは、まだあった。それに――狭霧には、もう一つ気がかりなことがあった。覚悟していたことであれ、戦のはじまりを感じたこの場で、それがまざまざと胸に染みると、狭霧は、表情を変えないように気をつけて、唇をきゅっと結んだ。

(二十日後、高比古は、とうさまと一緒に戦にいっちゃうのか――)

 狭霧の隣には、狭霧と同じく花婿の衣装を身につけたまま軍議に加わった高比古がいた。

 高比古は、策士と呼ばれる人だ。策士というのは、出雲王、彦名に代わって戦に出向き、王の全権を預かって行使する人だ。高比古が身を置く場所は、父と同じく戦場なのだ。

 狭霧は、表情が歪むのを懸命にこらえた。

 昼間、大路を進みながら、祝いの歓声を浴びて味わった幸せな気持ちは、つかの間のものだった――それを思い知ると、切なくて苦しかった。





 婚儀の大祭を彩った華やかな飾り布は、祝宴が済むとすぐさま片づけられた。代わりに、雲宮にはありったけの軍旗が掲げられて、ばさばさと音をたてて春風にたなびく。杵築の都に、のどかな時は訪れなかった。

 ある日――。戦の支度に追われる雲宮の大門を、戦の気配に似つかわしくないおっとりした雰囲気をもつ青年と、その一行がくぐった。

 越の国の三の王、真浪(まなみ)と、その従者たちだった。

 真浪が乗る馬につけられた鞍は、金細工と綾織の布で飾られた極上のもの。貴人の沓(くつ)を支える鐙(あぶみ)も、なめし革だけでなく玉飾りが縁を彩っている。<a href="http://www.watchsrarely.com" title="http://www.watchsrarely.com">http://www.watchsrarely.com</a>


 異国では着崩すことが許されない優美な正装姿をして馬にまたがり、杵築の雲宮を訪れた真浪は、大路を歩く下男に高比古の居場所を尋ねると、まっさきに兵舎を目指した。

「おおい、見つけた」

 高比古は、兵舎の大庭を横切っているところだった。

「……真浪? なんで、おまえがここにいるんだ?」

 高比古は突然の来訪に目をしばたかせるが、真浪はそれを無視する。
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「どう、どう」

 手綱を操ってそばまで馬を寄せ、地面に飛び降りて目の高さを高比古と合わせるなり、早口でいった。

「きみの婚儀が開かれるって風の噂で聞いたから、宗像(むなかた)にいく途中に杵築に寄ってみたんだよ」

「もう知ってるのか? さすが、早耳だ……」
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「ていうかさ、なんだよ、婚儀のお相手が、狭霧ちゃんなんだって? ずっりー! おれたちにはあれだけ狭霧ちゃんに寄るなとか、手を出すなとかいっておいてさ、その本人が奪ったわけか? やってくれるよねえ!」

 それは、婚儀の祝福というより、文句だった。

「それは……その時は、というか、つまり――」

 しどろもどろになるものの、結局、高比古は言葉につまってそっぽを向く。

 真浪はにやりと笑って、越服特有の深い袖をさらりと鳴らせて、腹の前で腕を組んだ。

「あ、だんまり? おれ、最近わかってきたんだよね。きみってさ、文句が多いくせに、都合が悪いことがあるとだんまりなんだよね。てことは、悪いことをしたって自覚してるってわけだよね? ずっりー!」

「――」

「そういえばさ、宗像帰りの使いから阿多の噂を聞いたんだけどさ、火悉海(ほつみ)の奴が狭霧ちゃんにはまって、熱烈に求婚したんだって? あいつは最近、出雲の姫を后に迎えたって話だけど――きみが狭霧ちゃんと結ばれたって聞いたら、火悉 




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