すぐさま高比
- カテゴリ:日記
- 2013/09/13 09:45:34
た。
「少し考えたんだが――大国主の軍が発つのに合わせて、雲宮を出ようと思うんだ」
「え、雲宮を出る? どこへ――?」
「阿伊(あい)」<a href="http://www.watchsinevible.com" title="http://www.watchsinevible.com">http://www.watchsinevible.com</a>
「阿伊?」
聞いたことのない地名だった。狭霧が反芻すると、高比古がそれに答える。
「出雲の奥地だよ。いってみたい場所があるんだ。そうしたいと安曇に話したら、そこに離宮があるから、しばらく泊っていいといわれた。それで――あんたも、おれと一緒にいくか?」
寝床に入る前に火皿の灯かりは吹き消されていたので、舘は闇に包まれていた。
でも、狭霧には、自分をじっと見つめる高比古の顔がくっきりと見えていた。それは、目が闇に慣れたのと、きっと、互いの顔を覚えきるまで見慣れたせいだ。
高比古の目は、狭霧を誘っていた。「一緒にいこう――な?」と、眼差しに抱きしめられたと感じるほど、真剣に――。
「もちろん、いくよ」<a href="http://www.watchsinevible.com/wiredされた-txqq9d-11.html" title="セイコー アルバ">セイコー アルバ</a>
狭霧が答えると、高比古は小さくうなずく。
それから、もう一度狭霧の頬を指でなぞって、掛け布にくるまりなおした。
「おやすみ」
「うん、おやすみ――」<a href="http://www.watchsinevible.com/seiko-5-txqq9d-10.html" title="seiko 修理">seiko 修理</a>
挨拶を返すものの、狭霧は上の空だった。
高比古からの誘い文句に応えたのは、誘われたのが嬉しかったからだ。でも、それ以上に、別の想いがあった。
なんとなく、高比古を一人で遠くにいかせたくなかった。
脳裏には、昼間に聞いた須佐乃男の言葉が、繰り返し蘇った。
『あいつは、武王になるには、まだ死の匂いが足りない。……まずはそれを覚えて、女神と向き合わねばならないというのに――』
声を振り切るように、狭霧も掛け布を引き寄せた。
それでも少し心もとなくて、隣で眠る高比古の腕に、そっと指を触れさせた。
(わたしも、一緒にいくからね?)
心からそう伝えたくて、そうしていると、隣でまぶたを閉じる高比古が少し笑った。それから、腕に触れる狭霧の手を自分の手で包み込んで、温かな熱がこもった掛け布の下で手を繋いだ。
「おやすみ――」
闇のしじまに柔らかく広がった、高比古の囁き声。それは、狭霧の胸の中を覆ったもやをすっと晴らしていく。すぐに、狭霧は何も考えられなくなった。――眠りに落ちたのだ。
2章、千古の誘い (1)
雲宮を出ることになった狭霧と高比古が、別れの挨拶をしに真浪のもとを訪れると、真浪は、越の離宮という場所まで足をのばそうともちかけた。
「越の……り、きゅう――?」
誘われるなり、高比古は腰が引けたようになる。
真浪は、すぐさま高比古の心中を言い当てた。
「なんなの、その顔? あ、わかった――盛耶に会いたくないんだろ?」
「……なぜわかる?」
盛耶は、高比古と次期武王の座を争っていた相手のうち一人で、会えばいつでも口論になる仲だ。それは、きっと二人の生い立ちが真逆だからだ。盛耶は、大国主と一の后の長子で、生まれながらの王子だ。対して、高比古は出雲の生まれではなく、力を示すことで成り上がり、今の位を得ている。
高比古はしかめっ面をして、真浪の笑顔を睨んだ。
「――おれ、おまえにそんな話をしたことがあったか?」
「いやぁ、ないよ。ただ、きみと彼って合わなそうだなあと思ってさ。あいつは、おれの従兄弟(いとこ)みたいなもんだから、よく知ってるしね」
「そうなのか?」
「そりゃそうだよ。あいつの母君が越の国の出で、童の頃から知ってる人だからね。盛耶の母君といえば、美人で有名で、おれたちにとっては、近くに住んでいる憧れの姉上だった。いやあ、懐かしい。憧れの姉上にかまってもらいたくて、幼い頃、よく王宮に忍び込んだっけなあ!」
「――はあ?」
「