日が昇る
- カテゴリ:日記
- 2013/08/13 17:09:09
「今の五時の下りでお客がなかったわね。宿の人はまだまだ起きないわ」
帯を結びおわってからも、女は立ったり坐ったり、そうしてまた窓の法ばかり見て歩き廻った。それは夜行動物が朝を恐れて、いらいら歩き廻るような落ち着きのなさだった。妖しい野性がたかぶって繰るさまであった。
そうするうちに部屋のなかまで明るんで来たか、女の赤い頬が目立ってきた。島村は驚くばかりあざやかな赤い色に見とれて、
「頬っぺたが真赤じゃないか、寒くて」
「寒いじゃないわ。白粉を落したからよ。私は寝床へ入るとすぐ、足の先までぽっぽして来るの」と、枕もとの鏡台に向って、
「とうとう明るくなってしまったわ。帰りますわ」
島村はその方を見て、ひょっと首を縮みた。鏡の奥が真っ白に光っているのは雪である。その雪のなかに女の真赤な頬が浮んでいる。なんともいえぬ清潔な美しさであった。
もう日が昇るのか、鏡の雪は冷たく燃えるような輝きを増して来た。それにつれて雪に浮ぶ女の髪もあざやかな紫光りの黒を強めた。
こんにちは、ニコッとタウン事務局です。
初めてのブログ投稿、ありがとうございます♪
ニコッとタウンの基本は「ブログ」です。
オススメは、「年代別カテゴリー」への投稿です。
好きなもののことや、毎日の仕事や生活のことなどを、気軽に書いてみてくださいね。
コメントのやりとりが増えた人には、「友達申請」をしてみましょう。
でも、待っているばかりでは、なかなかコメントは増えません。
最初は、「同じ年代の人の記事」へ、自分からコメントすることをオススメします♪
コメントをしているうちに、あなたの日記にもコメントを返してくれる人が増えると思います。
※こちらのコメントは、初めてブログを書かれた際に、自動でコメントしております。