Nicotto Town



唯一譲位することくらいだしね

たら、その子のことが一番
大切だろ?早めに教育しないといい子に育たないのにー」
いらいらして膝をたたく。
「なんでそんなに焦んだよ。まだ赤ちゃんだろ?」
「赤ちゃんの重要性をお前は知らんのか?幼児教育は常識だぞ。
胎教したいくらいだったんだから。まあそれは、母親の琴の音きか
せて何とか間に合わしたけど」
「ほんとガキの好きな男だな」<a href="http://www.33lya.com" title="http://www.33lya.com">http://www.33lya.com</a>


「女の子が好きなの。男なんていいんだよ、ほっといても育つんだから」
そこは注意をいれて、教育大臣だいぶ酔ってきたらしかった。
男の子にも愛は必要だよ…
そばできいていた朱雀が、夕霧を思って切なく苦笑する。
「春宮さまにあげたいの?春宮さまいくつだっけ、すー兄」
「今年で三つだね」
「じゃ、未来のお后候補ってわけか」
「候補じゃない。后だよ」
光は自分で言ってうんうんうなずいた。
相当思い入れがあるらしい。
親バカだな。
蛍がくすくす笑う。
「まあともかく、今のお前の栄華があるのも、すー兄が去って冷泉さん
の御世になったおかげなんだから。すー兄に感謝しろよ」
「いいよ、感謝だなんて」
朱雀は恐縮した。
実際遅すぎたくらいなんだ
思い立ってから実行するまでが。<a href="http://www.33lya.com/レディースバッグ-bm-2.html" title="ブランドバッグ 通販">ショルダーバック</a>

「すー兄も光のせいで短い御世だったね。五、六年じゃない?」
「いや、十年近いだろ」
「えっ、そんなにいたっけ?影うす…」
「最初のほうとか、父上に頼りきりだったからね」
「その後は太后に操られるし?」
「まあ、俺が悪いんだよ。だらしないから」
朱雀は笑って、ふたりが飲むのを見ていた。
「俺が自分の意思でしたことって、唯一譲位することくらいだしね」
にっこり笑って言う、それがあまりに真実なので
ふたりは思わず黙った。
「せつねえ…」
光がうめく。

「いや、すー兄はがんばったよ。人間引き際が肝心だもん」
蛍のほうこそがんばって励ますので
そんなに気にしてないのに。
朱雀は苦笑した。<a href="http://www.33lya.com/mcmエムシーエム-bm-1.html" title="ブランドバッグ 新作">人気バッグ</a>
「そういえばすー兄、斎宮さんに手紙だしてるの?」
「だしてるってほどじゃないけど、二、三通ね」
「なに、位降りてもまだまだ現役ってわけ?」
「いや、そうじゃないけど…都に帰ってこられたってきいたから。
お母上が亡くなられて、お気の毒だね」
その話題がでて、光はふと御息所の遺言を思い出した。
かけて、さやうの、世づいたるすぢに、おぼしよるな。*
思いっきり禁止形かよ。
要するに、手出すなってことらしい。
この人とはいろいろ奇怪な因縁があるから、手は出さないわけなのだが
娘さんは、ちらと見るくらいしたいなとは思っていた。
紫と年近いし。俺の妻にしてもおかしくない年齢なんだよ?
でも、遺言。
ひとの遺言てのは、違えがたく思うし。
とりあえず
「彼女、うちに迎えようと思うんだ」
光が言うので、蛍がいやーな顔をした。
「お前はどうしてすぐ人のもん欲しがるかね。せっかくすー兄が可愛いって
言ってんだよ?好意だよこれ、好意。それを邪魔ばっかして」
「俺がもらうんじゃないよ、帝にさしあげるのさ。お母さん代わりとは言わない
が、母親もあまりそばにいられないんだし、すこしお姉さんのほうがいいだろ」
「そんなこと言って、またもらうんだろ?お前はそうやって育てるふりして喰う
からな。やらしい」
「今回は本当に違うの。親に頼むって言われてんだから。さすがの俺も、人の
遺言違えてまでは手出さないよ。ね兄貴、どう?」
「いいも何も…光が後見して入内なさるなら、とても幸せになれるんじゃない?
冷泉さんもやさしそうだし。俺のことは気にしないで」
朱雀は恥ずかしそうに笑った。
彼女を見ると、海の姫君を思い出すから
葵を思い出すから
つい懐かしくて文したのだった。
隠居じじいの話相手より、今をと




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