Nicotto Town



おまえをここに送りこんだのは

。海の水にも風にも、上下左右に重なる平たい層があります。層によって流れ方は違うので、それを読み解いてわかったことを繋げていけば、いまにどんな風が吹くかが読み解けるんです」

 石玖王や彼の部下たちは、興味津々というふうに高比古の言葉に耳を傾けるが、表情は一様に頼りない。息継ぎをするついでに話をやめると、高比古は一同の顔を見まわした。

「あの、わかりますか」

「いいや、さっぱりわからん」

「じゃあ……簡単な例えを。人で考えてみましょうか。人がまず住みつくのは、肥えた農地があるなり、海や山の恵みのそばなり、食べ物に困らない場所です。風も人と同じで、風にとって都合のいい場所を選んで流れます。人のように、集まり過ぎて狭くなるとほかに流れたり、混乱を起こして渦を巻いたりします。そういう風の性質を知った上で大地を見渡せば、狙いどおりの風が来る時を見極めることができます。ここまで、わかりましたか」

「……さっぱりわからん。それって、妖しい技とは違うのか?」

「もういいです――」

 高比古は早々に説明をするのを諦めたが、石玖王が諦めるのも早かった。

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「ああ、俺ももういいわ。凡人の俺たちにはわからん、難しい話だ」

「またそれですか」

 石玖王が、天才策士様と凡人という皮肉をまだ続けるので、高比古はすねておいた。

「とにかく。おれは、事代の中でもとくに目がよくて、なにもしなくても風が視えます。とはいえ、風を見極めようが、都合のいい風が吹くためにはいろいろな偶然が重ならなければならず、いつ来るかはわかりません。昼間、おれが勝てたのは運がよかったからです。幸運を見逃さないことはおれにできますが、奇跡を起こすことはできません」

 すでに理解は諦めたとばかりに、石玖王は柱に背をもたれて楽な姿勢をとっていた。それでも高比古の話には興味があるふうで、盃を唇に近づけながら、彼は話を続けた。

「ふうん。起こすことはできないのか。事代って、妖しい技を使うんじゃないのかよ」
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「それは、ことによります。事代の技は天地のことわりを読み解いて利用するものなので、大がかりなことはできません。巫女なら、もしくは――」

「巫女? ああ、神野(くまの)の呪女か。巫女と事代って違うのか? なにが違うんだ。巫女には霊威じゃなくて神威があるって聞くが、霊威より神威ってやつのほうが上なのか?」

「なにを霊威、神威と呼ぶかは、おれもよく知りません。大きく違うのは、巫女が力を顕す時は、必ずなにか代(しろ)がいることです」

「代?」

「もともとそこにあるものを利用する事代と違って、巫女はなにもない場所に力を生みます。代は、そのための仲立ちです。術者の寿命や血や髪など、さまざまらしいですが、とくに強い力を顕す時に好まれるのは、女か子供の贄(にえ)と聞きました」

「贄……? それって――」

「使う技によって違うそうですが、おれはあまり知りません。代を用意して技をかけても失敗することがあるとかで、うまくいくかどうかも読めないそうです。正直にいうと、おれはあまり興味がありません。贄なり生贄なりを使わないと成り立たない上に、運任せに見えて――」

「はああ……生贄。それも、女子供の……。俺、神様に願い事をするの、やめよう――」

 石玖王は大きな身体をぶるっと震わせてみせた。

 そのまま話が尻すぼみになったので、話題は次に、今後の戦略へと移った。

「で、彦名はなにをしようとしてんだ? ここ引島は、友国、長門に間借りしている対筑紫、対瀬戸の出雲の外港だが。おまえをここに送りこんだのは、彦名になにか考えがあるからなんだろう?」

「……わかりません」




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