Nicotto Town



緒にいきたいと思

螝荩俊·饯螭胜韦ⅳ盲郡螭馈¥扦狻ⅳ长长线`った?」

 尋ねると、高比古は肩をすくめて見せた。

「さあ。ここが〈御津〉だとする決め手すらわからないからなんともいえないが、おれは違うと思った。――来てはみたが、結局、無駄足に終わったな。手ぶらで帰るわけにもいかないから、明日かあさってにここを出て、近くの砦に寄ってもいいか? 瀬戸との戦の仕方を考えるよ。山際の地形をこの目で見て、覚えて帰る」
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「うん――」

 高比古が御津を探そうとしていることは、阿伊へいくことが決まってから、狭霧は薄々気づいていた。でも、改めてそうだと聞くと、不安になった。〈御津〉という場所が、得体の知れない奇妙なものに映って仕方なかった。

「〈御津〉って、なんだろうね。大巫女様がいっていたのは、たしか――『この先千年に渡って力を顕(あらわ)す偉大な巫王になる、その決め手となる場所が、御津』――だっけ」

「ああ、『この先千年に渡って力を顕す偉大な巫王』だよ。ものものしいよな」

 高比古は、人ごとのように苦笑した。





 夕餉の宴は、大庭を見渡すことができる東屋(あずまや)でひらかれた。長旅に疲れたからと、早々に狭霧と高比古が退出したので、長くは続かなかったが。
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 賑やかな宴の場を背にして寝所へ向かいながら、高比古はいいわけをした。

「宴は苦手なんだよ。人が大勢で騒いでいる場所も、おれは好きじゃない」

「そうみたいだね。好きにすればいいよ。わたしなら、高比古の好みに合わせるから」

「好みを合わせる、か。なんだかそれって、夫婦みたいだな」

「えっ、わたしたち、夫婦だよ?」

「冗談だよ」
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「知ってるよ」

 くすくすと笑い合いながら手をつないで、寝所に戻った。

 寝床の支度は済んでいたので、すぐに身支度をして横になる。

「疲れたね」

「ああ、疲れた」

 並んで寝床に入りながら、狭霧はしんみりとつぶやいた。

「これから眠って、明日になったらここを出ちゃうんだよね。――じゃあ、これは今日で終わりだね」

「これって?」

「香々音がね、一の姫は、わたしたちがここにいるのを、婚儀明けのお暇だと思っているっていっていたの。その時は違うと思ったけれど、なんのお役目もなくずっと一緒にいられるのは、高比古の舘で暮らすようになってからは初めてでしょう? 楽しかったなあって、そう思って。わたし、意宇の薬倉のこととか、学び舎のこととか、すっかり忘れてた……」

 頭の下で腕を組んで、高比古はくすりと笑った。

「おれも、ここ数日は遊んでばかりだ。――いいんじゃないか? 大国主も須佐乃男も、ここにいた時は役目を忘れていただろうし。たぶん、だけどな」

「とうさまと、おじいさまか」

 敷布に寝かせた手の甲に頬を置いて、狭霧は、灯かりが消えて暗くなった寝所の壁や、屋根の裏をぼんやりと眺めた。

「とうさまとかあさまも、ここで眠ったんだ――。この離宮って、王と王妃が遊びにくる場所なのかな」

「話を聞くまで知らなかったが、そういう雰囲気だな。まあ、おれは王じゃないし、あんたもまだ王妃じゃないわけだが」

「うん――でも――。わたしがこんなところに来られるなんて、思わなかった」

「来ようと思わなかっただけだろ」

「そんなことないよ。高比古は、何年も前から、いつか王になるっていわれていたけれどね」

「そうだけど。おれも、こんなところに来ようなんて思わなかった。一緒にいきたいと思う相手もいなかったしな」

(一緒にいきたいと思う相手――か)

 それは、妻のことだ。王になる夢はあっても、妻を得る夢はなかったというのだ。

 高比古の妻と思 




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