Nicotto Town



とかなにかしないのか

のではないと示そうと心がけた。

「いま、倭奴には隼人の港がある。これは、そこを仕切っている若王からもらってきた。彼の名を出せば、おまえの身を守ってくれる。……家族のもとに戻れ」

 そこまでいうと、桐瑚はかっと顔を赤らめた。桐瑚は、苦しそうに息を吐いた。

「家族……? 戻る場所などないと前にいったろう? ここで奴婢として汚れたわたしに、どの面(つら)下げて戻れと……!?」

 桐瑚がそういうのは、きっと彼女が月の巫女だったせいだ。

 倭奴の巫女は神に嫁ぐので、男に嫁ぐことはないと火悉海は話していた。桐瑚が、浚われる前と同じ暮らしに戻るには、娘の純潔が必要なのかもしれない。それはすでに奪われていて、二度と手に入ることはないというのに――。

 高比古が素性に気づいていると、桐瑚は知らないはずだ。だから、いちいち尋ねて不安を煽るような真似をする気は起きなかった。

 高比古は、丁寧に語りかけた。
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「でも、おまえの国はまだあるだろう? 血の繋がった奴も生きているんだろう? ……いや、おまえがいやなら、いいんだ。もとの暮らしに戻るのがいやで、倭奴から去りたいというなら、隼人に匿ってもらえ。南方の母国へ連れていってもらえるように話しておくから――。とにかく、ここを去れ。おまえはここにいるべきじゃない。今の暮らしから、抜け出せ」

 しだいに桐瑚の目は、奇妙なものを見るように歪んでいった。

「……なにがあった?」

 琥珀色の瞳からは、ぽろりと涙が流れ落ちる。
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「前と、まるで違うぞ。どうしてそんなに優しい。おまえに、なにがあった……」

「なにが?」

 熱い涙がこのうえなく美しい滴の玉に見えるほど、桐瑚は困惑顔すら美しかった。

 それほど美しい泣き顔が手に届く場所にあって、心が乱されない男などいるのだろうか。

 高比古の胸は、もうなんの命令も受け付けなかった。

「なにがって……。桐瑚を泣かせた。そんなふうに悲しませて……申し訳なくなった。悪かった」

 とうとう桐瑚は、ひくっとしゃくり上げた。
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 熱い涙をはらはらとこぼして、桐瑚は高比古の瞳の奥を窺うようにじっと見つめた。それから、こみ上げる嗚咽を苦しそうにして、何度も肩を震わせた。

 目の前でしゃくり上げる桐瑚を、高比古は身じろぎもせずに見守るしかできなかった。それに、いつしか桐瑚は不満を口にした。

「少しは、肩を抱くとかなにかしないのか。こんなに泣いているのに……。気の利かない男だ」

 いい方は、いつもの桐瑚だ。今、先に我に返ったのは桐瑚のほうだった。高比古はまだ、気弱な声を出すしかできなかった。

「……触れてもいいなら」

「ばか……」

 桐瑚が胸に飛び込んでくるので、高比古は懸命にその細い身体を抱きとめた。

 腕の中でしゃくり上げる桐瑚は温かくて、一生守ってやりたいという奇妙な熱い想いがこみ上げるほど可愛らしくて、手放そうとしているのが寂しい。

 こういうのが、心の底から欲しいってことなのか――。

 火悉海と交わしたやり取りを思い出して、胸は熱く火照るが、それを引き戻そうとする冷やかな声は、常に隣り合わせにあった。

 ひとしきり泣くじゃくると、桐瑚は、高比古の腕の中で恨むようにつぶやいた。

「倭奴へ向かうのは、わたしだけなのか。おまえは一緒に来てくれないのか」

 桐瑚がした問いかけへの答えは、胸を冷やし続ける、心の奥底の脅えだ。それに脅されると、高比古は笑うしかなかった。

「おれは、いけない――」

「どうして」

「どうしてって、おれは……」

 唇は、それ以上口に出すのを脅えて、動きを止めてしまう。

 なぜ、桐瑚といくの




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