Nicotto Town



い語調で言葉を

方面軍は、一人の重臣を長とした、中堅将校たちの集まりである。  この、殺人で成り上がってきた人間たちが、信長という男の手を離れて一致団結するわけがない。  無論、信長とて承知していたはずで、それを考慮した上で、威圧的威厳を備える権六ならできる、と、判断したのだろう。  しかし、柴田修理は軍団長の器ではない。彼は昔から何事につけても保守的な傾向があり、その保守性は彼自身の保身から生まれてきているのだ。彼が日々のうちでもっとも重要視しているのは、織田軍ではなく、柴田修理亮勝家なのである。 「信長は見誤ったのだ」  半兵衛は主君を好んでもいないので、北陸方面の戦略を冷静に斬り捨てている。  とはいえ、与力風情の半兵衛には何もできない。  できることはただ一つ、藤吉郎を信長に直訴させることであった。 「殿」  長浜城御殿に入った半兵衛は、長い睫毛の先をななめに伏せながら、言う。 「いちいち前もって目通りを求めて、なんなんだぎゃ」  藤吉郎は脇息に小さな体をもたせかけ、むっつりとしながら耳の穴をほじっていた。苦言を持ち込んできたのだと思い込んでいるらしい。長浜に入って以来、この猿は、子がいないのを理由にして妻を黙らせているのか、女あさりにいっそう熱を出している。  小一郎に泣きつかれてやって来たのだろう、そういう忌々しそうな目つきであった。  半兵衛は主人を一度ちらと見やってから、さらに頭を下げる。 「恐れながら、大聖寺の惨状、いかようにお考えか」  いつになくかしこまられ、厳しい語調で言葉をぶつけられた藤吉郎は、ほじくっていた指を止めた。  居室の空気が張り詰める。http://www.watchsremind.com 時計 ブランド ランキング オリス オーバーホール 「佐吉。外すんだぎゃ」  急に顔つきを険しくさせた藤吉郎を、近頃小姓に取り立てられた佐吉少年はしばし見つめていたが、半兵衛に軽く頭を下げると退出していった。  藤吉郎は沈黙している。 「大聖寺城の城主は太郎です」 「わかっているだぎゃ」  藤吉郎は眉間に皺を寄せた。 「でも、どうにもならんだぎゃあろ。太郎は柴田殿の麾下で、おりゃあは柴田軍団じゃにゃあ。太郎の生殺与奪はすべて柴田殿だぎゃ」 「それでよろしいのですか」  と、半兵衛は青白い顔から眼光を飛ばした。 「本当に、それで」 「よくにゃあっ! よくにゃあけど、どうすることもできんだぎゃあろっ!」 「いえ。手立ては一つだけございます。殿、上様に直訴しなされ。柴田殿に向けて、大聖寺城に援軍手配の下知をと」 「おみゃあ」  藤吉郎は唇を震わせながら、浮かしていた腰をござに沈めていく。 「いくらなんでも、それは出すぎた真似だぎゃあろ。そんなことをしてしまったら、おりゃあがどうにかなるだぎゃ」  だいたい、と、藤吉郎は頭を振りながら続けた。 「どうして柴田殿は援軍を出さないのかわからんだぎゃ」 「太郎は見限られてしまったのかもしれませぬ」 「ほんなことあるかえ! おみゃあっ、言っていいことと悪いことがあるだぎゃっ! そんなことになったら、そんなことになっていたら、太郎は、終わりだぎゃ――」  言葉を失わせていく藤吉郎を、半兵衛はただただ眼光を据えて見つめる。その無言には力があった。 「太郎を救えるのは殿しかおりませぬ」  実は藤吉郎、半兵衛に迫られる前から寧々に泣きつかれている。 「右近大夫殿をどうにかできないのでしょうか」  涙に潤んだ眼差しを亭主に寄せてき、つまり、太郎をどうにかしてくれと言っているようなものだった。 「柴田殿がどうにかするだぎゃ」  その一点張りで、彼は加賀大聖寺から目を背け続けた。  だが、  見限られてしまったのかもしれない。  あの半兵衛が言うのだ。半兵衛は鬼謀巡らす作戦家だが、人の心を




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