Nicotto Town



泉に入った時代のことだ

横を通ったがな」
 和泉に入った時代のことだ。
「そもそも摂津にあるのに和泉にまで出城が及ぶこと自体がじゃ」
「ないことですね」
「小田原城は知らぬが」
 北条氏の拠点だ。やはり巨大な城として知られている。
「それでもあの寺はおそらくな」
「その小田原城に比肩しますか」
「話を聞く限りはそうじゃな」
 そこまでの大きさだというのだ。
「小田原城は知らぬがな」
「ではその石山を攻め落とすとなると」
「小田原は十万でも陥ちぬ」
 信長は話を聞く限りだがこう言った。
「その兵数でもな」<a href="http://www.znhysm.com" title="http://www.znhysm.com">http://www.znhysm.com</a>
<a href="http://www.znhysm.com/hermesエルメス-0ovr-1.html" title="銀座 hermes">銀座 hermes</a>
<a href="http://www.znhysm.com/エールライン-0ovr-7.html" title="エルメス バック">エルメス バック</a>
「では今の織田家の軍勢では」
「十九万の兵を動かせる」 
 四十万石で一万だ。それが七百六十万石ともなるとそこまでの塀を動かせる、織田家はそこまでの力を備える様になっていた。
 しかしそれでもだとだ。信長は言うのだ。
「十万、動かせぬ訳でもないがのう」
「それでもですか」
「あの城は攻めて落とすと駄目じゃな」
 ひいては石山御坊もだった。それは。
「人を攻めるべきじゃ」
「人をですか」
「人の心をな」
 攻めるのはそこだというのだ。城ではないというのだ。
「城を攻めるのは下計じゃ」
「では人を攻めるのが上計ですね」
「そういうことじゃ。城を攻めても、特に小田原や石山の様な城はな」
「攻めてはなりませんか」
「悪戯に兵を失うだけじゃ」
 例え勝ててもそうなるだけだというのだ。
「せぬに限る」
「だから人を攻めますか」
「この場合も平野や山で軍勢を攻めるのではない」
「それでは城を攻めるのと同じですね」
「その通り、戦をするよりもせぬに限る」
 信長のこの考えは尾張統一、そして伊勢のことから今になるまで変わらない。彼はあくまで戦よりも政なのだ。
 だから今も帰蝶にこう話すのである。第百五話 岐阜に戻りその五

「例えば一万の兵を持っておるな」
「はい」
「相手に一万の兵が来ればどうする」
 敵の数が同じならどうするかとだ。信長は帰蝶に問うた。
「その場合はどうする」
「私ならばですね」
「うむ、御主ならどうする」
「戦います」
 これが帰蝶の返事だった。兵の数が互角ならば。
「戦の場所や軍勢の状況にもよりますが」
「それでもじゃな」
「はい、おおよその場合は」
 戦うというのだ。この辺りは気の強い帰蝶らしいと言えた。
 信長も妻がそう答えることはわかっていた。それで今度はこう問うたのである。
「しかしそれが十倍の相手ならどうじゃ」
「十万の兵が相手ですか」
「こちらは一万じゃ」
 兵の数は歴然たるものだ。
「この場合はどうする」
「長曾我部殿がそうでしたね」
 帰蝶は元親の名前を出した。
「あの方はあえて十万の当家の軍勢に向かいましたが」
「あれは考えもあってのことじゃがな」
 そこでその武と心意気を見せしかも信長の器も見た。元親は決して考えなく織田家の大軍に突っ込んだ訳ではないのだ。
 それでだ。信長はこの場合は別だというのだ。
「あれは特別じゃ」
「まさにそうですね」
「普通はできぬ。しかしじゃ」
「大抵は逃げます」
 十倍の兵が相手でもだ。さしもの帰蝶もこう言う。
「相手になりません」
「そういうことじゃ。兵の数が互角なら戦をするが十倍なら逃げる」
「では相手が適わないと思うだけのものを見せれば」
 帰蝶は信長が言いたいことがわかっていた。彼は兵の数を例えに出したがそれだけではないのだ。それはあくまで例えでその他のことについても言えるおとだったのだ。
「相手は戦わずして降る」
「殿はそれを目指されるのですね」
「その通りじゃ。そしてそれはおおよそ功を奏してきておる」 
 丹波や大和、そして播磨といった国々でだ。信長は上洛してからすぐにそう




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.